iPhoneを安く購入する方法として、「中古iPhone」に注目が集まっている。ここ1~2年でキャリアでも販売を強化するなど、中古市場に詳しくない人でも買いやすい状況が広がりつつある。
また、2024年9月にはIIJmioが「Apple認定整備済製品」の販売を開始した他、整備を行ったリファービッシュ品の販売を後押しする流れもある。MM総研では、2024年度の市場規模を315万台(15.5%増)と見込んでいる。
さらに、2024年末には総務省の規制により、「端末購入サポート」の利用で安価だったiPhoneの購入価格が上昇したことで、より注目されることになるだろう。2024年の春商戦でも、一部キャリアショップでは中古iPhoneをお買い得モデルとして販売していたが、2025年も同様の動きが見られるかもしれない。
この記事では、そんな2025年注目の中古iPhoneの購入方法の最新事情を紹介していく。
●iPhoneを買うなら「中古iPhone」「端末購入サポート」どちらがいい?
近年iPhoneを購入した人は、大手キャリアの「端末購入サポート」と呼ばれる購入方法を選んでいる人が多いはずだ。まずは、「端末購入サポート」と「中古iPhone」それぞれの利点を紹介しよう。
新しいモデルを実質的に安く使える「端末購入サポート」
端末購入サポートは、ドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアとそのサブブランドと楽天モバイルが提供している購入方法の総称だ。
iPhone 16やiPhone 15といった新しいモデルを分割払いで購入でき、購入したiPhoneをおよそ2年後に返却すると決まった額の支払額が不要になる。言い方を変えると、2年後の買い取り優遇施策ともいえる。
利点は2つある。1つは「2年後に返却したときの割引額が保証されている」点で、もし2年後にiPhoneの人気や為替の影響で中古市場における買い取り価格が大幅に下がっても割引額は変わらない。もう1つは「返却時に、細かい傷やバッテリーの消耗で減額されることはない」点で、中古ショップの買い取りと違い画面割れなどの大幅な傷や故障がない限り、割引額は変わらない。不安なら、およそ2年間の利用中は有料の端末補償や盗難・紛失サービスへ加入するという選択肢もある。
少し古いモデルを格安で利用できる「中古iPhone」
中古iPhoneは、今だとiPhone 12やiPhone 13、iPhone 14、iPhone SE(第3世代)、iPhone SE(第2世代)といった3年以上前のモデルを一括価格で安く購入できる点が魅力だ。以前は中古ショップやネットフリマでの入手が中心だったが、現在は大手キャリアのオンラインショップやMVNOでの販売も広がっている。
気になる使い勝手だが、2~3年前のiPhoneも今のミッドレンジスマホ並みの性能があるので、メインでの利用はもちろん、仕事用のサブスマホ、紛失や破損が気になる子どもに持たせる用スマホ、海外旅行用にも適している。
利点は「一括購入なので、iPhoneの返却時期を考えず長く利用できる」ことに加え、「キャリアを通さなくても購入できるので、MVNOの格安SIMの契約でも使いやすい」「安いので、故障や紛失時も損害が少なく済む」こともある。
欠点は、保証期間が短く、有料補償サービスを利用できないこと。だが、今では大手キャリアが販売する中古iPhoneなら有料補償サービスに加入でき、そういった状況も変わりつつある。
●中古スマホの購入時は、外観とバッテリーをチェック
中古iPhoneを購入する際、主に注意すべき点は外観の状態とバッテリーの状態だ。大手の中古ショップでは、中古スマホの業界団体RMJ(リユースモバイル・ジャパン)のガイドラインによる5ランクで分けていることが多い。
多くの人が中古iPhoneとして想像する、もしくは購入するのは美品のAランクか中程度の使用感のBランクだろう。安さを追求するならCランクという選択肢もある。
RMJによる、中古スマホに関するランク分け
・S:未使用品
・A:美品、目立つ傷がなく非常にきれいな状態
・B:中程度品、細かな傷・薄いかすり傷があり、使用感がある状態
・C:使用済品、目立つ傷や擦り傷等があり、明らかな使用感がある状態
・J:破損、目に見えてダメージがあり、激しい損傷または破損している状態
店頭の中古iPhoneの説明文で「バッテリー容量 89%」などと記載されている数値は、バッテリーの劣化状態を示している。iPhoneを利用している人なら「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」から確認できる。
この数値が少ないと、バッテリーを100%までフル充電しても、新品のiPhoneと比べて利用できる時間が短くなる。なお、中古iPhone市場では80%以上なら問題のない商品として流通しており、80%未満のモデルは値引きされていることが多い。
性能に関しては、iPhoneは3~4年前のモデルでも比較的高性能なミッドレンジに相当する性能を持ち、iOSの更新や新機能の追加も続いている。LINEやSNSなど一般的なアプリを利用する場合に遅いと感じることは少ない。
ただ、iPhoneで複数のアプリを併用するヘビーユーザーの場合は、古いモデルだとメモリ容量が少なく、アプリが自動終了しやすくなることが気になるだろう。メモリ容量が多いモデルを選ぶなら、6GB以上のiPhone 14以降かiPhone 13 Pro、iPhone 12 Proがお勧めだ。
●中古iPhoneはどこで購入するのがお得?
ここからは、中古iPhoneを取り扱うショップについて紹介していこう。
中古ショップ、中古オンラインショップ
店頭で中古iPhoneを手にしてから買いたい場合は、中古ショップが便利だ。大手チェーンとしてはブックオフ、ゲオ(ゲオモバイル)、じゃんぱら、ソフマップ、イオシスなどがある。また、多くの店舗はオンラインショップも展開しており、大手なら写真とRMJのランク付けでおおよその状態を確認した上で購入できる。
これらの店舗は大手キャリアのサブブランドやMVNOの格安SIMの契約代理店を兼ねている場合がある。これらの店舗で新規契約やMNPでの乗り換えと一緒に中古iPhoneを購入すると、本体価格に対して2万2000円前後の割引を受けられる場合がある。料金プランの見直しや、家族や子どもの新規契約を考えている人はうまく活用しよう。
また、今後は各社の施策や本体価格にもよるが、この割引内容が最大6カ月間かつ上限2万2000円までの割引を提供できる「お試し割」になる場合もあるだろう。
大手キャリアの中古スマホ「○○○ Certified」
キャリアの中古スマホは「○○○ Certified」や「○○○認定中古品」といった名称で、ドコモ、au、ソフトバンク、UQ mobileやY!mobileのオンラインショップで販売している。また、一部のキャリアショップで取り扱っていることもある。
基本的には美品や若干のキズがあり、バッテリーの状態は80%以上という、いわゆるAクラスやBクラスの中古品を購入できる。新規契約やMNPでの乗り換えと一緒に購入すると割引が付き、キャリアの有料補償サービスに加入できるのがメリットだ。
各キャリアによって販売価格や販売モデルは大きく異なる。特徴的なキャリアのショップを挙げると、ドコモオンラインショップはiPhone 14シリーズをいち早く取り扱っており、A+、A、Bの3ランクから商品を選べる。
Y!mobileは選べる機種は少ないものの、機種変更でも安く購入できる。Y!mobileで古いiPhoneを利用し続けている場合は、一度チェックしてみるといいだろう。
格安SIMなどMVNOの中古スマホと、IIJmioの「Apple認定整備済製品」
格安SIMを手掛けるMVNOは、iPhoneを取り扱っていない代わりに、未使用や美品の中古iPhoneを販売していることがある。
中でも独自の取り組みをしているのが、2024年9月に「Apple認定整備済製品」の販売を開始したIIJmioだ。これは、Appleが品質を保証する新品に近い整備品で、Appleの1年保証に加えて有料補償サービスのApple Care+にも加入できる。これをIIJmioの契約と一緒に購入すると大幅な割引を受けられる。販売する機種はiPhone 12 Proシリーズが中心だが、人によってはかなり魅力的だろう。
Apple Storeの「Apple認定整備済製品」
Apple Storeでも「Apple認定整備済製品」を取り扱っている。いずれも新しいバッテリーと外装が使用され、1年間の保証付きでApple Care+にも加入できる。ただ、Apple Storeは大画面や大容量モデルが多く、価格は正規品のおよそ15%引きのみだ。料金プラン契約とセット購入による割引はない。iPhoneをとにかく安く購入するよりも、流通量の少ない大画面や大容量モデルを少しでも安く買いたい人向けのストアといえる。
今後利用が広がりそうな「リファービッシュ品」
中古スマホは基本的に、買い取った商品をクリーニングして販売することが多い。だが欧米で「修理する権利」の法整備とApple側の対応が進んだこともあり、故障した部品やバッテリーを交換して販売する「リファービッシュ品」が注目されつつある。iPhoneの修理や整備がビジネスとして成り立つかは、純正の新品部品や中古部品、互換部品のどれを利用するのかなどの問題もあるが、日本でも今後の動きに注目したい。
日本ではオンラインストアのBack Marketがリファービッシュ品としてiPhoneを販売している。注文時に、有料でバッテリー交換を依頼することも可能だ。金額はモデルによって異なるが、購入したiPhoneを長期間使いたい場合には魅力的な選択肢になる。
ネットフリマ、オークションはお得な場合もあるが、トラブルに注意
メルカリやYahoo!オークションなどのフリマやオークションサイトでも、中古iPhoneの取引が行われている。中古ショップよりやや安く購入できる場合もある。だが、商品内容や信頼できる取引相手なのかをよく確認して利用しよう。トラブルが起きたときの時間や金銭面、精神的なコストも考慮して利用したい。
●購入目的や販売方法が広がる中古iPhone、事前のリサーチが重要
ここまで中古iPhoneについて紹介してきた。大手キャリアが低価格帯iPhoneを販売する方法や、格安SIMで利用できるiPhoneの購入方法、スマートフォンの価格が高騰したことに対する家計の節約など、以前と比べると中古iPhoneを購入するシチュエーションが増えている。この記事が購入する機種の選び方や、購入するショップの選び方の一助になれば幸いだ。