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電子証明書の期限が切れると「マイナ保険証」はどうなる? 切れる前に電子証明書/カードの更新がオススメだが救済策もあり

ITmedia Mobile 2025年1月20日 17時15分

 2024年12月2日から、医療機関で利用する健康保険証(※1)について、市町村や特別区が発行する「個人番号カード(マイナンバーカード)」を利用することが本則となりました。

(※1)国民健康保険(都道府県と市町村/特別区、または国民健康保険組合が保険者となる医療保険)/被用者保険(健康保険組合/健康保険協会または共済組合が保険者となる医療保険)/後期高齢者医療制度(※2)のいずれかに加入していることの証明書(※2)都道府県が設立した「後期高齢者医療広域連合」が提供する、75歳以上(特定の障害を持つ人は65歳以上)の人向けの公的医療保険

 ここで気になるのが、マイナンバーカードの“有効期限”です。マイナンバーカードの有効期限が切れた場合、マイナ保険証はどうなってしまうのでしょうか……?

●マイナンバーカードには「有効期限」が2つある

 マイナンバーカードには、2つの有効期限が設定されています。

 1つは、カード自体の有効期限です。マイナンバーカードは発行日から10回目(発行時に18歳未満だった場合は5回目)の誕生日まで有効です。ざっくりいうと、発行してから10年(または5年)ちょっと使えるということになります。

 カード自体の有効期限は、カードの券面に“直接”印字されています。

 もう1つは、カードに搭載された「電子証明書」の有効期限です。マイナンバーカードのICチップには「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」の2種類の電子証明書が搭載されています。

 悪意のある第三者の悪用を防ぐ観点から、電子証明書は定期的に更新するのが好ましいとされています。そのこともあり、マイナンバーカードでは電子証明書を発行日から5回目の誕生日まで有効としています。

 電子証明書の有効期限は、カード券面の記入欄に油性マジックで記入するのが原則です。記入されていない場合は、まだ電子証明書が有効なら「マイナポータル」にログインすることでチェックできます。

 電子証明書またはカード自体に有効期限が近づいた場合、有効期限の“2~3カ月前”に住民票のある市区町村から「有効期限通知書」が届きます。通知書には更新方法の案内も書かれているので、その指示に従って早めに更新手続きを行いましょう。

 基本的に、電子証明書の更新は市区町村が指定する窓口で、カード自体の更新は以下の新規発行申請時と同じ方法で行えます(カード更新の場合は、要件を満たす顔写真の撮影または添付が必要です)。

・「マイナンバーカード交付申請書」の郵送(申請書は通知書と一緒に封入されています)

・手持ちのスマートフォン/タブレット(顔写真はJPEG形式で用意してください)

・手持ちのPC(顔写真はJPEG形式で用意してください)

・マイナンバーカード申請対応の証明用写真撮影機(有料:写真はその場で撮影します。交付申請書を持参してください)

●電子証明書の有効期限が切れたらどうなる?

 マイナ保険証の話に戻ります。マイナ保険証では、マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書を使って本人確認を実施します。この証明書のパスワード(4桁の暗証番号)が分かっている場合はそのパスワードで、分からない場合は顔認証(※3)と券面の情報を使って本人かどうか確認する仕組みです。

(※3)顔認証がうまく行かない(できない)場合は、顔写真を職員が目視確認することも可能

 そのため、利用者証明用電子証明書が失効、または無効になっていると保険資格の確認が行えなくなります。それを防ぐために、医療機関にある顔認証付きカードリーダーには電子証明書の有効期限を警告する機能も付いています。

 普通であれば3カ月の猶予があれば、役場/役所や住民センター/出張所/支所に出向いて電子証明書(またはマイナンバーカード)の更新手続きは余裕を持って行えるはずです。しかし、何らかの事情で更新手続きが行えず、電子証明書の有効期限が切れてしまった場合はどうすればいいのでしょうか。

 実は、電子証明書(またはマイナンバーカード)の有効期限が切れた場合でも、以下のいずれかの方法で医療保険の資格確認が行えます。

・顔認証付きカードリーダーを使った認証(2024年12月2日に追加)

・有効期限が切れてから3カ月以内のみ対応

マイナンバーカードに「マイナポータル」の画面を添えて提示

・マイナポータルの「医療保険の資格情報」画面を提示する前提

・この画面からダウンロードできるPDFファイルの提示も可

・オンライン資格確認を利用できない場合でも有効

マイナンバーカードに「資格情報のお知らせ」を添えて提示

・資格情報のお知らせは、保険者に請求することで入手可能

・オンライン資格確認を利用できない場合でも有効

 万が一、上記のいずれの方法も使えない場合は医療機関で「被保険者資格申立書」を請求して記入してください(就職/転職/退職に伴い医療保険の変更手続きが間に合わず、オンライン資格確認できない場合も同様です)。これにマイナンバーカードを添えて提出することで、記入内容に従って医療保険を適用できます(※4)。

(※4)再診の場合は、同等の情報を口頭確認することも認められています

●「マイナ保険証」の方が基本的には便利

 旧来の健康保険証が手元にある場合は、最長で2025年12月1日まで資格確認用に利用可能です(※5)。トラブルがあった場合は、期限までこちらを提示するという対策もできます。

 冒頭で述べた通り、現在はマイナ保険証が健康保険証として“本則”です。ただし、マイナンバーカードを保有していない(できない)場合は、保険者から発行される「資格確認証」を保険証代わりに利用できます。

 資格確認証の有効期限は最長5年で(※6)、原則として被保険者が保険者に請求しないと発行されません(※7)。マイナ保険証と比べると手続き面で一定の制約もあるため、よほどのことがなければマイナ保険証を利用した方が便利です。

(※5)有効期限のない(≒退職するまで有効な)保険証も同様です(※6)有効期限は保険者が決めます(被用者保険でも最長5年の期限が定められます)(※7)初回発行時を含め、当面の間は保険者が自動で交付します

 マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れても、3カ月以内であればマイナ保険証を利用できます。それを超えてしまった場合でも、手元にマイナポータルからダウンロードした資格情報、または保険者が発行した資格情報のお知らせを用意し、マイナンバーカードを添えて提出すれば医療保険は適用可能です。

 ともあれ、トラブルを避けるためにもマイナンバーカード(または電子証明書)の有効期限通知が届いたら、速やかに更新の手続きを行いましょう。

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