Infoseek 楽天

AIカメラ付きドローン「HOVERAir X1 Smart」を試す 手のひらサイズの“パーソナルカメラマン”だ

ITmedia Mobile 2025年1月31日 6時5分

 スマートフォンの自撮り機能やアクションカメラの進化により、誰もが手軽に写真や動画を撮影できる時代となった。しかし、空からの視点で自分の姿を撮影するとなると、これまではドローンの専門知識や操縦技術が必要で、ハードルが高かった。

 そんな中、ZERO ZERO ROBOTICSが発売した「HOVERAir X1 Smart」は、ドローン操縦の経験がない人でも使える、新しいタイプのカメラドローンだ。142×111×27mmというコンパクトなボディーに、人物の自動追従や多彩な自動撮影モードを備え、スマホアプリから操作可能。これまでにない自撮り体験が楽しめる。

 手のひらから離陸させ、あとは自動で動き回って撮影してくれる手軽さは、まさにパーソナルカメラマンを持ち歩いているかのような感覚だ。

 本製品は4つのセットで展開されている。本体のみの基本セットが5万9980円(税込、以下同)、専用キャリーケース付きの標準セットが6万4980円、さらに予備バッテリーが付属するプレミアムセットが6万9980円となっている。

 最上位のオールインワンセットは7万4980円で、本体、キャリーケース、予備バッテリーに加え、外出先での充電に便利な大容量充電ハブが付属する。用途や予算に応じて柔軟な選択が可能だ。

●シンプルな操作と多彩な撮影モード

 本機の最大の特徴は、AIによる自動撮影だ。専用アプリ「Hover X1」をインストールしたスマートフォン(iOS 12.1以上/Android 9.0以上対応)があれば、誰でも簡単に空撮を楽しめる。ボタン1つで手のひらから離陸し、人物を自動で認識して追従撮影を開始。撮影が終われば再び手のひらに着地する。

 スマートフォンとの接続にはBluetoothとWi-Fiを用いており、写真の転送やリアルタイムプレビューを見ながらの操作、ドローンの管理などが行える。

 基本的な撮影モードは5つのモードを用意。本体のボタンから選択できるため、スマホも不要で起動できる。人物を自動認識し、それぞれ特徴的な動きで撮影してくれる。

・ホバリング:目線の高さでホバリングして、被写体の動きに合わせてレンズが回転する

・フォロー:最大時速25kmまでの人の動きに追従して撮影する

・ズームアウト:斜め上方から徐々に引いていく撮影モード

・オービット:半径1.5mの円を描きながら周回して撮影する

・俯瞰(ふかん)撮影:垂直またはらせん状に上昇して5m~15mまでの設定した高度で撮影できる

 撮影モードはこの5つの基本モード以外に、アプリからより多彩な拡張モードを選択できる。歩く人を前方から撮影するフロントフォローモードなど、より表現の幅を広げる撮影スタイルを選べる。さらに、スマートフォンでリアルタイムに操作するマニュアルモードも搭載。プレビュー映像を見ながら、自由な操作で撮影できる。

 操作に習熟する必要はほとんどなく、初心者でもプロのような映像が撮影できるのが特徴だ。

●アクションカメラのような絵作り

 撮影性能は必要十分なレベルを確保している。動画は2704×1520@30fps、1920×1080@60fps、1920×1080@30fps(HDR)の3モードに対応。数十秒から数分のショートムービーを撮影できる。静止画は4000×3000ピクセル(12MP)で、スタンダードとバーストの2つの撮影モードを備える。

 写りの傾向はアクションカメラに近く、コントラストがはっきりしたパキッとした仕上がりが特徴だ。映像は滑らかで、人の目線に近い高さで飛んでいることから、カメラマンが撮ったかのような写りになる。

 飛行時は小型掃除機のような音が発生するため、通常は音声の録音は期待できない。ただし、スマートフォンのアプリを使った集音機能があり、強力なノイズキャンセル機能により、撮影時のスマホで吹き込んだ人の声を記録できる。

 本体には32GBの内蔵ストレージを搭載しており、撮影したデータはいったん本体に保存される。撮影後はWi-Fiダイレクト接続でワイヤレス転送が可能で、2.7K解像度の大容量データも数秒でスムーズに転送できる。

 マニュアル操作時は飛行中にリアルタイムのプレビュー映像が伝送され、カメラアングルの確認をしながら撮影できる。プレビュー映像の伝送は最大30mまでの目視飛行の範囲内で行える。

●そよ風程度なら安定飛行する

 本機の基本性能は、水平方向の最高速度が7m/s、上昇・下降速度は1.5m/sまで対応する。

 手ブレ補正はメカニカル(チルト)、電子式(EIS)、水平レベル補正(HLL)の3段構えで、風力階級4(7.9m/s)までの環境でも安定した撮影が可能だ。ジンバルの可動範囲はマイナス90度から15度で、多彩なアングルでの撮影に対応する。

 そよ風程度なら問題なく飛行できるが、やや強い風が吹くと着地時の制御が難しくなる。説明書にも記載があるように、水上など回収が困難な場所での使用は避けるべきだ。

●充電ハブを使えば複数回の飛行も容易に

 バッテリーは690mAh(7.7V)で最大10分の連続飛行が可能だ。実際の使用では、1回の充電で約30分のフライトタイムが確保でき、基本的な撮影モードで1回30秒程度の撮影を行う場合、5~10回程度の飛行が可能となる。

 これは例えば、登山中の記念撮影スポットで数回のチャレンジができる程度の余裕がある容量だ。

 オプションの充電ハブを使えば2スロットでバッテリーの同時充電が可能で、充電ハブ自体も5000mAhの大容量バッテリーを内蔵しており、Type-Cケーブルで充電できる。外出先でも機体バッテリーを約2.5回充電できるため、1日の撮影でも十分な飛行回数を確保できる。

●飛ばす場所選びには注意が必要

 飛行場所には注意が必要だ。本機の重量は99gに抑えられており、航空法で定められた100g以上のドローンへの規制対象外となる。

 機体登録やリモートID機器の搭載が不要で、人口密集地域(DID地域)での飛行制限も適用されない。ただし、小型無人機等飛行禁止法は適用されるため、国の重要施設などの飛行禁止区域での使用は避ける必要がある。公園などで使用する場合は管理者の許可が必要となる。当然、周りの人への配慮も必要になる。

 多くの施設ではドローンの飛行に制限を設けているため、河川敷など周りに人がいない場所での撮影や、登山・トレッキング中の景色の撮影など、アウトドアでの使用が本機の真価を発揮できるシーンといえる。

●自撮り体験を一新する手軽なドローン

 HOVERAir X1 Smartは、スマートフォンとの連携を中心に据えた新しいタイプのドローンだ。AIによる自動撮影と安定した飛行性能を両立で、これまでにない手軽さでドローンを活用できる。

 例えば、単調になりがちな山歩きやアウトドアでの撮影に新しい体験をもたらしてくれそうだ。小型で、かつ屋内で安定して飛行するため、パーティーシーンの盛り上げ役としても使えるだろう。

 空からの視点で自分を撮影する新鮮な体験は、きっと撮影の楽しさを再発見させてくれるはずだ。手軽に始められる空撮体験として、多くの人に試してもらいたい1台だ。

ドローン本体のスペック

・寸法……142×111×27mm

・重量……99g(バッテリー含む)

・内蔵ストレージ……32GB

・最高速度   水平7m/s、上昇1.5m/s、下降1.5m/s

・最大耐風性   7.9m/s(耐風レベル4)

・動作温度   0℃~40℃

・最大飛行高度   15m

・リアルタイムビュー伝送距離   30m

・最大離陸高度   2000m(限界高度5000m)

・静止画   4000×3000(12MP)、JPEG形式

・動画   2704×1520@30fps、1920×1080@60fps、1920×1080@30fps(HDR)、MP4形式

・撮影モード   スタンダード、バースト

・手ブレ補正   メカニカル(チルト)+電子式手ブレ補正(EIS)+水平レベル補正(HLL)

・ジンバル調整範囲   -90°~15°

・バッテリー容量   690mAh

・Wi-Fi   2.4GHz

・Bluetooth   対応

・カラー   ブラック、ホワイト

充電ハブ(コラボエディション)のスペック

・充電スロット……2(同時使用可能)

・入力   5V/9V/12V・3A

・出力   8.8V・1.38A×2

・内蔵バッテリー容量   5000mAh@3.85V

アプリ対応OS

・iOS……12.1以上

・Android……9.0以上

(製品協力:ZERO ZERO ROBOTICS)

この記事の関連ニュース