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KDDI高橋社長、「大規模通信障害が最も印象に残った」 苦難を乗り越え、ネットワーク品質評価へ

ITmedia Mobile 2025年2月6日 12時24分

 2025年2月5日、KDDIが決算会見直後に社長交代を発表した。現在CDO(最高デジタル責任者)を務める松田浩路常務が、4月1日付で社長に昇格する。高橋誠社長は、代表権のある会長に退く。社長交代は7年ぶりとなる。

 その発表の中で、高橋氏が社長就任から7年後の現在に至るまでを振り返る場面があった。高橋氏はまず「7年間、本当にあっという間だった。いろんなことがありすぎた。本当にこんないろんなことが起こるんだな、と思った」と話した。

 「僕が社長になったとき(2018年)の北海道胆振地方地震に始まり、去年(2024年)の能登半島まで、本当に災害が多かったし、コロナもあった。いろんなことを経験してきたなと思う」と続ける。

 高橋氏は、最も印象に残る出来事に「長時間の通信障害」を挙げた。「長時間の通信障害がやっぱり一番印象に残っている。それは本当に皆さんにご迷惑かけて申し訳なかった」と高橋氏。

 KDDIの大規模通信障害では、2022年7月2日未明の発生から約86時間が経過した4日目の7月5日15時36分に完全復旧宣言が出された。

 大規模通信障害の原因は、VoLTE交換機と加入者データベースの負荷の高まりにあった。復旧に必要な作業は、7月3日17時30分までに完了したものの、VoLTE交換機と加入者データベースの負荷が想定よりも下がらず、音声通話がつながりづらい状況が続いた。発生から復旧までの間、緊急通報が行えなかったケースもあった。

 それから約1年後の2023年6月30日、KDDIは「安全大会」を開催。大規模通信障害を未然に防止するための意識啓発や、安全に関する情報、知識共有を目的に、高橋氏をはじめ、社内および関連会社の約3200人が参加した。

 通信障害が社会に与える影響の大きさを改めて認識するとともに、再発防止に向けた改善取り組みの共有、それに最高のネットワーク品質を目指すことを誓ったという。あわせて、この1年で以下の内容を共有し、通信障害の再発防止を徹底するとの考えを明らかにしていた。

・早期の被疑箇所特定や、復旧に必要な手順の準備など

・ユーザーに対して、正確な情報を速やかに伝える

・設備監視強化のためのツールや、それに関する人財の育成

・通信障害の再発防止を目的としたネットワーク品質の強化

 高橋氏によると、「そこから技術陣と一緒になり、ネットワークとして一番になりたい」という思いが芽生えたそうだ。

 それからさらに約1年3カ月後の2024年10月16日、KDDIは英Opensignalによる日本のモバイル通信品質の調査レポートで高い評価を得た。全18部門のうち13部門で1位を獲得。国内MNOではKDDIが最多受賞となった。

 「やっと去年(2024年)、Opensignal(の調査)で一番が取れたところまで、技術陣が頑張ってくれたのは、僕としても非常に嬉しかったなと思う」(高橋氏)

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