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「どの生成AIに課金すべき?」を見極めるためにAI検索サービスに課金するという方法

ITmedia NEWS 2024年6月1日 18時5分

 今年前半の生成AI各社のアップデートが一通り出そろいました。米OpenAIの「GPT-4o」、米Googleの「Gemini Ultra」。そして、少し前の3月にアップデートされていた米Anthropicの「Claude3 Opus」が、今の生成AIの“御三家”といったところでしょうか。

 生成AIが通常のWebサービスなどと比較して、膨大なコンピューティングパワーを必要とし、そのためとてもコストが掛かることは、すでに知られている通りです。そのためもあってか、この手のサービスとしては、かなり初期段階から有料版が設定されてきました。そして、アップデートが進む中、無料版と有料版にかなりの差が付いてきています。

 中でも筆者の体感では、Claude3が一番差が大きいです。フリー版で使えるモデル「Sonnet」と、有料版の「Pro」で使える「Opus」では、もはや違うサービスなのではないかというぐらいに使っていて、快適度が違ってきます。

 有料版については、だいたい各社月額20ドルとなっています。高い価格ではありませんし、性能を考えれば、実質バーゲンプライスといってもいいのではないかという料金です。それでも、為替の影響もあり、1社ならまだしも、2社、3社と契約が増えてくると、専門家でもない限り、けっこう大きい負担でしょう。

 また、これもうれしいような苦しいような話なのですが、各社生成AIの性能が向上した結果、この生成AIを使っていれば問題なし! という状況でもなくなってきています(つまりChatGPT一強ではない)。これは、生成AIを利用する皆さんがどういうこと生成AIにさせたいのか? というところとも関係してくるわけです。そして、こればっかりは一度自分でそれなりの時間、生成AIを試してみないことには、正しい選択となりません。

 例えば、私のように日本語の記事を書くことが多く、それにまつわるいろいろな処理でも日本語を扱うことが多いと、全体的な性能では上回っているGPT-4oよりもClaude3 Opusの方がいい場面があったりします。それは、例えば日本語で書いた文章の校正などで違いが出たりします。GPT-4oがあっさり「問題ありません」と返答した時でも、Claude3 Opusはいくつかの修正点を提示してくれたりする、というような部分です。

 そして、そこはあえてセオリーを外して表現したところだったりもすることが多く、「Claude3 Opusは優秀だなあ」と思ったりもするわけです。でも、私がプログラマーであれば、きっと違う評価をするのではないか、と思ったりもします。

 つまり、現段階では生成AIを日常的に使うには、どの生成AIに課金すべきか? ということをなんらかの形でテストする必要があるということなんです。ある意味、いちばん簡単なのは使うかもしれない生成AIに全部課金すること。ただ、その場合、テストのためにそれぞれの生成AIの画面を、当たり前だけど開かなくてはいけません。これは地味に手間がかかり、結局いつもの画面を開きがちになってしまいます。

 そこで提案したいのが、自分の用途に合う生成AIを見極めるために「Perplexity AI」に課金するというやり方です。

●Perplexity AIに課金するというやり方

 Perplexity AIは、生成AIの中でも、検索に特化したAI検索サービスです。といっても、基本はチャットによる対話型です。

 最新のWebの情報とリンク先まで明示してくれるのがとてもていねいな設計でよろしいです(裏ではBingとChatGPTが動いています)。生成AIを何かを調べるという目的で使う人には、ChatGPTなどよりも、Perplexity AIの方がいい、という人もいると思います。

 そして、実は画像生成にも対応しています。もちろん、アプリもリリースされており、検索においてアプリでも調べることができるのはとても有効です。

 そして、Perplexity AIを有料版にすると、まずは高度な検索機能の「Pro Search」が1日300回以上利用可能になり(無料版ではProサーチは1日5回まで)、ファイルのアップロード回数が無制限(無料版では1日3回まで)になります。

 さらにPerplexityの中で、GPT-4oやClaude3 Opusといった最新AIモデルの有料版を選択できるようになるのです。

 ただし、PerplexityはAIによる検索がベースのサービスなので、どの生成AIを選択しても、それぞれのチャットで255文字の文字数制限があります。ここは本体との大きな違いです。それでも、テストとしては十分だと思いますし、それ以上に同一のチャット画面で、すぐに生成AIを変えた結果の差を見ることができるのは、テストとしてはかなりいい環境になっています。

 また、まだまだ生成AIを使いこなせていないと思っている人にとっても、この方法はおすすめできると思います。生成AIに慣れていないうちは、まずは調べものから入る場合が多いですが、ここはPerplexityの本来のサービスがその部分を担ってくれます。

 そこから、さらに生成AIにファイルを与えて、なんらかの処理をさせたり、日々の仕事でめんどうでできればやりたくないと思っていることを解決していくという方法に広げていけばいいのです。

 なお、テストで方向性が定まった場合、GPT-4oなりClaude3 Opusなりを選ぶことになると思いますが、GPT-4oにしてもClaude3 Opusにしても、本家で課金すれば、ざっくり10倍から100倍の文字数を扱えるという理解で問題ありません。また、Gemini Advancedの場合は、それをさらに上回る100万トークンという情報を扱うことができます(最大1500ページのPDFや、3万行のコード、1時間の動画など)。もちろん、検索がメインということであれば、Perplexityの有料版を使い続ければいいのです。

 この手のスキル獲得のためには、その昔より「習うよりも慣れろ」という言葉があります。これについては、無料版でちまちまやるよりも、まずは1カ月分でいいので、課金して、テストしまくって、慣れるのが、生成AIというものを自分の仕事や生活に取り入れていく近道になるはずです。

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