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「軍艦島で撮影」をスタジオで実現、東北新社らがバーチャルプロダクション素材 使用料の一部は保全予算に

ITmedia NEWS 2024年6月5日 14時23分

 総合映像プロダクションの東北新社は6月4日、世界遺産「軍艦島」の3Dデータをバーチャルプロダクション向け背景素材として7月5日より提供開始すると発表した。電通クリエーティブXなどと連携して提供し、素材使用料の一部は長崎市へ軍艦島の保全予算として還元するという。

 利用できるのは、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の1つである端島炭坑、通称軍艦島の3Dデータ。軍艦島はかつて海底炭鉱の島として栄え、日本初の鉄筋コンクリート造による高層アパートが建設されるなど、明治日本の近代化を支えた。しかし、1974年に閉山してからは建物の老朽化が進み、地理的・技術的理由からその保全は困難を極めているという。

 2023年に始動したHERITAGE DATABANKは、世界遺産をはじめとする貴重な自然や文化を3Dデータ化し、企業/団体と共に活用する保全プロジェクトを進めている。その第一弾として、長崎市協力のもと10日間にわたり立ち入り禁止区域や構造物の内側を含め全島を撮影。立入禁止区域や構造物の内側を含めてデジタルアーカイブ化した。

 東北新社が電通クリエーティブX、電通クリエーティブキューブ、ヒビノ、オムニバス・ジャパンと推進する共同プロジェクト「メタバース プロダクション」は、HERITAGE DATABANKと連携し、軍艦島の3Dデータをバーチャルプロダクションで利用できる背景素材として提供する。

 「Unreal Engine」で開発した背景素材はインカメラVFX撮影に対応しており、カメラの動きに合わせてLEDスクリーンに表示した背景をリアルタイムで連動。軍艦島を背景に演者を撮影することができる。メタバース プロダクションが提供する映像制作サービス「PXサービス」で利用可能だ。

 PX(Production Transformation)サービスは、メタバース プロダクションが提供するバーチャルプロダクションなどを活用した映像制作サービス。高精細LEDディスプレイ、カメラトラッキング、リアルタイムレンダリングを組み合わせた「インカメラVFX撮影システム」を駆使した撮影などを提供している。

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