Infoseek 楽天

GMO、「AI・ロボット」事業に参入 得意のネットインフラや金融を組み合わせた“総合力”で勝負

ITmedia NEWS 2024年6月18日 17時20分

 GMOインターネットグループは6月18日、AIやロボット、ドローンの導入・活用支援を行う新会社「GMO AI&ロボティクス商事」(GMO AIR)を設立した。商社機能として国内外からロボットを調達し、GMOが持つインターネットインフラサービス群、2013年から研究を進めているAI活用ノウハウなどと融合。2040年には1100万人足りないといわれる働き手問題の解決を目指す。

 事業としてはAIとロボットの2つの柱を持つ。AI事業は「コンサルティング&ソリューション」「製品販売&インテグレーション」「教育&リサーチ」などメインに据える。同グループ7800人の従業員に対し、AI活用を通じて実現した月間10万6000時間の業務時間の削減、2024年度で18億円のコスト削減をノウハウとして企業に提供する。「GMOリサーチ&AI」による最新のAI動向のリサーチも可能だ。

 AI分野でのスタートアップ支援やエコシステム形成にも力を入れる。GMOインターネットグループで投資事業を展開する「GMO VenturePartners」や、「GMO AI&Web3」を通じ、世界中のAI・ロボット企業への出資・支援を実施。AIのエコシステム形成も進めるとしている。

 ロボット事業では、ロボットやドローンの導入から活用までをサポート。最適な機器選定、設置、運用を支援する。発表会場には、中国Unitreeの2足歩行ロボット「H1」と4脚ロボット「B2」、米Boston Dynamicsの「Spot」、ドローンステーションを内蔵したugo(東京都千代田区)の「ugo+drone」、イームズロボティクス(福島県南相馬市)のドローン「EE600-100」、千葉工業大学の「CanguRo」など、車輪やアームを持つものから2足歩行型、4脚型まで登場した。

 現在のロボットといえばアーム型や車輪型が一般的だが、今後ヒューマノイドや4脚タイプも増えてくるという。その背景にあるのがAIの進化だ。GMO AIR顧問で千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏は、「従来型の制御でリアルワールドは無理。(AIの進化で)に車輪では行けないあらゆるところ、人が働いている環境で動けるようになる」と語る。ロボットは今後、AIがリアル世界で稼働するためのボディ(物理インタフェース)になるという。

●ロボット事業でGMOが持つアセットをフルに生かす

 GMO AIRのロボット事業は、社名に「商事」とあるように商社機能がメインとなる。ロボットやドローンは自社開発せず、国内外の有力なベンダーから商品を調達し、本AI事業やAI活用ノウハウ、GMOインターネットグループが手掛けるネットインフラ商材(ネット回線、ドメイン、クラウド、セキュリティ、決済、データセンターなど)、金融サービス(レンタルやリース、ローン、保険、助成金活用支援など)を組み合わせる。ロボット事業を手掛けるIT企業は他にもあるが、GMO AIRは同グループの総合力で勝負する。

 GMO AIRで取締役会長に就任する熊谷正寿氏(GMOインターネットグループ代表)によると、当初はAIコンサルティングが大きな柱になるという。「生成AI使ってない企業が全体の8割。啓蒙活動が必要。マーケットイン型営業を心がけたい」「インターネット産業の黎明期と同じ考え方で、当時プロダクトアウトした会社はあまり残っていない。(インターネットサービスを)これ便利だから使ってくださいというのは、消費者のニーズとマッチしないケースが多くある」(熊谷氏)

 一方、将来のビジョンとして、国内外のロボット・産業用ドローンメーカーに対し「インタラクションデータプラットフォーム」の構築と「金融サービス・LaaS(Labor as a Service)合弁設立」を目指す。合弁会社では融資、IPO支援、助成金活用支援、LaaSコンサルを予定。ロボットやドローンから得られる行動・観測データを、高精度で信頼性の高い全体データとしてまとめ、AI・ロボット・ドローンメーカーにフィードバック。AIとロボット産業発展の基盤にするとしている。

この記事の関連ニュース