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ネコよ、なぜ壁を引っかく──1200匹以上を対象に調査 カギを握るのは“家庭内の子供”の存在?

ITmedia NEWS 2024年7月11日 10時3分

 トルコのアンカラ大学やポルトガルのEgas Moniz School of Health and Scienceなどの研究者らが発表した論文「Evaluating undesired scratching in domestic cats: a multifactorial approach to understand risk factors」は、家庭で飼育される猫の望ましくない引っかき行動に関する研究報告である。

 1211匹の猫を対象に、望ましくない引っかき行動の要因を調査した。飼い主の報告に基づいた結果、子供の存在、猫の遊び時間と夜行性活動などが引っかき行動に影響を与える要因として特定した。

 家庭内に子供がいると、猫の引っかき行動が増加する傾向が見られた。これは、子供の存在が猫のストレスレベルを高める可能性を示唆している。遊びの時間が長く、活発で夜行性の強い猫ほど、引っかき行動が多い傾向があった。これは、長時間の遊びや夜間の活動が、猫の交感神経系を過度に刺激し、結果として引っかき行動を増加させている可能性がある。

 猫の性格特性も重要な要因であることが分かった。特に、攻撃的で破壊的な性格の猫は、引っかき行動が多い傾向があった。これは、そうした猫がストレスや欲求不満をより感じやすく、その結果として引っかき行動が増加している可能性がある。

 環境要因としては、爪とぎの設置場所が重要であることが明らかになった。猫が頻繁に利用する場所に爪とぎを設置すると、望ましくない引っかき行動を効果的に減らせる可能性がある。

 研究者らは、この調査結果に基づき、猫の個性と環境の両方を考慮することが重要だと強調。適切な遊び方の提供、ストレス軽減策の実施、戦略的な爪とぎの配置が、問題行動の予防に役立つ可能性がある。特に、狩りの成功シナリオを模倣した短い遊びを複数回設けることや、猫が頻繁に通る場所やお気に入りの休憩場所の近くに爪とぎを配置することを推奨している。

 Source and Image Credits: Demirbas YS, Pereira JS, De Jaeger X, Meppiel L, Endersby S and da Graca Pereira G(2024)Evaluating undesired scratching in domestic cats: a multifactorial approach to understand risk factors. Front. Vet. Sci. 11:1403068. doi: 10.3389/fvets.2024.1403068

 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2

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