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Sakana.ai、浮世絵風イラスト生成AIを公開 浮世絵をカラー化するAIも

ITmedia NEWS 2024年7月22日 11時43分

 元米Googleの著名な研究者、リオン・ジョーンズ氏とデビッド・ハー氏らが東京で立ち上げたAIスタートアップSakana.ai(東京都港区)は7月21日、浮世絵風イラストを生成できるAIモデル「Evo-Ukiyoe」と、浮世絵をカラー化できるモデル「Evo-Nishikie」(錦絵)を発表した。各モデルとそのデモをHugging Faceで公開している。

 各モデルは、同社が4月に公開した画像生成AI「EvoSDXL-JP」をベースに開発。いずれも、芸術品を研究・保管する立命館大学アート・リサーチセンターから提供を受けた浮世絵の画像2万4038点を活用したという。どちらも日本語の入力に対応する。

 Evo-Ukiyoeはt2i(テキストから画像を生成する)モデル。別のマルチモーダル(画像や言語など複数の入力ソースを扱える)生成AIを使って浮世絵の内容説明(キャプション)を付与し、人の手で調整するなどして浮世絵とキャプションの組み合わせをデータセット化した。このデータセットを使ってEvoSDXL-JPをファインチューニングしたという。

 一方のEvo-Nishikieはi2i(画像を基に画像を生成する)モデルで、単色もしくはそれに近い浮世絵の画像をカラー化したり、浮世絵の色を変換したりできる。画像とプロンプトの両方を入力することも可能。こちらはプロンプトと、ノイズ除去や線画化を施した画像の組み合わせをデータセットとし、Evo-Ukiyoeをベースに開発したという。

 公式サイトでは実際の生成結果なども公開中。Sakana.aiは各モデルの用途について「歴史や文化を学ぶための新たなコンテンツ作成に利用され、浮世絵に関する興味を増すことにつながり、日本や世界の人々が浮世絵や日本文化に興味を持つきっかけを生み出すことを期待している」としている。

 ただし、モデルを公開したのは研究開発が目的で、商用利用などは想定しない。「Sakana.aiは、得られた結果に関わらず、本モデルの使用から生じる直接的、間接的、特別、偶発的、結果的な損害、または損失について責任を負わない。ユーザーは、本モデルの使用に伴うリスクを十分に理解し、自己の判断で使用する必要がある」としている。

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