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ITで仕事は“効率化”したのに、忙しさが減らないのはなぜか考えた

ITmedia NEWS 2024年7月22日 12時34分

 ITmedia NEWS Weekly AccessTop10(7月13~19日)

1 「会社のWindows PCが突如ブルースクリーンに……」 世界中で報告相次ぐ 「仕事ができない」

2 VTuber・みけねこ、「ホロライブ」運営カバーとの協議が円満解決 “2年越し”に報告

3 「プライムデーの後も、割引続くことがある」Amazon自ら注意喚起

4 バッテリー駆動の「ポータブルクーラー」を検証、“真夏日の部屋”はどのくらい冷える?

5 「フェルナンデス」破産へ 昭和44年創業のエレキギターメーカー

6 「プライムデーだから買わなきゃ損」こそ無駄遣いの入り口だと、分かっていてもやめられない

7 世界規模のWindows障害が情シス的にだいぶ恐怖なワケ ブルースクリーン多発事件

8 IIJが「特製LANケーブル」を一般販売 自社のデータセンターでも使っている“プロ仕様”

9 ニコン「Z6III」を試す 部分積層型CMOSの実力は? 進化したAFとファインダーにも注目

10 「また貴重な資料が……」 Vectorのホームページサービスが年末に終了へ

 ITmedia NEWSにおける1週間の記事アクセス数を集計し、上位10記事を紹介する「ITmedia NEWS Weekly Top10」。今回は7月13~19日までの7日間について集計し、まとめた。

 先週のアクセストップは、世界850万台のWindows端末をブルースクリーン化したおそろしい障害だった。修正するためには、対象PCのリカバリー作業を手作業で行うしかなく、“情シス的にだいぶ恐怖”な状況に陥った。

 原因は、米CrowdStrikeが提供している、エンドポイント検知・対応型セキュリティツール(EDR)「CrowdStrike Falcon」の更新データにロジックエラーが含まれていたこと。EDRを導入するほどセキュリティ意識の高い企業が被害にあった今回の問題。ITツールやデータを“守る”難しさを感じさせる事件だった。

●IT化すれど、我が仕事楽にならず

 ここ最近、IT関連の大きなインシデントが続いている。KADOKAWAグループのランサムウェア被害、多くの自治体から通知書などの印刷業務を受託していたイセトー(京都市)のランサムウェア被害、東京ガス子会社への不正アクセスによる大規模な流出の可能性――。

 IT化やDX化により、1つのシステムやツールで大量の情報をさばけるよう「効率化」したことで、そのツールが攻撃を受けると全ての情報が被害にあってしまう。効率の良さと被害の大きさは裏表だ。

 かといってデータを切り離して管理すると効率が下がるし、セキュリティツールを入れると今度はそのツールの障害でシステムがダウンする可能性もある。効率か安全か。安全に倒しすぎると仕事が進まなくなり、アナログ時代に逆戻りしてしまう。

 ここ10年ほどで急速にIT化・DX化が進み、1人の人や企業がさばける仕事の総量は激増した。だがその分、過程や結果の責任を取らなくてはならない仕事の量も激増した。働く一人一人に余裕ができたかというと、どうも、逆のような気がする。

●AIで仕事「効率化」してみているけれど

 筆者は最近AIを使って仕事を「効率化」しようと試みている。

 調べ物やテープ起こしなどは、以前より短時間でできるようになり、効率化した気がする。とはいえ、AIをみんなが使うようになれば、AIを使った仕事のスピードが当たり前になる。その速度でこなせる仕事量を前提に世の中は回り始め、1人がかかえる仕事の量は増えていくだろう。

 ITを使うことで仕事を効率化し、別の何か……より生産的な活動なり余暇なりを楽しもう、というのが、IT化の理想・建前だったような気がするけれど、効率化によって生産量を増やしても、労働者の仕事の密度がより高まっていくだけで、余裕が増えたりすることはない。

 ……という考え方はあまりにネガティブすぎるだろうか。

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