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日テレ、ドラマ制作の指針を発表 「セクシー田中さん」問題うけ 放送の1年前までに原作側と基本合意など

ITmedia NEWS 2024年7月22日 18時45分

 日本テレビ放送網は7月22日、「日本テレビドラマ制作における指針」とする文書を公開した。原作者や脚本家をはじめ「すべての関係者を尊重し、安心・安全な制作プロセスと体制の構築に努める」としている。

 とくに漫画や小説を映像化する際は「原作を尊重し、その世界観をより深く理解するよう努めます。その上で、原作者と対面または直接会話するなどして、丁寧に時間をかけてコミュニケーションを取るように努め、ドラマ制作にあたっての方向性や具体的な表現手法に関する相互理解を深めます」としている。

 余裕がないといわれがちな制作スケジュールについても言及。原則として放送の1年前には企画内容について原作側と基本的な合意が形成できるように努めるという。また、関係者間のやり取りの土台となる文書「ドラマ化にあたっての相談書」を作成し、これをもとに原作許諾契約書、脚本契約書を早期に締結するとしている。

●社内に「SNS 危機対応チーム」組成

 SNSの利用に関しては、すでにある「日本テレビソーシャルメディアポリシー」をドラマ関係者に周知徹底し、社外の関係者も利用できる相談窓口を設置する。

 また社内にコンプライアンス推進室を中心とする「SNS 危機対応チーム」を組成。トラブル発生時には専門医や弁護士らの協力を得て、速やかに事態の収束を図る。

 この他、ドラマ制作体制についても、個人に過度の負担が生じない制作体制の構築や、若手プロデューサーをベテランプロデューサーが補佐するなどのフォロー体制を作るといった項目を盛り込んだ。さらに契約やSNSに関する各種の社内研修や、原作者・出版社との意見交換、経験豊富なプロデューサーによる講習会などを実施するとしている。

 日本テレビは「この指針を原則として、より丁寧なドラマ制作に努めて参ります」としている。

 一方の小学館は、作家の要望や許諾条件を逐次文書化するなどの方針を盛り込んだ「刊行物の映像化に関する3項目の指針」を6月に公表した。

 日本テレビのドラマ「セクシー田中さん」を巡っては、原作者の芦原妃名子さんが、意図にそぐわない改変を繰り返す脚本の修正に翻弄され、制作側が委託した脚本家を降板させて自ら9話と10話の脚本を執筆した。その後、脚本家がInstagramでこの一件を揶揄する投稿を行ったため、芦原さんがブログとXで反論。世間の批判が脚本家に集中し、芦原さんは「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい。」という言葉を残して亡くなった。

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