米Googleは7月22日(現地時間)、これまでの方針を転換し、サードパーティCookieの廃止を見送る新たなアプローチを発表した。
Googleは2020年、オンラインプライバシーの向上と広告収益モデルの維持を目指して「プライバシーサンドボックス」を開発すると発表した。その際、2年以内にサードパーティCookieのサポートを終了(Cookieを廃止)すると予告したが、規制当局やパブリッシャー、プライバシー保護団体などからの懸念もあり、廃止予定を何度か延期してきた。4月の段階では、2024年中の廃止はないとしている。
しかし、今回の発表では、サードパーティCookieを完全に廃止するのではなく、ユーザーが自らの選択でプライバシー設定を管理できる新たなエクスペリエンスをChromeに導入すると説明している。
この新たなアプローチは、ユーザーがWeb閲覧全体に適用される情報に基づいた選択を行い、その選択をいつでも調整できるようにするものという。Googleは、この変更について規制当局と議論を進めており、業界とも連携して展開していく予定だとしている。
Googleは、移行の複雑さと参加者全員への影響を考慮し、この新しい方針に転換したという。この新しい方針により、パブリッシャーや広告主にとっても、競争力のある市場が維持されることが期待できるとしている。
同社は、2024年第1四半期に実施した、プライバシーサンドボックスとサードパーティCookieとのパフォーマンスの比較実験の結果も公表した。サードパーティCookieを削除すると、広告収益は減少するが、プライバシーサンドボックスを有効にすると減少は緩和されることを示している。
プライバシーサンドボックスAPIの提供と改良は続ける。今後、ユーザーが閲覧データをより細かく制御できるようにすることに注力し、ChromeのシークレットモードにIP保護を導入する計画も進めている。
Googleは「サードパーティCookie廃止の代わりに、Chromeに新しいエクスペリエンスを導入する」と表現しており、サードパーティCookie廃止をやめるかどうかははっきりしていない。
プライバシーサンドボックスの取り組みに懸念を示してきた英政府競争規制当局である競争・市場庁(CMA)はこの発表を受け、「ICO(英国の個人情報保護監督期間である情報コミッショナーオフィス)と緊密に連携して、プライバシーサンドボックスに関するGoogleの新しいアプローチを慎重に検討する」と発表した。