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Google、Geminiのパリ五輪CMへの不評を受けテレビから撤回

ITmedia NEWS 2024年8月4日 7時1分

 米Googleは8月2日(現地時間)、パリ五輪開催に合わせて7月26日に公開した同社の生成AI「Gemini」のCMに多数の批判が寄せられたことを受け、この動画のテレビのオリンピック番組での放映を停止した。

 本稿執筆現在、YouTubeでは視聴可能なこの60秒広告「Dear Sydney」(記事末に転載)は、陸上競技の米代表であるシドニー・マクラフリン=レブローニ選手に憧れる娘のために、父親がファンレターの作成をGeminiに依頼するというものだ。

 Geminiへの依頼は「娘がシドニー・マクラフリン=レブローニにいかに刺激を受けているかを伝える手紙を書くのを手伝ってください。娘がいつか世界記録を破るつもりであること(そして、娘は『世界記録を破ったらごめんなさい、悪いとは思わないけど』と言っていることを含めてください」となっている。

 このCMが放映されると、SNSなどに多数の批判が寄せられた。例えばCNNやCNBCのコメンテーターも務めるコンサルタントのシェリー・パーマー氏は自身のブログで「これはまさに、絶対にやってほしくないAIの使い方だ」と批判した。「この父親は、娘が自分の言葉で誠実に気持ちを伝えるよう指導するのではなく、人間にとって大切なスキルをAIに頼るよう教えているのだ」と説明した。

 GoogleはThe Varietyなど複数のメディアに対し、「広告は放映前に十分にテストしたが、反響に配慮して五輪のローテーションから段階的に外すことを決定した」と語ったが、「われわれは、AIが人間の創造性を高める素晴らしいツールになると考えているが、AIが人間に取って代わることはできない」とこのCMの意図を説明した。

 動画に登場する父娘は実在の、レブローニ選手のファンという。「Geminiが、アイデアを探している人にとっての出発点、きっかけ、草稿を提供できることを示そうとしている」。

 IT大手がテクノロジーの力をアピールしようとして批判された最近の例としては数カ月前の、米Appleが新型iPadの高性能さを表現した「Crush」という広告が記憶に新しい。超薄型のiPadに圧縮された多様なクリエイティブ機能が詰まっていることを表現するために、ピアノやゲーム機など、レガシーなクリエイティブ関連製品をプレス機で潰していくというものだった。(こちらも現在,YouTubeでは視聴可能だ。)

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