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X、広告業界連合を独禁法で提訴 「戦争だ」とイーロン・マスク氏

ITmedia NEWS 2024年8月7日 12時17分

 米Xのリンダ・ヤッカリーノCEOは8月6日(現地時間)、広告業界の複数の連合とそのメンバー企業を独禁法違反で提訴したと発表した。「これらの組織とその幹部の違法行為により、Xは数十億ドルの損害を被った」としている。

 Xのオーナー、イーロン・マスク氏も自身のXアカウントで、ヤッカリーノ氏のポストに「2年間平和な解決を試みてきたが、もう戦争だ」と添えてリポストした。

 米テキサス州連邦地裁への提訴の対象は、GARM(責任あるメディアのための世界同盟)、WFA(世界広告主連盟)、GARMのメンバーである CVS Health、Mars、Orsted、Unileverだ。

 GARMは、WFAのメンバーが2019年に、デジタル広告主のブランド安全性に関する基準を設定するために設立した団体だ。世界の広告費の9割以上を占める大手ブランドが参加している。

 ヤッカリーノ氏は、GARMが大手ブランドと「共謀」し、マスク氏によるX(当時はTwitter)買収後、同社への広告をボイコットしたと主張している。訴状によると、GARMのメンバー18社が広告を全面停止し、他の数十社は支出を7割以上削減したという。

 ヤッカリーノ氏は、米下院司法委員会が7月に発表した「GARM’S HARM(GARMの害悪)」と題する報告書(PDF)を引用した。この報告書には「GARMとそのメンバーが好まないと判断したプラットフォーム、ポッドキャスト、ニュースメディア、その他のコンテンツを収益化できなくした」とある。

 「この行為によって被害を受けた人が他にもいる可能性が高いことも明らかだ。この事件は損害賠償だけの問題ではない。この違法行為を許す壊れた生態系を修復しなければならない」(ヤッカリーノ氏)

 Xはマスク氏による買収後、非公開企業になったため、業績発表はしていない。公開企業としての公開された最後の通年広告収入(2021年度)は45億ドルだった。複数の米メディアが同社の2023年の広告収入は半減したと報じている。

 マスク氏は、「広告主から組織的にボイコットされている企業」にXに続いて訴訟を起こすよう勧めている。

 米The New York Timesは米マーケティング企業Ebiquityのルーベン・シュルーズCSO(最高戦略責任者)の「(この訴訟は)あまりにも突飛で、率直に言ってばかげている」というコメントを紹介した。

 米Financial Timesのエドワード・ルース氏はXで「(マスク氏は)最も影響力のあるプラットフォームを利用して、自身の投稿やXが推進する内容を通じて人種間の対立や社会の崩壊を煽っている。民主主義国はもはやこれを無視することはできない」とポストした。マスク氏はこのポストに「『X/Twitter は死につつある』と何度も嘘をついてきた同じ旧来のメディアの馬鹿どもが、今ではそれが『最大かつ最も影響力のあるプラットフォーム』だと言っている」と添えてリポストし、トップにピン留めした。

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