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エアコンが故障? 自分で取り付けOKの「窓用エアコン」という選択肢 近年は静音化でユーザー満足度も向上

ITmedia NEWS 2024年8月11日 7時0分

 2024年の夏も、日中は35℃を超えるような猛暑が続いている。猛暑の中、熱中症にならないために欠かせないのがエアコン。扇風機だけ回しても、このような猛暑では熱風を浴びることになり、効果がなくなってしまいがちだ。

 猛暑の中で、最も困るのがエアコンの急な故障。修理までに時間がかかってしまう場合や、買い替えるとしても設置までに10日以上かかる場合もある。その間はエアコンなしで過ごすことになるのだ。そこで今回は、自分で取り付けることができる窓用エアコンという選択肢を紹介したい。

●“自分で設置”はメーカーも推奨

 窓用エアコンは、窓枠に取り付けられるエアコンのこと。一般的なエアコン(本記事では以下、ルームエアコン)はセパレートタイプと呼ばれるように、室内機と室外機が別体になっているのに対して、窓型エアコンは一体型となっている。このため、取り付けるとき壁に配管の穴を開ける必要がない。また室外機を置く場所がない部屋でも取り付けられる。

 窓用エアコンを数多く展開するのが、大手暖房器具メーカーのコロナ。冷房専用モデルに加えて、冷暖房モデルも用意している。

 窓用エアコンの最大のメリットは、ルームエアコンが取り付けられない部屋でも、引き違い窓があれば取り付けられる点だ。しかも、ユーザーが自分で取り付け可能。窓に専用の枠を取り付けて、そこにウインドエアコンを固定するだけなので、大人の男性なら1人で作業できる。取り付けにかかる時間は約30分。つまりエアコンの設置工事を待つことなく、購入して持ち帰ればその日のうちに使えるのだ。

 コロナのWebサイトでは窓用エアコンの取り付け方を詳しく解説している。動画も用意されており)、購入者による取り付けが推奨されている。

 この数年の間に、実際に窓用エアコンを取り付けた数人に話を聞いたところ、全員が大人1人だけで簡単に取り付けられたと語る。

 「取り付けは簡単でした。専用の枠を窓枠に固定。その専用枠に本体をカチャとはめるだけで、1人でできました」(ユーザーMさん)

 さらにコロナでは別売で「窓枠用アタッチメント」を用意。これまで窓用エアコンの取り付けが強度の関係でできなかった、樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシにも対応したという。

 「これまでは、立ち上がり(窓のレールが窓枠から飛び出している部分)のないサッシに設置する場合は窓の額縁に補助金具を直接ねじで固定する必要がありましたが『窓枠用アタッチメント』を使用することで補助金具が不要となり、賃貸住宅などでも取り付けやすくなりました」(コロナ)

●窓用エアコンのデメリット

 窓用エアコンには、いくつかのデメリットがある。その1つがルームエアコンに比べて運転音が大きいこと。これは窓用エアコンが一体型となっていることによるものだ。ルームエアコンでは室外に設置されるコンプレッサーの駆動音や振動が、窓用エアコンでは本体から室内に伝わってしまう。

 ただし近年では、この運転音も大きく改善している。昔のイメージではかなり大きな運転音がしていたイメージだが、特にコロナの冷房専用シリーズでは低振動設計を採用しており、コンプレッサーの回転による振動が低減されている。

 「当社の窓用エアコンでは、コンプレッサーをスムーズに回転させることと防振材などでコンプレッサーの振動を抑えることにより運転中の騒音を低減しています。また運転停止時の“ガタン”というコンプレッサーの停止音も、当社独自の制御で和らげるようにしています」(コロナ)

 このため、ここ数年に利用を開始したユーザーからは、振動や騒音に関する不満もほとんどなかった。「電源を入れたあと、コンプレッサーが回りだすときに、少し音が出るが気にならない程度。振動は全く感じない。コンプレッサー音は思ったよりも静かだった」(ユーザーKさん)

 また、音はするとしながらも、「静粛だとは思いませんが、うるさい!ってことはない」(ユーザーMさん)、「動作音はありますが、連続して使用していると気にならないレベル」(ユーザーOさん)という意見もあった。

 静音性に関しては、ルームエアコンには劣るものの、実用上問題ないレベルに改善されている。

 このほかのデメリットとしては、窓枠の種類や建物の構造によっては取り付けられない場合があること。また本体を大型化できないため、ルームエアコンのようにリビングなどの大きな部屋には対応できない。コロナの窓用エアコンで最も大きな「CW-FA1824R」でも7/8畳(50/60Hz)までの対応となっており、寝室や子ども部屋向きだ。

  消費電力については、かつてはルームエアコンよりも高い点がデメリットとされたが、現在は製品の省電力化が進んでいる。例えば、同じコロナの6畳用で期間消費電力を比較すると、窓用エアコン「CW-FA1624R」が350/400kWh(50/60Hz)、ルームエアコン「RC-2224R」が367/429kWh(同)とほとんど変わらない。これを電気代に換算すると1万850円/1万2400円、1万1377円/1万3299円となり(1kWhを31円で換算)、ほとんど差はないといえる。

 ただし冷房能力は、窓用エアコンが1.4/1.6kW(同)なのに対して、ルームエアコンは2.0/2.2kW(同)。そのためルームエアコンの方が、外気温が高いときなどに強力に運転できる。

●エアコンの選択肢として、特に賃貸派に

 現在、窓用エアコンを販売しているのはコロナ、コイズミ、トヨトミ、ハイアールの4社。以前は大手家電メーカーも販売していたが現在は撤退している。窓用エアコンを導入する場合、この4社のモデルから選ぶことになる。

 窓用エアコンの価格は4~8万円で、5万円前後が主流。本体価格は同等クラスのルームエアコンとほとんど変わらないが、取り付け費用がかからないため、その分の導入費用を抑えられる。そして、自分で取り付けられるので買ったその日から使える。

 実際に窓用エアコンを導入したユーザー事例の中には、ルームエアコンも取り付けられる場所ながら、手軽さや導入コストの安さを重視して窓用エアコンを導入した人もいた。

 さらに賃貸住宅に住んでいる場合、自分で取り付け・取り外しできるため、引っ越し先でも利用可能。業者による作業が必須のルームエアコンとは手軽さが違うのだ。

 近年はスポットクーラーも一般家庭に普及し始めているが、「窓用エアコンはスポットクーラーと違い、すべての排熱が屋外にされるため、少ないロスで熱交換ができます。室内には排熱の影響がないため、効率よく冷房することができます」(コロナ)としている。

 冷房能力を考慮すればルームエアコン一択だが、昔は「うるさい」「効かない」というイメージだった窓用エアコンも進化していた。使える部屋は選ぶものの、手軽に設置できる選択肢として覚えていて損はないだろう。

(コヤマタカヒロ)

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