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開成高校、学食決済にPayPay導入 生徒2人が注文アプリ自作 「食券購入の列無くしたい」

ITmedia NEWS 2024年8月26日 19時40分

 私立開成学園(開成高等学校)の食堂に、モバイル注文Webアプリ「学食ネット」が9月から導入される。食堂にある食券機に並ぶ列の混雑解消を目的としたもので、支払い方法にPayPayを導入。注文から決済までをオンラインで完結できるようになった。この学食ネットだが、制作したのは同校に通う2人の生徒だという。

 開成学園は併設混合型中高一貫校で、在校生徒数は延べ2000人を超える。昼食時には多くの生徒が食券機に並ぶが、食券を購入する必要があり、食事する時間が限られてしまうなどの課題があったという。開成高校3年の秋山弘幸さん、同じく2年の周詩喬さんは食券機に関するアンケートを実施。約6割の生徒が食券機の待ち時間が長く利用を諦めたことがあり、半数以上が食べる時間が足りず急いで食事をしたことがあるとの回答が集まった。

 こうした事情から、混雑解消を目的としたモバイルWeb注文アプリの開発をスタート。複数のキャッシュレスサービスを検討する中でアンケートを実施したところ、約7割がPayPayをインストール済みだった他、未利用者のうち4割が、学食ネットをきっかけにPayPayをインストールする意向があると判明。「食券購入に便利だと思う決済手段」というアンケートで1位だったこともあり、PayPayの採用が決まった。交通系ICも2位につけたものの、Web/アプリ内決済に非対応だったため選択肢から外れている。

 注文方法は、まずWebアプリを開きメニューを選択する。メニューは日替わり表示に対応し、売り切れなどの在庫情報も確認可能だ。次に決済方法を選択し、PayPayの画面に遷移して決済を完了させる。あとは任意のタイミングで食堂に行き、Webアプリ内の電子食券画面を見せればOKだ。厨房にはタブレットが設置されており、商品の販売/売り切れをコントロール可能。管理画面で1週間分のメニューを事前登録することもできる。なお使用しなかった食券は返金されるという。

 アプリ開発には、「PayPay Open Payment API」を使用。WebペイメントのSDKを使用するドキュメント、REST APIのドキュメントを参照し、決済・返金処理を実装。開発者向けの問い合わせからエラー解決の支援も受けたという。金銭に関する処理を含むプログラムは初経験で、例外処理などに苦労したという2人だが、開発自体はとても新鮮な経験になったとしている。今後は、メニューごとのアレルギー表示、現在の待ち時間表示、購入メニューの保護者への通知、料理のレビュー機能などを実装する予定。

 PayPayは、2024年度から全国の学園祭(文化祭)や、学校における部活動費、給食費、教材費などへのPayPay導入を本格始動しており、23年度の3倍以上のペースで学校関係者から問い合わせが来ているという。こうした取り組みの結果、10歳から18歳までのユーザー数は、24年6月末時点で前年同期比約3割増と大きく伸長したとしている。

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