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「目を覚まして……」──ゼルダ姫が優しく起こしてくれる「Alarmo」使ってみた 任天堂の“高級目覚まし時計”の実力は?

ITmedia NEWS 2024年10月17日 19時5分

 「目を覚まして……目を覚まして……リンク……」──ゼルダ姫が毎朝起こしてくれる……。そんな体験ができるのが、任天堂が10月9日に発売した目覚まし時計「Alarmo」(アラーモ)。記者も興味本位で、発売日にECストア「マイニンテンドーストア」で注文したところ、1週間後の16日に商品が届いたので早速使ってみた。

 レビューの前に、アラーモの商品概要をおさらいする。アラーモは、複数のゲーム音を収録した目覚まし時計で、最大の特徴は“利用者の動きに反応する”という点だ。「うごきセンサー」を搭載しており、電波を使って利用者の動きを捕捉。これにより、人の動きに合わせてアラーム音を変化させられる他、二度寝防止にも有効という。

 なお、定価は1万2980円と一般的な目覚まし時計よりも高価だ。そもそも、目覚まし時計代わりにスマートフォンを利用する人も多い現代(記者も目覚ましにはスマホを使っている)。そんな時代に任天堂が発売した“高級目覚まし時計”、その実力やいかに。

●アラーモのチュートリアル アラーム音はなぜか試聴できず

 早速アラーモを開封すると、入っていたのは、アラーモ本体とUSBケーブル、安全に関するメモ(セーフティガイド)の3点。アラーモの利用には常にコンセントからの給電が必要だが、ACアダプターは付属していないため、給電用のUSB機器を自前で用意する必要がある。

 アラーモの操作は、3つのボタンで行うようだ。上部にある白い大きなボタンはダイヤル式で、左右に回すことで項目を選べ、押すと決定となる。メニューや設定を触る際にはこのボタンを使う他、アラーム音を手動で消すときにもこのボタンを使うらしい。他にも「もどるボタン」と「お知らせボタン」がそれぞれ付いている。

 仕様を確認したところで、コンセントに接続し電源を付けてみる。チュートリアルが始まり、ダイヤル操作のチュートリアルや、言語と居住地、日時の設定していく。さらに、うごきセンサーのテストとして、アラーモの前で左右に動いたり、遠ざかったりすることを求められた。

 それを終えた後、アラーモが「ベッドに移動してください」と表示し、ベッドに誘われてしまった。

 アラーモの動き感知機能を使うには、ベッド周りの情報が必要らしい。具体的にはベッドサイズや、ベッドとの距離、アラーモを置く位置などだ。また、ベッドより高い位置に置く必要もあるようで、ベッドよりもやや低いサイドテーブルを使っていた記者は、使っていない眼鏡ケースをアラーモ専用の土台に使った。

 位置を決めた後は、実際にベッドで寝てうごきセンサーのテストが始まる。それを終えるとアラーム音と起こし方の設定へと移った。

 アラーモは、「スーパーマリオ オデッセイ」や「ピクミン4」など5つのタイトルから7シーンの音、全35種類のアラーム音を収録している。早速、選ぼうとしたのだが、どうもアラーム音の試聴はできないようだ。

 これには正直「なんで?」という気持ちになった。一応アラーム音の名称は出るため、ゲーム音楽に詳しい利用者ならそれだけで分かるかもしれないが、全員がそうとは限らない(記者は詳しくないので名称だけでは分からなかった)。それにどの音なら起きられそうか実機で確認したいユーザーも多いだろう。

 ひとまず初日は「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(ブレワイ)から「冒険のはじまり」というアラーム音を選択。この音源は公式Webサイトで試聴でき、それによるとブレワイのヒロインであるゼルダ姫が「目を覚まして……」と呼び掛けてくれるらしい。起こし方については、音量が標準的である「しっかり起こすモード」を選んだ。

 ここまででチュートリアルは終わりのようだ。長くなったが、早速アラーモをベッドの近くに置き、寝てみることにした。

●アラーモとの初めての夜

 アラーモには「おやすみサウンド」という機能がある。これは設定した時刻に入ると、眠気を誘う音楽が5分間流れるというもの。設定したアラーム音によって変化するようで、ブレワイを選んだ場合は「パチパチ」と、たき火をしている音が流れ、アラーモの画面ではブレワイの主人公・リンクがたき火している様子も写った。

 部屋を暗くすると、アラーモのモニターも暗くなる。しかし、寝返りをうちアラーモの画面を見ると時刻が読める程度に明るくなる。どうやらここでも、うごきセンサーが働くようだ。記者は部屋を真っ暗にしないと寝れないため、ややうっとうしく感じたが、目をつぶり画面をなるべく見ないようにした。

 そうこうしているうちに、気が付けば眠りに落ち、あっという間に朝がやってくる。

●「目を覚まして……」 ゼルダ姫のささやきを無視し続けると……

 「目を覚まして……目を覚まして……リンク……」──17日の朝はそんな声で目を覚ました。優しくささやくようなゼルダ姫の声であったが、無事に起きることができたようだ。意識が戻り、ベッドの上でもぞもぞと動いているうちに、アラーム音は勝手に止まってしまった。どうやら、これが任天堂の言うところの“触れずに使える”ということらしい。

 しばらくベッドから離れずにいると、ちょっとした動きも感知し、画面上にいるリンクが「ハッ!」「へッ!」などと声を上げて、動く様子を確認できた。また、動かずしばらくじっとしていると「目を覚まして……」と、ゼルダ姫がまた優しく訴えかけてくる。

 アラーム音が鳴ってから20分間、ベッドから離れずにいたところ、アラーム音が変化した。優しかったゼルダ姫は去り、敵キャラクター・ガーディアンの登場音が鳴り響いた。プレイヤーをロックオンし、レーザーで攻撃してくる(音を大音量で流す)ため、観念してベッドから離れると、リンクがガーディアンを討伐し、アラーム音を止めてくれた。

 このように、アラーモでは20分間ベッドから離れないとアラーム音が激しい音に変化する仕様がある。また一度ベッドから離れた後も、1時間以内にまたベッドに戻ると、ゲージがたまり一定値を超えると、アラーム音が再度鳴る。つまり、アラーモの前で二度寝をするのは非常に困難ということである。

 余談だが、ゼルダ姫の姿を動画に残そうとスマートフォンを構えたのだが、少しの動きでもアラーム音が止まってしまう仕様のため、これが結構難しい。寝ぼけた状態のまま、なんとか頑張って撮影したつもりだったが、とてもお見せできるような映像にはなっていなかった。そのため、昼頃に別撮りでアラーム音を撮影したので、どんな風にアラーム音が鳴るか気になる人はそちらを確認してほしい。

●結局は目覚まし時計 1万2980円の価値はあるか?

 というわけで、取りあえずアラーモを1日使ってみた。確かに“動きを感知する”という仕組みは体験してみると、今までにない不思議な感覚があった。特に二度寝防止機能として、アラーム音が激しくなる仕様とベッドに戻ると再びアラーム音が鳴る仕組みは、二度寝対策としては非常に盤石といえるだろう。

 一方で、記者がどうしても気になるのがアラーモ内でアラーム音を試聴できない点だ。前述の通り、なぜこのような仕様なのかは不思議でならない。公式Webサイトで試聴できるならともかく、そこでも全ての音を聞くことはできない。もちろん、アラーム音をわざと鳴らして聞くことはできるが、そもそも設定画面の時点で聞かせてくれれば済む話であって……。個人的には納得のいかない部分である。

 また、懸念点としては「任天堂を嫌いになってしまう可能性」も挙げられる。記者は、同じ目覚まし音を使い続けていると、だんだんとその音が嫌いになっていくタイプで、定期的にアラーム音を変えている。そのため、毎朝ゼルダ姫に起こしてもらい続ける、もっというとアラーモを使い続けていると任天堂のゲームが嫌いになるのでは、という懸念がある。

 アラーモは35種類のアラーム音を搭載しているため日ごとに違う音に変えるか、もしくは再生するアラーム音をシャッフル再生する機能もあるので、それを利用すれば一つの音への嫌悪感を減らせると思うが……。この辺りについては、使い続けて感じることがあれば追加レビューなどで伝えたい。

 現状の記者の結論としては、アラーモは確かに面白い商品だと思う。ただやはり、任天堂のゲーム音が聞けるとはいえ、結局は“目覚まし時計”でしかないため、そこに1万2980円を支払う価値があるか。もしかすると、人によっては「やはり高かったな……」と感じる可能性があると思う。「万人が満足するとはいえない商品」という評価で、記者は腹落ちした。

 なおアラーモは17日現在、マイニンテンドーストア上では抽選販売となっており、「Nintendo TOKYO/OSAKA/KYOTO」などの店頭でも品切れしているという。

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