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「片足立ち」が老化測定でもっとも効果的 “バランス能力”は性別関係なく如実に低下 米研究者らが発表

ITmedia NEWS 2024年11月13日 8時5分

 米Mayo Clinicなどに所属する研究者らが発表した論文「Age-related changes in gait, balance, and strength parameters: A cross-sectional study」は、高齢化に伴う歩行、バランス、筋力の変化を調査した横断研究である。

 加齢に伴う身体機能の変化を調査するため、40人の参加者(65歳以上20に、50~64歳20人)を対象とした臨床研究を実施した。両グループ間で身長、体重、BMI、転子高、活動レベルについての統計的な差は認められなかった。

 測定項目は多岐にわたり、上肢の筋力として握力、下肢の筋力として膝の伸展力を計測した。バランス能力の評価では、両足立ち(開眼・閉眼)と片足立ち(利き足・非利き足)を各30秒間実施し、フォースプレート上での圧力中心の移動を測定した。歩行分析では14台のカメラを使用したモーションキャプチャーシステムにより、歩行速度、歩幅、歩隔などの詳細なデータを収集した。

 研究結果から、歩行パラメータには年齢による有意な変化が見られなかった一方、筋力とバランス能力には明確な加齢の影響を確認できた。特に注目すべきは、片足立ちの持続時間が最も顕著な加齢変化を示したことである。

 非利き足側が10年当たり-0.62標準偏差、利き足側が-0.53標準偏差と顕著な低下を示した。なお、片足立ち時の平均的な姿勢動揺については、利き足・非利き足ともに年齢や性別との関連を示さなかった。

 両足立ちテストでは、全ての参加者が容易にバランスを維持できた。その間の圧力中心の移動量を測定したところ、加齢とともに増加することが分かった。これは開眼時で10年当たり6.3%、閉眼時で10.4%の増加を示した。この結果は、加齢とともにバランス維持のための身体の揺れが大きくなることを示している。

 筋力については、10年当たりの低下率を標準偏差で見ると、握力が-0.34標準偏差、膝の伸展力が-0.26標準偏差を示した。性差に関して興味深いのは、筋力では男女差が認められたものの、バランス能力の年齢による低下率には性差が見られなかったことである。男性は女性より握力で30%、膝の伸展力で27%高い値を示したが、バランス能力の低下パターンは男女で同様であった。

 この研究の重要な発見は、片足立ちテストが加齢による身体機能低下を評価する最も鋭敏な指標となることを示したことである。このテストは特別な機器や専門的技術を必要とせず、一般的な診療現場や自宅でも実施可能である。また、性別に関係なく評価できる点も大きな利点である。

 Source and Image Credits: Rezaei A, Bhat SG, Cheng C-H, Pignolo RJ, Lu L, Kaufman KR(2024)Age-related changes in gait, balance, and strength parameters: A cross-sectional study. PLoS ONE 19(10): e0310764. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0310764

 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2

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