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多様性に配慮したせいで不評とされる「アンノウン9」をマンガ家がプレイした感想は……「ちょっと違う」

ITmedia NEWS 2024年11月17日 12時20分

 最近、ポリコレや多様性(DEI)に配慮したとされるゲームが大失敗するケースが相次いでいます。以前、取り上げた「CONCORD」は、あまりのユーザーの少なさにわずか2週間でサービスを中止し、その後開発スタジオが閉鎖される事態に。しかしそのCONCORDを超えた、といわれるゲームがありました。

 それは、カナダに本拠を置くReflector Entertainmentが開発し、10月18日に発売した「Unknown(アンノウン)9:Awakening」です。Steamの最大同時接続数がわずか285人で“CONCORD超え”などと揶揄されています。ただ、ここまで少ないとクソゲー好きの血が騒ぎます。売れない理由は本当にDEI絡みの部分なのか、実際にプレイしてみました。

●プレイして感じたこと

 結果から申し上げますと、単純に面白くありませんでした。ストーリーは専門用語がほとんど説明もなくバンバン飛び交うのであまり理解できませんし、敵から身を隠す、いわゆるステルスが醍醐味だったはずの戦闘も、基本的に敵を全滅しないと先に進めないため、そもそも身を隠す必要性があまりありません。

 フィールドも一本道で探索要素も少なく、人物描写もほぼないために登場人物に感情移入できません。あまりにも面白くないため、結局まだクリアできずに放置しちゃってる始末です。

 ただ、個人的にはこの作品からそこまで思想的なものは感じませんでした。このゲーム、実はDEIのコンサルタントを行う会社の関係者が制作に関わったといわれ、一時期、海外で大炎上していたのですが、思想的なことを理由に本作を酷評するのはちょっと違うのではないか、と思いました。

 今回のマンガでは別のゲームも少し取り上げているのですが、確かにDEIに配慮して作られたゲームが増えた結果、キャラクターの魅力が減ってしまったり、一部の思想を押しつけられたりする印象のゲームが出てきたことは事実だと思います。その結果、ユーザーがゲームを純粋に楽しめなくなっている現状は、健全ではないとボクは考えます。

 一方、ゲームを評価する際、プレイするより前に思想的な部分が取り沙汰されるのもあまり良いこととは思わないです。ゲームは遊びなので、楽しいのが一番。遊びにノイズが入らない、純粋に面白いゲームが今後もたくさん作られることを期待しています。

●著者紹介:サダタロー

1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。

●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場

漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる~く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。

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