DMM.comグループで暗号通貨取引所を運営するDMM Bitcoinは12月1日、廃業の意向を発表した。5月に発生した暗号資産の不正流出に関する決定で、口座と預かり資産をSBI VCトレードに移管することで両社間で合意したとしている。
同社を巡っては、当時のレートで482億円相当のビットコイン(4502.9BTC)の不正流出が5月末に発覚。顧客の資産保護のため、同グループ会社からの支援などにより、6月には550億円分のビットコイン調達を完了していた。
また、9月には関東財務局がDMM Bitcoinに対し、業務改善命令を発出。同社では業務開始以降、システムを統括管理する役員を配置しないまま、情報セキュリティ管理などの権限を一部の者に集中。システムリスク管理部門として自らモニタリングさせていたことから、管理体制などを問題視。
暗号資産の流出リスクへの対応に関しても、ビットコインの所有者であることを証明する暗号コード「秘密鍵」を一括で管理。金融庁の出すガイドラインに反する取り扱いであると認識したまま、その取り扱いを継続していたという。この他にも不適切な体制、対応があったことから、関東財務局では「今回の流出事案についての具体的な事実関係及び根本原因の分析・究明」「適正かつ確実な業務運営の確保」などを命令していた。
DMM Bitcoinによると、不正流出についての調査は続けており、暗号資産の出庫処理や現物暗号資産の買い注文の受付などのサービスの利用を制限している。一方で、この状況が長引くことは、ユーザーの利便性を大きく損なうと判断。同社に開設済みの口座・預かり資産を他社に移管することを決定したとしている。
今回の合意により、同社に開設済みの口座・預かり資産(日本円、暗号資産)は、2025年3月頃を目途に全てSBI VCトレードに移管される予定だが、レバレッジ取引における未決済ポジションは移管対象外。移管日前の一定の期日までに全て決済することになるという。移管完了後、DMM Bitcoinは事業を廃止する予定だ。
両社は、口座・預かり資産の移管に関する契約締結に向けて協議を継続している段階としており、具体的な移管日や移管方法などの詳細が決まり次第、速やかに公表するとしている。