本田技研工業(ホンダ)と日産自動車は12月23日、経営統合に向けた協議を正式に始めると発表した。2025年1月末をめどに結論を出す考えで、三菱自動車工業も合流を検討する。同日行われた共同会見には三社のトップが顔をそろえた。
ホンダの三部敏宏社長は「経営統合そのものを決定したものではない」と前置きしながら、3月に発表した戦略的パートナーシップの検討以降、話し合いを進める中で「より大胆に踏んだ変革が必要ではないか。実現方法として経営統合がもっとも合理的ではないかと合意した」と説明する。
また三部氏は、今回の合意は業績が低迷している日産の救済を意図したものではないと強調した。あくまでも2030年以降も両社が世界のトップランナーでいるための手段で、日産が現在進めている4000億円規模の事業立て直し計画(ターンアラウンド)に見通しをつけることが経営統合への条件の1つになるという。「自立した2社であることが前提だ」。
日産の内田誠社長は「ターンアラウンドを諦めたわけではない。11月の決算発表で『まずは再生する』と申し上げた。その見通しをつけるのが私の使命だと考えている」と話している。
一方、三菱自動車の加藤隆雄社長は「ホンダと日産の経営統合が進むことありき」で25年1月末に参画するかを判断する考えだ。
仮に経営統合を進める場合、両社は25年6月をめどに最終契約書を締結し、26年8月ごろに共同持株会社を設立する見通し。持株会社は、取締役のほとんどをホンダが指名するという。
「経営統合の成果が出始めるのは2030年ごろとみている。クルマの電動化・知能化も個々でやるのは厳しく、経営統合は1つの手段」(三部氏)
なお、一部報道にあった台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の日産買収計画については「そうしたアプローチを受けた事実は一切ない」(日産の内田社長)。「われわれも報道を見て知った」(ホンダの三部社長)と否定している。