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あすけんを開発するITエンジニアは“あすけんの女”を泣かせていないのか? 普段の食事を聞いてみた

ITmedia NEWS 2024年12月26日 12時5分

 「あすけんの女、すぐ泣く」――AI食事管理アプリ「あすけん」に関し、SNS上ではよくこんなふうに言われている。あすけんでは、ユーザーが食べた食事の画像をスマートフォンのカメラで読み取り、食事のカロリーや栄養素を計算。ダイエットなど各ユーザーが設定した目標を達成できるよう、“あすけんの女”こと、栄養士のキャラクター「未来さん」が食事を評価してくれるのだが、その際の表情が時折Xで話題になる。

 未来さんは、目標に適した食事を評価する際は笑顔になる一方、ユーザーがお酒を飲み過ぎていたり、摂取カロリーが少なすぎ/多すぎたりするなど不摂生をすると、涙を見せる。これに対し、SNS上では「あすけんの女は厳しすぎる。すぐ泣く」「泣かれずに済む方法が分からない」「逆に泣かせたい」など、未来さんの“厳しい”評価が話題になるのだ。

 こうした声に記者も注目していたのだが、ある日の編集会議でのこと。ITエンジニアの食事が話題になった。そこで、記者に1つの疑問が生じた。ITエンジニアとして働いている友人に聞くと、食生活が不規則になりがちという話を耳にすることが多い。では、あすけんを開発するITエンジニアは“あすけんの女”を泣かせていないのか、と。

 運営元のaskenに対し、この疑問を投げかけてみたところ、あすけんを開発するITエンジニアの食事を取材できることになった。取材したのは、普段からあすけんを利用しているという3人のエンジニア。取材テーマを伝えたうえで、11月下旬の平日から1日を選んでもらい、その日の全食事メニューと、メニュー対するAI栄養士・未来さんの評価などを聞いた。果たして、未来さんは泣いていないのだろうか。

●りょーちんさん

 1人目は、バックエンドエンジニアとして、あすけんの法人向けサービスを開発しているりょーちんさん(仮名)。20台後半の男性で、趣味は筋トレや野球。「適正体重よりやや太っている」として、あすけんの目標はダイエットで設定しているという。どこかストイックな姿勢が伺え、食事の内容が気になるところだ。早速見ていきたい。

●朝食

 この日のりょーちんさんの朝食は、プロテインのみ。「朝は固形物を食べるモチベーションになれないので、タンパク質が補給できるプロテインを流し込むことで食事を楽に済ませている」という。

 これに対し、AI栄養士・未来さんは「食事量が少ないようなので心配」との評価だった。筋トレなどで重宝されるイメージのあるプロテインだが、「栄養が不足すると、疲れを感じやすくなったり、パフォーマンスも下がりがちになる」として、朝でもしっかりと食事を摂ることを勧めていた。

●昼食

 昼食は、薬膳カレーに野菜サラダ、玄米茶。ヴィーガン料理を出す行きつけの定食屋で食べたという。「土日は外食をして好きな食べ物中心の食事をしている」として、平日の食事では、休日の不摂生を調整できるよう意識しているそうだ。

 朝・昼を含めた食事に対しても、未来さんは「控えめの食事だったみたい」とコメント。「炭水化物が少なかったので、次の食事はご飯やパンなの主食を増やしても大丈夫」とアドバイスをした。

●夕食

 夕食には、鶏の水炊き鍋(量は画像の半分)に白米を食べたという。「最近(食事は11月29日のもの)は寒くなってきたので、夕食はほぼ鍋。野菜も摂取できるし、お腹も膨らむのでお鍋は最強だと思う」(りょーちんさん)とのことだ。

 夕食を終え、いよいよ1日の全食事に対する未来さんの評価が下る。ここで彼女が泣くかどうかが決まる。りょーちんさんのこの日の食事は、摂取カロリーや栄養バランスなどからあすけんが独自に算出するスコア「健康度」で、100点満点中36点だった。「炭水化物が足りない」「主食になるごはん・パン・麺を毎食1品取り入れるように」との指摘があったが、未来さんは穏やかな表情だった。

 これに対し、りょーちんさんは「結構食べているつもりなのだが、炭水化物が少ないとよく言われる」と語った。一方「あすけんでは食事を1週間(7日間)で整えていくことを推奨している」とりょーちんさん。この日の点数は低かったものの、他の日でバランスが取れていたため、未来さんは泣かなかったとみられる。

●ナギさん

 2人目は、あすけんのiOSアプリの開発を行っているというナギさん(仮名)。30台前半の男性で、趣味は銭湯やサウナ、散歩などという。あすけんに設定している目標はダイエット。「2024年の夏、暑すぎて引きこもっていたら3kgほど(体重が)増えてしまったので、秋冬で元に戻したい」とのことだが、どのような食事を摂っているのだろうか。

●朝食

 この日の朝食は、トースト(1枚)にゆで卵、野菜サラダ、カフェオレ。起床後、散歩と軽い運動をした後、カフェに入って食べたという。

 対する未来さんは「カロリーは良いペースですね。この調子です」と高評価。順調な滑り出しとなった。とはいえ、アドバイスも欠かさず「次の食事は揚げ物など脂質の多い食事は控えるように」とコメントしていた。

●昼食

 昼には、ヨーグルト(4つに小分けされたものを2つ)と、バナナ2本を食べ、調整豆乳を飲んだという。ナギさんによると「午後眠くなってしまうので、昼食は軽めにとるようにしている」とのことだ。

 朝・昼の食事に対し、未来さんは「次の食事は、定食スタイルの食事がおすすめ。カロリーには余裕があるので、いつもよりしっかり目に食べても大丈夫そう」と1日の食事全体のバランスを意識したコメントだった。

●夕食

 夕食は、サバの塩焼き、切り干し大根の煮付け、玄米ごはん、コールスロー。未来さんのアドバイスに合致する食事になっていると言えそうだ。

 これには、未来さんも「カロリーコントロールがばっちりでしたね」と片腕を挙げてガッツポーズを見せた。健康度も72点との評価だった。一方、「カロリーは主にタンパク質・脂質・炭水化物の摂取量から計算される。ナギさんの食生活では摂取カロリーはちょうど良いが、その3つのなかで特に脂質が多くなっている」とも指摘。「脂質が多い食事もたまに食べるだけなら問題ない」「息抜きすることもダイエット継続の秘訣」とアドバイスした。

 この評価に対し、ナギさんは「晩酌をしなかったのでいつもより点数が高く出た日だった」と振り返った。また、この日は在宅勤務だったというナギさん。「自炊はあまりしない」としつつ、「バナナや豆乳、ヨーグルトはストックしておくと、手軽に食べられる」と在宅ワークでも食生活を整えるコツを語った。

●とみーさん

 3人目は、あすけんのAndroidアプリの開発を行っているというとみーさん(仮名)。30台前半の男性で、趣味はゲームやアニメとのこと。あすけんの目標は現状維持に設定している。これまでのITエンジニア2人は未来さんを泣かせずに済んでいるが、とみーさんの結果はどうだろうか。

●朝食

 朝食は、コーヒー1杯に、しらすや海苔、チーズを載せたトースト1枚だった。

 これに対し、未来さんは「控えめの食事」との評価。「朝食を食べない人は高血圧になりやすい」としつつ、「朝はどうしても量を食べられない、という場合は無理をせずにこのまま続けてください」とフォローした。

●昼食

 昼には、豚肉や小松菜などが入った炒め物と白米を食べた。これに対し、とみーさんは「いつもより品数は少なめだった」と振り返った。

 一方、未来さんは「野菜が多めの食事ができましたね」とのコメントだった。その分、次の食事では「脂身の少ない肉・魚・お豆腐などのおかずを中心にしっかり目に食べても大丈夫」とアドバイスした。

●夕食+間食

 夕食は、ビビンバ、みそ汁、レンコンと人参のきんぴら。その後、間食としてバターサンドを1つ食べ、コーヒー1杯を飲んだという。

 間食は初の登場となったが、未来さんがこの日1日の食事に付けた健康度は64点。両手を合わせ、笑顔を見せた。全体的にヘルシーメニューが多かったためか、間食を合わせても「摂取カロリーはちょうど良い」との評価だった。

 この日の食事について、とみーさんは「いつもよりは品数少なめの日だった」と振り返った。また、食べ過ぎた翌日はご飯を半分にするなど、全体のカロリーを気にしながら、数日で調整するようにしている」とのことだった。

●過去には“あすけんの女”を泣かせてしまった経験も

 検証では、askenのITエンジニアは3人とも“あすけんの女”こと未来さんを泣かせることなく、中には高評価を獲得する人もいた。食事管理アプリの健康的なイメージを裏切らない結果となったが、これに対し、askenの広報担当者は「傾向として、食生活を意識している社員は多いと思う」と語った。社内であすけんを活用して食事内容を改善するイベントを開催するなど、健康や食生活を意識する機会が多いという。

 一方、今回はバランスの取れた食事をしていたaskenのITエンジニアだが、未来さん泣かせてしまった経験もあるという。例えば、りょーちんさんは「仕事に集中していて、夕食だけになってしまったため、未来さんを泣かせてしまった経験がある」とのこと。他にも、ナギさんは「飲み会の後は未来さんを泣かせてしまいがち」と教えてくれた。

 不摂生な食事をしがちな記者からすると「良かった。あすけんの中の人も完璧じゃないんだ」と勇気付けられるコメントだが、検証を通して見てきた食事に対するさまざまなアドバイスを踏まえると、1食だけに着目するのではなく、数食単位、数日単位で食生活を見直していくことが大切なようだ。年末年始を迎え、暴飲暴食をしがちな時期になっている。健康面で痛い目を見て“自分が泣く”ことのないよう、あらためて食事に意識を向けてみても良いのではないだろうか。

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