日本の民間企業として初の月面着陸を目指す宇宙ベンチャー、ispace(東京都中央区)の月着陸船が1月15日、米Space Xの「Falcon 9」ロケットで打ち上げられ、無事にロケットから分離された。5~6月ごろの月面着陸を目指している。
打ち上げは、米国フロリダ州ケープカナベラルで日本時間の1月15日午後3時11分に行われた。今回は米国の民間企業、Firefly Aerospaceの月着陸船と1つのロケットに“相乗り”する珍しいケースだった。
Falcon 9は順調に飛行し、打ち上げから1時間5分後にまずFireflyの月着陸船「Blue Ghost」を切り離し、その30分後にispaceの「RESILIENCEランダー」の分離に成功した。月への到着はBlue Ghostのほうが早い。
ispaceは、今後3日ほどかけて月着陸船と地上との通信を確立し、太陽光パネルなど機体各部のチェックを行う予定だ。通信の確立には数時間かかる可能性もあるため、SNSなどを使って状況を発信するとしている。
月着陸機の「RESILIENCE」という名前は「再起」を意味する。同社は23年4月、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション1として月面への着陸を試みたものの、予定時刻を過ぎても着陸が確認できず断念。月着陸機は高度認識システムの不具合により、高さ約5kmから墜落したとみられている。
今回のミッション2では、前回の経験や知見を生かして月着陸機の他オペレーションなどにも様々な改良を加えた。ispaceの袴田武史CEOは「23年の民間初の着陸挑戦からおよそ1年9カ月。そこから立ち上がり、経験を生かして“再起”(RESILIENCE)する姿を見守っていただきたい」というコメントを寄せている。