「2024年はTogetterにとって厳しすぎる年でした」──Togetterを運営するトゥギャッター社(東京都千代田区)の吉田俊明社長が、1月22日にこんなnoteを公開し、ネット上で注目を集めている。同社を支援する動きも出始めた。
Togetterは、一般ユーザーが簡単な操作でXのポストをまとめ、公開できるCGM(Consumer Generated Media)サービス。その性質上、XやGoogleといった巨大プラットフォームに大きく依存してしまう。
noteには、昨年から続く「広告単価の低下」に加え、「Google検索からの流入減」や「Google Discoverでの締め出し状態」などが原因でトラフィックが減少。さらに毎月600万円を超えるXのAPI使用料が重くのしかかるという、厳しい状況がつづられていた。
他の企業ならサービスを切り捨てるような状況でもTogetterを続けているのは、「Twitter黎明期から続くこのカルチャーとこれらのデータを失いたくないから」。ビジネスより、TogetterやTwilogが培ってきた文化をつなげることに重きを置いているという。
●今のサービスを維持しつつメディアも
状況を変えるため、同社は思い切ったリニューアルを行う。まずGoogleからの流入を増やすため、現在のtogetter.comを「Xを起点としてトレンドを中心とする独自コンテンツ(まとめ)を作成していくメディア」に転換する。
理由は、CGMである従来のTogetterではコンテンツの内容や質を担保できず、Googleによるサイトの評価が上がりにくいため。「Googleからのトラフィックを得るには、サイトの評価を上げて、Googleに気に入られるしかありません」。
これまでのTogetterは、新ドメインに移管する。誰でもまとめを作成してシェアできる機能はもちろん、過去のまとめ、新着やランキングなどの仕組みも残す。「これまで通りのユーザー体験をできる限り維持しつつも、サービスとしてのコスト回収を達成できる運用体制へのシフトを目指す」という。
今後は、Twilogの機能強化およびサブスクプランの改定、Togetterサポータープランの設置、寄付を受け付けるクラウドファンディングなども検討していく。
●支援の動きも
そんな状況を知ったXユーザーの間でTogetterを支援する動きも出始めた。ロケットスタートやアル社を創業した古川健介さん(@kensuu)もその一人。Togetterのログはインターネットの歴史において重要な資料であるとして「noteの記事へのチップとかで、支援しませんか?」と呼び掛けた。
すると応援チップが相次いだようで、Togetterの吉田社長(@yositosi)は22日、「かなりの額の応援チップもいただいてスタッフ一同驚いています! ギリギリまでやり切るぞー」とXに投稿している。
Togetterは、吉田俊明社長がヤフー(現在のLINEヤフー)在籍時に個人で開発したWebサービスだ。その後、Web制作会社に勤めながらサービスを始めたが、サイトの規模が大きくなり10年に独立。現在のトゥギャッター社を設立した。