1月21日に発表された「第48回日本アカデミー賞」で「侍タイムスリッパー」が優秀賞を7部門受賞しました。ボクも今さらですが劇場へ足を運び、映画と映画館を堪能してきました。
侍タイムスリッパーは、制作規模の小さい、いわゆる「インディーズ映画」と呼ばれる作品です。制作費に自らの貯金をつぎ込んだ安田淳一監督は、クランクアップ時の預金残高が7000円しかなかったそう。そんな本作の今回の受賞は、まさに快挙といえます。
ストーリーは、会津藩士である高坂新左衛門が、現代の時代劇撮影所にタイムスリップしてきて、「斬られ役」として第二の人生をスタートする……といった、コメディータッチの時代劇です。コテコテのお笑いの中にも現代に来てしまった高坂の苦悩など人間ドラマもしっかり描かれており、役者さんの好演も相まってラストシーンは感動もひとしお。上映が終わった時には、思わず拍手していました。
練り込まれた脚本は本当に秀逸で、時代劇への愛情や、「面白い作品を届けたい」という監督の熱意がビンビンに伝わってきたような気がします。大金をかけた商業映画とはまた違う、インディーズ作品ならではの純粋な作品の面白さ。それこそが、侍タイムスリッパーの最大の魅力なのではないかと思います。
もう1つ、今回ボクが訪れた映画館「池袋シネマ・ロサ」も最高でした。この映画館がある「ロサ会館」は1968年に建設されたという商業ビルで、映画館も昭和の雰囲気を色濃く残しています。詳しくはマンガを読んでいただきたいのですが、シネコンで大作映画を見るのとはまた違う、面白さや居心地の良さがありました。
近年はインディーズ映画に力を入れ、「インディーズ映画の聖地」とも呼ばれるシネマ・ロサ。ちなみに侍タイムスリッパーは昨年8月公開ですが、最初は池袋シネマ・ロサ1館のみの上映だったそうです。
ボクは、ここで侍タイムスリッパーを見たことで、映画の楽しさを再認識した気分になりました。最近は、少し待てば各種サブスクで気軽に映画を楽しめる便利な世の中になりましたが、それでもボクは今後も映画館に足を運ぶことになるんだろうなぁ……と改めて思います。
●著者紹介:サダタロー
1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。
●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場
漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる~く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。