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全面ガラス張りで高級感もあるAndroidポータブルデバイス「AYANEO Pocket S」誕生

ITmedia PC USER 2024年5月31日 12時40分

 天空が7月下旬に国内販売を始める「AYANEO Pocket S」は、Androidを搭載したポータブルゲーミングデバイスだ。5月30日に行われた記者向け説明会では、来日したAYANEOのアーサー・チャンCEOが新製品の特徴を説明した。現地には実物も展示されていたので、ハンズオンレポートをお届けする。

●デザインも性能も高い、Androidゲーム機「AYANEO Pocket S」

 AYANEOはWindows搭載のポータブルゲーミングPCやミニPCを手掛けているイメージが強いが、実は「AYANEO Pocket AIR」など、Android搭載のポータブルゲーム機も積極的にリリースしてきた。2023年に登場したAYANEO Pocket AIRは、レトロ調のデザインを採用していたが、新製品のAYANEO Pocket Sでは“ツライチ”のオールガラスによるベゼルレスディスプレイが特徴だ。

 具体的には、フロント全面が1枚のガラスでカバーされており、ディスプレイとボディーがフラットになっている。その上で十字キーとABXYボタンはクリスタル透明ボタンを採用しており、フロントデザインと一体感がある。側面や背面はアルミ削り出しで高級感が感じられる。

 ディスプレイは6型IPS液晶で、1080p(1920×1080ピクセル)と1440p(2560×1440ピクセル)の2モデルを用意している。

 国内販売におけるストレージとメモリの組み合わせは、1080pモデルが128GB/12GBと512GB/16GB、1440pモデルは512GB/16GBとなる。なお、クラウドファンディングサービスのIndiegogoで展開している1TBモデルの国内投入は見送られた。

 共通仕様として、SoCはQualcommのSnapdragon G3x Gen 2、バッテリー容量は6000mAhとなっている。サイズは約213.9(幅)×85(奥行き)×14(高さ)mmで、重さは約350gとなっている。インタフェースにはUSB Type-Cポート(USB 3.2 Gen 2)、microSDメモリーカードスロットを搭載している。

 ワイヤレス機能ではWi-Fi 7とBluetooth 5.3に対応している。指紋認証センサーと一体型の電源ボタンを搭載しているので、デバイスにもゲームにもログインしやすい。

 さらに6軸ジャイロスコープやX軸リニアモーターを備え、レトロゲームなどハプティクスフィードバック非対応コンテンツでもゲーム音声をAIで自動解析して音に応じた振動を再現するという。

 コントローラー部にはバックライトを備えたジョイスティック、十字キー、ABXYボタン、LT、LB、RT、RBトリガーを搭載している。ゲームの途中でもパフォーマンス設定を切り替えられるターボキーも備えている。

 本体の発熱対策として、ベイパーチャンバーヒートシンクと空冷ファンを搭載している。これらの機構で効率よく放熱し、ゲーム中に発生した熱によるパフォーマンス低下を抑えられるという。

 カラーはオブシディアンブラックとアイスソウルホワイト。価格は1080pの12GB/128GBモデルが8万9800円(税込み、以下同)、1080pの16GB/512GBモデルが10万9800円、1440pの16GB/512GBモデルが11万4800円となっている。

 6月13日午前9時59分までは先行予約特典として、それぞれ1万円引きになる。さらに専用保護フィルムがプレゼントされる他、同時購入で周辺機器の20%オフ特典も受けられる。

●真のゲーマー向けデバイスを展開するAYANEOブランド

 AYANEOブランドは(創設者が)ゲームが好きで、真のゲーマーが求めるデバイスを作りたいという思いから生まれた。今回の発表会で示された「Real」というロゴも、“真のゲーマー”を意味しているという。

 今でこそ、ValveのSteam DeckやASUSのROG Ally、レノボ・ジャパンのLegion Goなど、Windowsを搭載したポータブルゲーミングPCが花盛りだが、AYANEOは自社がムーブメントを作ったと自負しているという。

 例えば、当時はWindowsを搭載したハンドヘルドタイプのポータブルゲーミングPCの操作に適したゲーム管理アプリケーションが無かったので、ハードウェアと同時進行でソフトウェア「AYASpace」も開発した。「お金も人も時間もかかった」とチャンCEOは振り返る。現在でも、ソフトウェアの改善を続けており、常時10人が開発に携わっているという。

 国内で販売代理店を務める天空の山田社長も「先週までAYASpaceになかったはずの機能が搭載されていて驚いた」と話すように、バージョンアップは頻繁に行われているようだ。

 チャンCEOは「最高の体験ができるデバイスをスピーディーに消費者に届けられるよう、米AMDや米Qualcommと協力関係を築いている」と強調する。AYANEO Pocket Sの発表を祝う米Qualcommのミトゥン・チャンドラセカール氏(シニアディレクター)からのビデオメッセージも会場で紹介された。

 チャンCEOがこのタイミングで来日したのは、昔から日本が好きだったという理由に加え、日本市場を重視しているからだと説明する。AYANEOが販売するデバイスの売り上げは、中国国内が34%、その他が66%を占める。日本は米国に次いで2番目に大きな市場であり、全体の15%を占めているという。

 「この3年で10製品以上をリリースしてきたが、これからもAndroidデバイスや、最新のAMD製Armチップを搭載したWindowsマシンを積極的にリリースしていきたい」(チャンCEO)

●「Androidデバイスならスマホで良いのでは?」という疑問に山田社長が回答

 発表会で「AYANEO Pocket Sは、フロントだけでなくボディーにも高級感がある」と山田社長はコメントを付け加えた。「アルミ削り出しのボディーは高級感を醸し出す。これまでもAndroidを搭載したポータブルゲーミング機は市場にあったが、ここまで高品質のものはない」と断言した。

 その上で「『Androidのゲーム専用機って必要なの?』という疑問を持つ人もいるでしょう」と切り出した。スマホ向けゲームはスマホで十分という人も一定数いるからだ。

 ゲーム機としてのAndroidデバイスを持つことのメリットは「通知で邪魔されない」「スマホのバッテリーを消費しない」「持てるパワー全てをゲームに注ぎ込める」と山田社長は説明する。さらに「ゲームパフォーマンスを落とす熱対策ができているのも、専用デバイスならでは」と解説した。

 また、Windowsを搭載したポータブルゲーミングPCとの違いは「バッテリーのもち」が大きいという。「WindowsのポータブルゲーミングPCは大きなバッテリーを搭載していても3時間ほどしかゲームがプレイできないが、Androidであれば最高8時間程度まで楽しむ環境を実現できる。これがAndroidのポータブルゲーミング機を持ち歩く大きなメリットだと思っている」と力説した。

 AYANEO Pocket SはAndroid 13を搭載しているため、Google Playからダウンロードできるゲームの他、Xbox Game Pass、Steam Link、GeForce NOWといったクラウドゲームにも対応できる。

 Google Playでダウンロードできるスマホゲームの多くは、コントローラーに対応していない場合が多い。しかし、AYASpaceのボタンマッピング機能を使うことによってコントローラーで遊べるようになるアプリもある。ボタンマッピングに対応しているゲームとして「原神」「eFootball Championship 2024 Club Event」などが挙げられた。なお、人気の「Minecraft」や「崩壊:スターレイル」「Tower of Fantasy(幻塔)」などは設定無しでそのままコントローラーでプレイできる。

●外観をチェック! 滑らかなフロントと継ぎ目のないリアが美しい

 続いて実機のハンズオンをお届けする。

 フロントの全面ガラスは指すべりが良い滑らかさがある。ガラスにも、パリッとしたイメージのものと滑らかなイメージのものがあると個人的に思うが、AYANEO Pocket Sは明らかに後者で、指に吸い付くような滑らかさが独特だ。

 背面と側面はアルミ製。背面と側面のそれぞれに継ぎ目がなく、サンドブラスト加工が施されている。

 十字キーやABXYボタンは表面が透明のクリスタル仕上げとなっている。ABXYの各文字はその奥に沈み込むように印刷されており、ゲームをやり込んでも消えることはないという。ジョイスティックは滑らかだが、軽いクリック感があり、操作しているという実感を持てる。デモでは、ジョイスティックを動かした方向のバックライトが赤く光る様子が披露された。

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