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SilverStoneの「PC-98風ケース」はどうなった? ブースを見物した結果

ITmedia PC USER 2024年6月11日 12時5分

 COMPUTEX TAIPEI 2024は、6月7日(台湾時間)をもって幕を閉じた。久しぶりに一般客を迎えた最終日は、これでもかというぐらいの来場客でにぎわった。2025年は2025年5月20日~23日と今回よりも“早く”開催されるそうだ。

 さて、COMPUTEX TAIPEIといえば2023年、自作PC用パーツで知られる「SilverStone(シルバーストーン)」が、往年のNEC(現在のNECパーソナルコンピュータ)製「PC-9801シリーズ」の初期モデルに着想を得たPCケースを参考展示していた。本件は一部のPC愛好家の間で話題となり、同社も製品化を前提に検討を進めていると語っていたことを思い出す。

 あれから1年――筆者は再びSilverStoneブースを訪問した。果たして「PC-98風ケース」はどうなったのだろうか‥‥?

●PC-98ケースのことを聞いたら「モジュラーケース」を紹介された

 SliverStoneの担当に「去年あったPC-98風のケースはどうなった?」聞いたところ、「まずはブースの正面(にある展示物)から紹介します」と言われてしまった。少し嫌な予感が……。

 ブースの入り口正面で展示されていたのは、モジュラータイプのPCケース「ALTA D1」だ。ALTAシリーズは同社におけるPCケースの最上位製品で、D1はその新モデルとなる。

 本製品はストレージや電源などを取り付けるスペースが前方に4カ所、後方に2カ所設けられており、ケーブルの長さなどとの相談にはなるが、好きな場所に置くことができるようになっている。奥行きには余裕があり、ケース内部に水冷ラジエーターを収めることも可能だ。

 なお、モジュールの配置を工夫すれば、電源ユニット(PSU)を2~3台収めることもできる。

●ハイスペックワークステーション向けケース「CS383」「ALTA T1」

 先述のALTA D3も含めて、ブースの正面で展示されていたケースは、グラフィックスカードを複数枚搭載する「ワークステーション」として運用することを想定した大型モデルがメインだった。どうやら「AI(人工知能)の流行によって、複数枚のグラフィックスカードと複数台のPSUを搭載できるケースへのニーズが高まっているから」らしい。

 ALTA D1のすぐすばに展示されていた「CS383」も、ワークステーション向けのケースだ。ブース展示では、このケースに前後に自社製のサーバ/ワークステーション向け電源「HELA 2050R Platinum」を2基組み込んでいた。その名の通り、この電源は1台で最大2050W出力が可能(※1)。とういうことは、このデモシステムは最大4100W出力に対応していることになる。

(※1)日本において1500W超の出力で使う場合は、100V/20A出力に耐えられるコンセントとACケーブルを用意するか、200V/10A出力のコンセントとACケーブルを用意してください(日本向けモデルには100V/15A対応のACケーブルが付属します)

 「ALTA T1」は、本格的な水冷PC作りに最適な大型ケースだ。ラジエーターを複数台取り付けられる設計となっていて、大きな420mmラジエーターを最大で3台も取り付けられる。

 本ケースはマザーボードの取り付けフレームを引っ張り出すことが可能で、この手のケースでは手こずることも多い、マザーボードやグラフィックスカードの取り付けを比較的楽に行える。

 担当者によると、今後本ケース向けに「ASUS BTF」のようなコネクターを裏に回したマザーボード向けの取り付けフレームを用意する予定だという。

●デュアルCPU対応水冷クーラーやハイエンドCPU用空冷クーラーも

 ケースに続いて紹介されたのは、水冷/空冷クーラーだ。

 「XE360-DUAL」は、DUALの名の通り2基のCPUを冷やせる水冷クーラー。写真にはファンが写っていないが、実際には付属するので安心してほしい。

 もう1つ紹介された「XED120」は、XeonプロセッサやEPYCプロセッサに対応する空冷クーラーだ。対応できるTDP(熱設計電力)は最大450Wということで、かなり巨大なクーラーとなっている。十分なエアフローを得られるケースと組み合わせて使うことが前提となりそうだ。

●コンシューマー向けPCケースも

 SilverStoneブースにおける展示の主力は、どちらかというとビジネス、あるいはいわゆる「プロシューマー」向けの製品だったが、コンシューマー向けの新製品も複数展示されていた。

 「CW01」は、ホームシアターPC(HTPC)向けの横置きPCケースだ。HTPC向けのケースといえば、光学ドライブを搭載するための5インチベイを備えることが一般的だったが、CW01には5インチベイは用意されていない。ただ、横置きメインのPCケースは最近珍しくなりつつあるので、リビングに置くPCを自作したい人にとって、注目すべき製品の1つといえる。

 USB4に対応する新型のM.2 SSDケース「MS12-40」の展示もあった。4色展開で、ケース自体がヒートシンクとなっている。USBフラッシュメモリよりも高速にデータをやり取りできる上、ノートPCのパワーアップで余ったPCI Express接続のSSDを活用する際に役立ちそうだ。

 製品ではないものの、CW01の横には名古屋大学レゴ部が作成した「SUGO 17」のミニチュアも展示されていた。

●で、PC-98風ケースはどこに?

 以上が、COMPUTEX TAIPEI 2024におけるSilverStoneブースの主な展示だ。ご覧の通り、今回はPC-98風ケースの展示はなかった。担当者に話を聞いたところ、PC-98風ケースはサンプル(試作)のバージョンアップを進めているところで、間もなく量産体制に入れる所まで来ているという。

 「なら展示してよ!」と言いたいのはやまやまだが、製品化プロセスは順調に進んでいるそうなので、今後の情報に期待したい。

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