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「Interop Tokyo 2024」で各社の最新テクノロジーとソリューションを見てきた!

ITmedia PC USER 2024年6月17日 14時0分

 最先端の情報通信関連技術を集めた展示会「Interop Tokyo 2024」が、6月12日~14日にかけて幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された。

 誰もがインターネットに接続できるようになったが、つい最近でも大規模なランサムウェアの被害が報じられたように、通信できるからこそのセキュリティ上のリスクも存在する。その解決方法の提案なども含め、さまざまなソリューションが展示されていたので紹介していこう。

●データを人質に取られない頑丈なデータ保護プランを提供 Synology Japan

 Synology Japanのブースで目立つように展示されていたのは、エンタープライズ向けとなるActiveProtect アプライアンスの「DP7400」だ。これは台湾の台北市で開かれた「Synology Solution Exhibition 2024」で出展されていたもので、国内では初展示となる。

 データ保護に特化したソリューションで、クライアントからは接続するだけでイミュータブルバックアップが可能だ。イミュータブル(不変の/変更不能)なので、バックアップしたデータは管理者ですら削除することができない。ランサムウェアの餌食になることはないというわけだ。

 また、DP7400からDP7400へ同じようにイミュータブルバックアップを取ることができ、さらに別の外部ストレージへバックアップを取って冗長化も行える。

 内蔵の仮想マシンによるサンドボックス環境化でデータ破損の検知や復元、バックアップの検証、災害復旧訓練のテストなどを実行可能だ。万が一の際でも、エアギャップバックアップにより隔離されたデータが残るため、データの消失を防ぐことができる。

 「アプライアンスなので、セッティングに時間がかからないところもメリットの1つだ」と担当者は解説していた。

●使い方は無限大のファンレスミニPCが続々 ゾタック日本

 ゾタック日本は、デジタルサイネージソフトウェアを提供する「カテナス」と共同でブース展開をしていた。

 “デジタルサイネージ”は、目を引くコンテンツや発信したい情報をディスプレイに表示するメディアの総称だ。SDメモリーカードやUSBフラッシュメモリ、HDMI接続したミニPCなどに保存したコンテンツを表示できる。

 しかし、ローカルにコンテンツを置いておけば、差し替えには人手がかかる。その手間を軽減するのがデジタルサイネージソフト「KI Sign」シリーズだ。その中の「LAN Manager」は、それ以外の特別なソフトを必要とせず、ネットワーク上のデジタルサイネージ表示をコントロールできる。

 Windows標準のエクスプローラーで、サイネージ用コンテンツのフォルダーに表示したいコンテンツをドラッグ&ドロップするだけで、接続されたデジタルサイネージでコンテンツの書き換えを行える。

 ファイル名を工夫すれば、表示する時間を予約することも可能だ。場所によって異なるコンテンツを表示したいのであれば、サイネージごとにフォルダーを作っておけば良い。CMS(Contents Management System)の知識が不要で、引き継ぎの手間もかからない。もちろん、コンテンツの入れ替えのためにあちこち走り回る必要もない。

 デジタルサイネージ用のディスプレイと接続しているのが、ゾタック日本の組み込み用ミニPC「ZOTAC ZBOX PRO」シリーズだ。

 例えば、「ZOTAC ZBOX PRO PI336 PLUS」であれば、約76(幅)×115(奥行き)×26.7(高さ)mmというコンパクトなボディーにIntel Celeron N6211(2コア2スレッド)のCPU、8GBのメモリ、128GBのストレージ(eMMC 5.1)を搭載しており、HDMIとDisplayPortの2画面出力が可能だ。VESAマウント取り付け穴が用意してありディスプレイの裏側に取り付けておけるので、デジタルサイネージとの相性もぴったりだ。

 ファンレスで動作し、-20度~45度の環境で利用できてメンテナンスの手間もかからない。

 同じサイズ感で、CPUにIntel N100(4コア4スレッド)、8GBのメモリ、ストレージは256GB(M.2 NVMe SSD)を搭載した「ZOTAC ZBOX PRO PI339 pico PLUS」、約147.2(幅)×147.2(奥行き)×31.1(高さ)mmとほぼ倍のボディーサイズで、CPUにIntel Pentium N6415(4コア4スレッド)、メモリ16GB、ストレージは256GB(M.2 NVMe SSD)の「ZOTAC ZBOX PRO edga CI342」も展示していた。これらは、仕様がカスタマイズ不可の製品となっている。

 先述のCOMPUTEX TAIPEI 2024に展示し、グローバルではローンチ済みの「ZOTAC ZBOX PRO ZP-CI333 nano」、「ZOTAC ZBOX PRO ZP-S35N97P」、「ZOTAC ZBOX PRO ZRP7N3500」を国内で初展示していた。ZOTAC ZBOX PRO ZP-CI333 nanoはストレージを、ZOTAC ZBOX PRO ZRP7N3500はストレージやCPUなどもカスタマイズ可能な上位モデルになる。

 また、Thunderbolt 3によるホットスワップ対応の外付けGPUボックスの「ZOTAC ZBOX PRO EGB AD」シリーズも展示していた。モデルによってNVIDIA RTX 5000 Ada/3500 Ada/2000 Adaシリーズを搭載し、ミドルクラスのモデルでもGeForce RTX 4060 Tiシリーズに匹敵する性能を持つという。

 その他、デスクトップタイプの小型PC「ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ERP 74070C」や「ZOTAC ZBOX MAGNUS EN374070C」の姿もあった。「法人向けに展開しているが、ZOTAC直販サイトでも購入できるので、ゲーミングPCとして購入するユーザーも多い」とのことだ。

●Ryzen AIプロセッサ搭載ノートPCなどを展示 日本AMD

 日本AMDのブースでは、Ryzen AIプロセッサを採用したさまざまなノートPCに加え、HPC/AI向けGPUアクセラレーターの「AMD Instinct MI300X」などを展示していた。

 目を引いたのが、「SX-Aurora TSUBASA」の展示だ。NECのベクトル型スーパーコンピュータシリーズの1つだが、目立つ真っ赤なカードではなくAMDとして強調したいのはAMD EPYC搭載のデル製サーバだった。

 日本AMDブースにいたNECの担当者は、「EPYCは1つのCPUに搭載できるコア数が多く、コア数を賄うため複数のCPUを搭載するより電気を食わず熱も出さない。大量の計算をGPUなしに行えるので、GPU増設に伴うCPUやメモリの増設も不要でサーバをコンパクトにできる。SX-Aurora TSUBASAと組み合わせれば、消費電力などにおいてバランスが良い」と説明してくれた。

 また、「AMD FPGA×AI」のデモ展示では、2基のAIモジュール「AMD Alveo U30」と「AMD Alveo U50LV」によりカメラが捉えた映像の中の人をリアルタイムに認識し、認識した結果をモニターに表示していた。「今回は見やすくするために大きなPCケースに入れているが、実際にはこの大きさで実現する」とのことだ。

●3mの高さから落としても壊れないエッジストレージ 日本シーゲイト

 日本シーゲイトのブースでは、持ち運べるサブスクモデルのエッジストレージ「Lyve Mobile」を展示していた。大容量データの持ち運びは年中行われるものではないが、必要になることもある。しかし、その時のために大容量ストレージを購入すると、お金がかかるし物理的にもじゃまだ。

 そこで、46TBから122TBの持ち運べるエッジストレージのLyve Mobileが役に立つ。大容量データを持ち運ぶとなると、心配になるのが物理的破損とデータ漏えいだが、このストレージデバイスは3mの高さから落としても壊れることがないという。

 また、データ漏えいに関しても契約時に日本シーゲイトが発行したトークンを適用したPCと接続しないと、データを見ることができないなど不安がない。

 持ち運び時には、振動に強いGPSカードの仕込まれたキャリーケースを利用する。万が一の紛失や盗難でも、位置情報が分かるので安心だ。

 返却時には、専用アプリでデータを完全に消去する。「我々のような“中の人間”でも、消去したデータを復元できない」と担当者は語る。戻ってきたストレージには、さらにクリーニングを実行して次に備えるという。

 アニメ制作会社や、映像製作会社などからの引き合いが増えているとのことだ。

●製造業の“どこでもワーク”を実現 レノボ・ジャパン

 レノボブースでは、エンタープライズ仕様のハイエンドVRデバイス「ThinkReality VRX」などの展示が行われていた。

 ThinkReality VRXはエンタープライズ向けのヘッドセットで、4つのカメラによる6DoFトラッキング、デュアル・フルカラーパススルーカメラを備える。パススルーカメラは遅延がほとんど見られず、体験した人の中には「本当は、どこか見るための穴が空いているんじゃないの?」と言う人がいるほどだ。デモ動画では、ThinkReality VRXを装着した状態で卓球を楽しむ二人組の様子が流され、遅延なく見えているのだということがよく分かった。

 ThinkReality VRXは工場などでの技術トレーニング、接客や安全教育などの業務トレーニング、オンラインミーティングをよりリアルにするコラボレーションなどで利用されている。特に自動車メーカーなどの製造業では、新車を設計してマテリアルとしてのボディーを1台作るだけで相当なコストがかかる。

 しかしThinkReality VRXを利用すれば、どの角度でどのように見えるのか、座席に座ったときに車外はどこまで見えるのかなどを設計データだけでチェックできる。もちろん、最終的には実際に見本を作るのだが、そこへ至るまでのコストを抑えられる。

 製造業といえば、3D CADなどで作業する際に高性能なワークステーションが必要だ。しかし性能に比例して価格も高く、デスクトップタイプだと自宅にも置くこともままならない。そのため、コロナ禍にあってもワークステーションのあるオフィスに出社しないといけないという状況が生じていた。

 しかし、レノボの「リモート・ワークステーション・ソリューション」を使えば、モバイルPCでオフィスにある高性能ワークステーションに接続し、まるでローカル環境のようなスピード感で作業が可能になる。Windowsが提供するリモートデスクトップと比べ、高解像度のグラフィックスを扱え、低遅延であることが特徴だ。

 その他、同社のエッジデバイスも多数展示されていた。人流や温度/湿度を監視するのにクラウドを経由するという方法もあるが、担当者によればそれには3つのリスクがあるという。

 1つ目は月額利用料がかかることで、2つ目は遅延、3つ目はセキュリティ上の不安だ。「ThinkEdge」シリーズを使えば、それらのリスクを低減できる。-20度~70度の範囲で稼働可能(SE50を除く)なので、冷凍倉庫や金属加工工場、屋外などに設置したとしても動かなくなるリスクが少なくなる。

●どこでも社内なみの高いセキュリティを実現 VAIO

 VAIOのブースでは法人向け「VAIO Pro」シリーズを多数展示していたが、本イベントで本当に見せたいのは「ソコワク」だ。

 ソコワクは、意識せずつなげられるVPNソリューションだ。出先から資料を見るのに社内LANへ接続するのに、IDや長いパスワードが必要になることがあるが、ソコワクがあればPCを立ち上げるだけで自動接続が可能になる。常に社内ネットワークへ接続するため、インターネット上のセキュリティリスクにさらされる恐れもない。

 外出の多いセールスパーソンを抱えている企業だけでなく、報道関連など全国各地に少人数ずつの拠点を持つ企業や、そもそも大企業ではないが事業所をいくつか抱えている企業など、専用線を引くほどではないもののセキュリティは確保したいという事業者で利用されているという。

 担当者は「IDやパスワードを忘れたのですぐに教えてほしい、などのトラブルもないためIT管理者の手離れも良い」とメリットを解説してくれた。

●インスタ投稿がサイネージになるかも? アイ・オー・データ機器

 アイ・オー・データ機器では、ディスプレイを活用したデジタルサイネージを提案するブースを大々的に展開していた。

 「スマホで簡単デジタルサイネージ」は、スマホで撮影したものを標準写真アプリで加工してSDメモリーカードに保存する。それをセットトップボックスに挿入してサイネージで自動再生するというものだったが、それをさらに拡張したのがInstagramなどのSNSに投稿したものと連動したデジタルサイネージだ。

 こちらはテスト段階だが、Android OSを搭載したセットトップボックスにSNS連携アプリをインストールしておき、そのアプリとInstagramアカウントを連携させることで、最新5件の投稿をスライドショーで表示できる。

 飲食店であれば新メニューを、美容室であればヘアスタイルなどを撮影して表示させることで、顧客への提案を行える。アスペクト比4:3のディスプレイの新しい活用法としても社内で注目を集めているそうだ。

●Wi-Fi 7対応アクセスポイントにスマートホームデバイスも! TP-Link

 TP-Linkでは、さまざまなスマートホームデバイスを展示していた。

 家の中を網羅するほど種類が多く、「全部を1ブランドでそろえられたら、管理も楽になるに違いない」と思いつつ眺めていたが、それ以上に目を引いたのが「Wi-Fi 7」のサインだ。

 展示されていたのは、トライバンドWi-Fi 7アクセスポイントの「EAP783」と「EAP773」などだ。どちらも天井取り付け型で、場所を取らずに安定した通信を提供する。

 2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯を利用できるトライバンド対応で、最大19Gbps(6GHz:1万1520Mbps+5GHz:5760Mbps+2.4GHz:1376Mbps)で通信可能だ。Wi-Fi 7の性能を最大限引き出す10GpEポートを2基搭載している。

 また、スマートホームの安定的な運用を支えるTP-Link Decoシリーズの最新モデル「Deco BE85」「Deco BE75」「Deco BE65」も展示していた。どのモデルも接続可能端末は200台以上で、メッシュWi-Fiを構築すれば、どれだけIoT端末を増やしてもつながる安心感を得られそうだ。

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