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キーボード好きは国境を越える 台北でディープなショップはここだった!

ITmedia PC USER 2024年6月18日 12時5分

 例年、6月初旬は台湾の台北市で開催される見本市「COMPUTEX TAIPEI」に足を運ぶ機会が多いです。2024年も取材ついでに、何か気になるガジェットはないかと光華商場を訪れたところ、ピカチュウキーボード(Razer BlackWidow V3 Tenkeyless US - Pokemon Edition」)のセール品を除いて、どうにも心が引かれません。

●そして“新天地”はすぐそばに合った!

 むしろ隣のビルのSynTrend(三創數位生活園區)の方が、最新のデジモノがひしめいていて、体験型ショールーム(例えるなら、ヨドバシカメラのマルチメディアAkibaや梅田のような)のように、いろいろなデバイスを満喫できました。

 しかし、ここでも物欲は満たされません。持って帰りたいモノはでかすぎたり高すぎたりし、これはというモノは展示だけだったり在庫がなかったりしたからです。そんなもんもんとした思いを抱えていたところ、同じような面持ちの同僚から「気になるショップが近くにあるらしい」という朗報を耳にしました。

 ここはエイや、とばかりにGoogle マップを頼りに旅立ちました。といっても光華商場から歩くこと数分で、あっさりと目的地に到着です。Googleの各種サービス抜きでは、快適な旅も半減してしまうのは相変わらずかもしれません。

●そこは台北にもあったキーボード沼の入口だった

 ビルの1階にある、そのお店の名は「INPAD」。店内はキーボードやマウス、ヘッドセットなどが所狭しと並べられた、まさにPC周辺機器屋さんですが、Webページを見るとディスプレイやゲーミングチェア、電源ユニットやPCケースなど自作パーツも取り扱っているようです。

 店内は細長いL字型で、10mほど奥に行くと左に折れてレジなどがあります。左右にはキーボードやデスクマット、ヘッドセットやマイク、マウスにマウスパッドの試遊台や展示、在庫がぎっしりと詰まっており、ここで地震が起きてほしくないと思ってしまうほどです。

 光華商場や三創數位生活園區で思いを果たせなかった、私たちの目がギラついていたのを見逃さなかった店員さんが、すかさず話しかけてきてくれました。

 「English or Chinese……あ、日本語ね」

 そう、安心の日本語対応です。

 そこからは、せきを切ったかのように会話のキャッチボールが開幕です。

私:「Cherry MX2Aの静音赤軸(MX SILENT RED)を探しているんだけど、今日本でも品切れが多いんですわ」

店員さん:「ああ、それならいいのがあるよ。これでどう?」

私:「これ、全部Cherry MX2Aの静音赤軸?」

店員さん:「そう、たたいてみなよ! 昔のSILENT REDのもあるよ!」

 そう、光華商場や三創數位生活園區では展示されているだけだったり、購入できても種類が少なかったりしたキースイッチが、山盛りで我々を待っていました。いや、台北で見つけたキーボードの沼がここにありました。

●物欲は中途半端に発散! まだまだ続くキーボードの沼

 後は、たまりにたまった物欲を放出するだけです! 

私:「これ、在庫あります?」

店員さん:「うん、ちょっと待ってね」

 さぁ、財布のひもは全開だ!(大げさ)とばかりに訪ねる私に、雑多なモノに囲まれた店内を、テキパキと探す店員さん。しかし、返ってきた答えは非情でした。

店員さん:「ごめんね。今、売り切れてるよ」

 がくぜんとする私ですが、ここですぐ諦めては店員さんの名が廃ります。

店員さん:「似たようなスイッチがあるから、試してみなよ!」

 そう、代替キースイッチの提案です。しかも1つではなく複数あるから困りもの。店の奥に設置された“リーサルウェポン”に案内されたのです。そこには、異なるキースイッチを装着した状態のトランスルーセントなキーボードが鎮座しています。

店員さん:「この辺りが、Youの好きなキーだからたたいてみて!」

 おもむろに指さされたのは、テンキー部分に相当する箇所でした。このあたりが赤軸/静音赤軸に近いスイッチのようです。こうなると、もう信じられるのは自分の感覚だけです。フォースを頼りに、1キー1キー無心でたたくしかありません。

 そして、運よく(運悪く?)見つけてしまったのです。

私:「これ、このスイッチをください!」

店員さん:「大丈夫、そのスイッチなら在庫はあるよ。何個欲しい?」

私:「1キーいくらです?」

店員さん:(少しためらいながら)「ちょっと高いね。100円超えるよ」

 そう、そこで私はひよってしまったのです。

 手持ちのキーボードのスイッチを総入れ替えするなら、70個は必要なのですが、普段たたき慣れていないTTC製のキースイッチだったこともあり、うっかり

私:「20個ください……」

 とつぶやいてしまったのです。

 私が訪れたのは夕方の通勤時間帯でしたが、店内には会社帰りと思われる若い男性がひっきりなしに出入りしていました。用が済んだ(購入が終わった)客は相手をしないのは万国共通です。次から次へ質問にマルチリンガルでテキパキと対応する店員さんに、感謝をしつつ店を後にしました。

 帰国前にCherry MX2Aの在庫が復活していたため、道中で購入しつつ日本に戻って普段使っているTEX Shuraのスイッチを総取っ換えです。主要キーを台北で購入したTTC製、その他はCherry MX2A SILENT REDとしたところ、案の定、TTC製の方が心地よく、後悔先に立たず! な状態になりました。Cherry MXを筆頭に、Geteron製やKailh製は日本でも比較的入手しやすいですが、TTC製はそこまで広まっていないからです。

 同僚も「まさに理想のキーボードがそこあった!」とのことで喜び勇んで店員さんに相談したところ、「在庫は今ないけど、ここで売っているから買えばいいよ!」と案内してもらったのは「遊舎工房」さんでした。まさに類は友を呼ぶ、そこに国境はありません。

店員さん:「通販もやっているみたいだから、大丈夫だね!」

 うん、知っている! 末広町のショップも知ってる! と同僚は声を出さずに叫んだそうですが、案内されたWebページに表示されていた価格は、台湾価格よりも1万円以上も高いものでした。

 彼がその後どうしたかは、追って別の記事で紹介されるでしょう。そして私はどうしたのか?

 渡台湾前にポチっていたKeychron製のアリス配列キーボード「K11 Max(RGBバックライト/Low Profile Gatreron Mechanical Red)」に、今はうつつを抜かしています。

 そのあたりの話も、改めて取り上げたいと思います。

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