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アイ・オー、Ubuntu搭載のミニPCやNASなど発売 Ubuntu開発元の英Canonical社とライセンス締結

ITmedia PC USER 2024年6月19日 18時5分

 アイ・オー・データ機器は6月19日、Ubuntu Linuxなどを手掛ける英CanonicalとUbuntuのライセンス契約を締結したと発表した。Ubuntuを搭載したNASやミニPCを発売する他、日本国内のUbuntuリセラーとして、組み込み機器メーカーなどにUbuntu Proのライセンス販売などを提供する。

 アイ・オーはUbuntuのライセンス契約を締結したことにより、日本国内でUbuntuをプリインストールした機器の販売ができるようになった。さらに、組み込み機器メーカーが自社製品にUbuntuをプリインストールし、リリースから10年間のセキュリティメンテナンスも提供する「Ubuntu Pro for Devices」ライセンスの販売も行う。

 まずはUbuntuをプリインストールした2ベイのNASと、省スペースのミニPCを発売する。今後はAI用途に適したNPUを搭載したPCや、アカデミック用途を想定した安価で小型なモデルも検討しているという。

●なぜアイ・オーがUbuntuなのか?

 今回の取り組みの背景について、アイ・オーは「ユーザー側で機器をカスタマイズしたいという声が増えてきた」と説明する。

 同社はこれまで、ユーザーの使い勝手を第一優先として製品の機能を自社で作り込んで提供してきた。これはメーカーとして一般的な手法だが、最近は「情報の機密性」「IT人材の不足」「クラウド依存」「円安(デジタル貿易赤字)」といった社会問題から、「システムやデータ、運用における主権をユーザー側で取り戻したい(自分たちで機器を完全にコントロールしたい)」という動きが活発化しているという。

 そこで機器のシステムにオープンソースソフトウェア(OSS)を採用することで、そうした要望に応えられると考えたという。Ubuntuを採用したのは、他のディストリビューションと比べて安定したバージョンリリースと長期サポートが提供されていることなどが理由だ。

 アイ・オーの細野昭雄氏(代表取締役会長)は、「他のOSと比較するといったものではなく、用途によって、こうした選択肢があることを示していきたい」と話した。

 同社の堀英司氏(事業開発室 室長)は「Canonicalとは1年ほど前から議論していた。セキュリティパッチなども完全な状態で提供できる。カスタマイズ性が高いUbuntuとはいえ、箱を開けたらすぐにPCとして使えるものを提供していく」とコメントしている。

 今回のライセンス契約の締結について、Canonicalのティーボー・ルフィノー氏(マーケティング担当 Vice President)は「日本市場において、Ubuntuの展開は限定的だ。しかし、ITの主要企業などでは確実に利用されているものでもある。日本で(Ubuntuを採用した)IoT機器を提供するには、Canonicalの知名度や人材が不足しているという課題がある。アイ・オーにはOSSに対する熱意を感じており、パートナーとして迎え入れられることをうれしく思う」としている。

 アイ・オーはクラウドとエッジを組み合わせたプラットフォームや、オフィス用途、教育用途、ソリューションのプラットフォームとして利用されることを想定し、初年度の売上目標は8億円を見込んでいる。

 Canonicalは2004年創業。Ubuntu Linuxの商用技術サポートやオープンソースのクラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」などを提供している。

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