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有線+ワイヤレスでの接続にも対応しタッチ操作も可能! 15.6型モバイルディスプレイ「PROMETHEUS CAST 15.6inch」を試す

ITmedia PC USER 2024年6月27日 12時0分

 ユニークの「PROMETHEUS CAST 15.6inch」(UQ-PM15CST)は、15.6型のモバイルディスプレイだ。名前からも分かるようにワイヤレスでのキャスト機能を備えており、有線無線どちらでも利用できるのが特徴だ。タッチ操作にも対応したこの製品について、メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。

●タッチ操作にも対応! バッテリー内蔵で重量はややヘビー

 まずは基本的な仕様をざっと押さえておこう。画面サイズは15.6型で、解像度は1920×1080ピクセルだ。パネルはIPS方式で画面はグレア調、コントラスト比は800:1、視野角は水平/垂直ともに170度、輝度は250ニト、リフレッシュレートは60Hzとなっている。

 ボディーは同社のモバイルディスプレイではおなじみとなる背面下部に厚みがあり、上部が薄い構造で、上部はわずか4mmとスリムだ。その上部から画面にかけて一周させるスタンドと、一体型のカバーはマグネットで本体に吸着する仕組みで、カーボンのパターンで仕上げられているのも従来モデルと同様だ。

 接続方式はWi-Fiに加え、USB Type-C/HDMI接続にも対応する。WindowsとAndroidについてはWi-Fi接続時のタッチ操作にも対応している。詳しくは後ほどじっくりと見ていく。本体にスピーカーを内蔵する他、イヤフォン端子を搭載するなど、音声出力も充実している。

 重量は公称値が約885gで、カバーは約350gということで、合わせると1kgを超えてしまう。最近は15.6型のモバイルディスプレイでも1kgを切る製品が多いのでややヘビー級だが、Wi-Fi接続で運用するならばケーブルを持ち歩く必要がないため、差し引きで考えると許容できなくはないといったところだ。

 付属品はUSB Type-CおよびHDMIケーブルに加え、USB Standard-A→USB Type-Cケーブル、最大30WのUSB Power Delivery(PD)出力に対応したUSB Type-C端子付きACアダプター、スタンドカバーなどが含まれる。

●無線接続の使い勝手はOSによって大きく異なる

 では実際に使ってみよう。有線の場合と無線の場合、それぞれの使い方を順に紹介していく。

 まず有線の場合は、一般的なモバイルディスプレイと同様、USB Type-CもしくはHDMIで接続する。ちなみにUSB Type-C端子は左側面に2基、右側面に1基用意されているが、右側面はキーボードやマウスの接続用なので、デバイスとの接続に使うのは左側面のUSB Type-C端子となる。

 続いては、無線の場合についてだ。これらはOSごとに接続方法が異なる。今回はWindowsとiOS、Androidで試してみた。

 まずWindowsの場合だが、接続にはOS標準のキャスト機能(Miracast)を使用する。「Windows」+「K」キーを押すとウィンドウがポップアップし、「使用可能なディスプレイ」の一覧に本製品が表示されるので、後はクリックするだけで接続できる。

 接続完了後は、Windowsのディスプレイ設定から、解像度などの設定を行えばよい。Windows側でドライバインストールなどの作業は不要で、本製品側も電源を入れる以外の操作は全く必要ない。動作も高速で、有線と比べても大きな遜色はない。またプライムビデオなどの再生にも対応している。

●iOSとAndroidデバイス、さらには同様のモデルでもチェック

 続いてiOSの場合は、AirPlayを使って接続する。利用にあたってはあらかじめ本製品固有のWi-Fiへと接続しておく必要がある。後はiPhoneのコントロールセンターでAirPlayのアイコンをタップすると、一覧に本製品の名前が表示されるので、それをタップすればよい。

 遅延もほとんどなく動作はスムーズだが、表示はミラーリングのみで、WindowsやAndroidと違ってタップ操作には対応しない。本製品とiPhoneもしくはiPadを背中合わせにして相手に同じ画面を見せながら操作する、といった用途に限定されるだろう。ちなみにプライムビデオなどHDCP対応の動画配信サービスは再生できない。

 最後にAndroidを見ていく。こちらもiOSとほぼ同じで、通知領域を開いてワイヤレス接続(機種により呼び名が異なる)のアイコンをタップし、一覧に表示されている本製品の名前をタップすることにより、Androidの画面が本製品に表示される。

 ちなみに、今回試した「Pixel 8 Pro」では接続できなかったが、これは同製品がMiracastに対応せずChromecast対応であるためだ。このようにAndroidのモデルによっては対応しない場合もあり、割合としては多いので注意したい。一方で利用可能な製品であれば、デスクトップモードとモバイルモードを選択して表示できるなど高機能だ。

 無線接続については以上の通りなのだが、同様の機能を持つモバイルディスプレイとの違いもチェックしておこう。本連載で過去に紹介した中では、ASUS JAPANの「ZenScreen Go MB16AWP」や、リコーの「RICOH Portable Monitor 150BW」、およびその兄弟モデルに当たるPFUの「RICOH Light Monitor 150BW」がワイヤレス接続に対応しており、本製品の競合にあたる。

 まずWindowsについては、どれもOS標準のキャスト機能を使用しての接続となるため、接続手順は全く同じで、使い勝手も変わらない。ただしパフォーマンスは製品によって差があるようで、本製品のように有線並みの場合もあれば、スクロールが追いつかないためドキュメントの表示用途にしか使えない場合もある。

 iOSについては、本製品とASUS製品は、事前にデバイス固有のWi-Fiへと切り替えた後にAirPlayで接続する方式で、アプリ類のインストールは不要だ。リコー/PFU製品は自前のアプリを使って接続する方式で、インストールの手間はかかるが、Wi-Fiの設定を変えずに済むので、利用しながらネットに接続できる。一長一短だ。

 Androidについては、3製品ともMiracastでの接続となり、スマホ側が対応していることが前提になる。今回試したPixel 8 Proのように、現行のAndroidスマホおよびタブレットでもMiracastに対応しない製品は少なくないので、導入前に必ずチェックしておきたいところだ。

●OSDメニューはタッチで操作

 最後にOSDメニューについても触れておこう。OSDメニューは、本体右側面の物理ボタンでオンにした後、実際の操作はタッチで行う仕組みになっている。ボタン操作でもある程度のことはできるが、あまり直感的ではなく、タッチを用いた方が自然だ。

 項目については必要最低限といったところで、シチュエーションに合わせた表示モードなどは用意されていない。ブルーライト低減機能があるくらいで、至ってシンプルだ。

 なお、ワイヤレス接続関連の項目が用意されているかと思いきや、あるのは接続方法をワイヤレスに切り替えるボタンだけだ。これにしても、ケーブルを接続せずに電源を入れさえすれば自動的に切り替わるので、わざわざこのOSDメニューから切り替える必要は薄いだろう。

●ワイヤレス接続およびタッチ対応としてはリーズナブル

 以上のように、有線/無線を問わずさまざまなプラットフォームに対応するなど、汎用(はんよう)性の高い製品だ。ワイヤレス接続も、自前のアプリをインストールするといった手間がかからないので(Wi-Fiに手動接続しなくてはいけない場合はあるが)、一時的にゲストに使わせたい場合などにも適している。

 マイナスポイントは、容量3000mAhのバッテリーを搭載していることもあってか、重量がカバー込みで1kgを超えていることだ。持ち歩いての利用がメインであれば、ワイヤレスで接続できるメリットが、この重さに相殺されてしまう可能性がある。本当にワイヤレス接続が必要か、慎重に判断した方がよいだろう。

 また付属のスタンド式カバーが、この自重を支えるのにはギリギリの強度で、角度を変えようものならすぐに倒れがちなのは気になるところだ。据え置きで使うのであれば、タブレットスタンドを調達するなど、他の設置方法も検討すべきだろう。

 右側面にOSDメニューの操作ボタン、左側面に各種端子が配置されており、有線接続時は縦置きが実質不可能なのも、使い方によってはネックとなる。無線接続時は左側面を下にすれば縦置きできなくはないが、付属のカバー兼用スタンドは縦置きを考慮しない設計ゆえ、自前でスタンドを調達する必要がある。同社製品は、そろそろ縦置きのギミックを検討すべきだと感じる部分だ。

 一方で実売価格は5万9800円と、ワイヤレス接続対応かつタッチ対応の製品としてはかなりリーズナブルだ。保証期間こそ1年と標準的だが、汎用性の高いワイヤレス接続や、音声系の機能が充実していることに魅力を感じるユーザーには、注目に値する製品と言えそうだ。

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