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「VAIO Vision+ 14」は異次元の軽さだった! VAIO入魂の新型モバイルディスプレイを試す

ITmedia PC USER 2024年7月1日 10時4分

 VAIOの「VAIO Vision+ 14」は、14型のモバイルディスプレイだ。公称値でわずか約325gのボディーで、14型ワイド以上のモバイルディスプレイとしては世界最軽量をアピールしている。また付属のカバースタンドを用いることで、ノートPCの上に配置できるのも特徴だ。メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。

●他社製モバイルディスプレイの約半分という軽さ

 まずは基本仕様をざっと押さえておこう。液晶の画面サイズは14型で、解像度は1920×1200ピクセルと、一般的なモバイルディスプレイがアスペクト比16:9であるのに対して、本製品は16:10と、縦方向に長いのが特徴だ。

 画面はアンチグレア加工が施されており、輝度は400ニト、色域はsRGBカバー率が100%、コントラスト比は1200:1、視野角は水平/垂直ともに178度となっている。この他、HDCP 1.4にも対応している。タッチ操作には非対応だ。

 ボディーには熱可塑性立体成型カーボンを採用しており、重量は実測で315gと、同等サイズのモバイルディスプレイの約半分ほどしかない。実際に手に持ってみても異次元の軽さだ。ちなみにこのカーボンは、同社によるとアルミニウムや樹脂に比べて約70%の質量で同等の剛性を持つとされており、実際に手にしてもひ弱さは全く感じない。

 もう1つの特徴として、ノートPCの横にではなく、上に重ねて配置することを想定したスタンドが付属することが挙げられる。

 このスタンドは保護カバーとしての機能も備え、本体をぐるりと一周させて覆うことも可能だ。立体的に折り曲げて本製品を上に乗せることによって、ノートPCのちょうど上に配置するためのスタンドとしても使用できる。詳しくは後述する。

 接続方法はUSB Type-C(DisplayPort Alternate Mode)のみで、パススルー給電にも対応している。主な付属品はUSB Type-Cケーブルとカバースタンドのみとシンプルだ。

●パススルー給電対応! ノートPCの上に重ねて配置可能だが……

 では実際に使ってみよう。デバイスとはUSB Type-Cケーブルで接続する。ポートは右側面に2基あるが、機能に違いはないので、上下のどちらを使用しても構わない。

 前述のように本製品はノートPCの上に重ねるようにして配置することもできるが、ノートPCの横に並べて使う場合は、本体背面の付属のスタンドを用いて自立させる。こちらは一般的なモバイルディスプレイそのもので特筆すべきことはないが、角度調整の自由度は高い。

 なお2基のUSB Type-Cポートを使うことで、本製品に接続した充電器からノートPCの充電も行う、いわゆるパススルー充電にも対応する。試しに65Wの充電器を接続したところ、本製品から見て37W、100Wの充電器に接続した場合は57Wの充電器として認識された。

 これは本製品でいくらかの電力が間引かれた結果だが、後者については付属のケーブルが3A対応(上限60W)であるため、そこがボトルネックになった可能性がある。いずれにしても、本製品を利用しながらノートPCも給電できるのは、ノートPCのUSB Type-Cのポート数が少ない場合に重宝するだろう。

●便利なスタンドだが調整が必要になる部分も

 ノートPCの上に重ねて配置する場合は、付属のカバースタンドを使用する。カバースタンドを指定通りに折り曲げて自立させた後、本製品を上に乗せれば、ちょうどノートPCの画面の上に並べるのに適した高さで、本製品を配置できる仕組みだ。

 カバースタンドは折り紙のように組み立てるのだが、マグネットでしっかりと吸着すること、また上に乗せる本製品が軽量なこともあり、安定性は十分だ。コンセプトは以前本連載で紹介した「WING BINDER」に近いものがある。

 一方、ネックとなる点が2つある。1つはノートPCの高さに合わせて、画面を上げ/下げする機能がないことだ。今回試用したノートPCとの組み合わせでは、本製品との間に16mmほどの隙間が空いてしまった。現実的な解決策としては、本製品側ではなくノートPCの側を、何らかの方法で持ち上げるのがよいだろう。

 これとは逆に、ノートPCのサイズが大きすぎる場合、逆にスタンドが低すぎて画面に干渉するケースがある。この場合はノートPCではなくスタンドを、何らかの方法で持ち上げる必要が出てくる。17型以上のノートPCでは、こうなる可能性がありそうだ。

 もう1つのネックは、スタンドの組み立て方が複雑なことだ。二度三度と行えばおおむね理解できるので、毎日使うのならばずっと覚えていられるだろうが、前回の利用からしばらく間が空いた場合など、うまく思い出せない可能性はある。一部のASUS製品にあるように、組み立て方の図解を本体面にプリントするなどの配慮が欲しいと感じた。

 最後にOSDメニューについても触れておこう。本製品はコントラストや色合いを調整したり、ゲームモードなどの表示モードを切り替えたりといった、一般的なモバイルディスプレイに見られるOSDメニューが用意されていない。唯一あるのは明るさの調整機能で、これは背面右にある専用ボタンを利用する。

 これらは一見すると不自由に見えるが、モバイルディスプレイを使うユーザーで、こういったメニューを細かく切り替えて使っているユーザーがどれだけいるかは不明で、さらに本製品はHDMIや音声出力などの機能がオミットされているため、それらへの切り替え機能はそもそも不要だ。最低限必要な明るさ調整を除き、その他の機能がないというのは、現実的な取捨選択の結果と見てよさそうだ。

●実機を手にすれば間違いなく軽さに驚く製品

 以上ざっと使ってみたが、とにかく軽さのインパクトは強烈だ。実測315gという軽さは、タブレットで言うと8.3型のiPad mini(約297g)とほぼ同等になる。それでいて画面サイズは13インチiPad Air(約617g)よりも大きいので、いかに画面サイズ比で軽量かが分かるだろう。

 カバースタンドは、今回紹介したノートPCの上に重ねて配置する以外に、正式なサポート対象外ではあるが組み立て方を変えることで、本製品を縦向きに設置する場合のスタンドとしても使える機能も備えており、幅広い利用スタイルに対応できる。縦置き可能と言いつつスタンドがそれを考慮していない製品は多いだけに、これは大きなプラスだ。

 実際に使っていて惜しいと思ったのは付属のケーブルで、かなり外皮が硬いことから、曲げる場合も大きくカーブさせなくてはいけない。こだわりのあるユーザーは、外皮がなるべく柔らかい市販ケーブルと交換した方が、取り回しは良くなるだろう。

 特にノートPCの画面の上に重ねて配置する場合は、コネクターがL型になったUSB Type-Cケーブルを用意すると、収まりが非常によくなる。仕様的には60W(3A)対応なので、入手はそう難しくないはずだ。

 国産というのも大きなプラスのこの製品、同社のノートPC「VAIO」シリーズに限らず、幅広く使える汎用(はんよう)性も売りで、よいものを長期に渡って使いたいユーザーには最適だろう。実売価格は税込み5万4800円と、画面サイズだけでいえばやや割高だが、十分に納得の行く付加価値を備えている。実機を手にすればその軽さに間違いなく驚く、そんな製品といえそうだ。

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