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“デスクトップSSD”とは!? 容量8TBの超高速ストレージ「SanDisk Desk Drive」を試す

ITmedia PC USER 2024年7月3日 18時0分

 外付けSSDと聞けば、「高速データ転送できるから、持ち運ぶのに便利なのよね」という具合に、ポータブルなデバイスをイメージするだろう。しかし、ウエスタンデジタルが発売した「SanDisk Desk Drive」は、サンディスクブランド初の“デスクトップSSD”だ。容量の異なる8TBモデルと4TBモデルがあり、前者は11万8140円、後者は5万9840円(いずれも税込み)となっている。

 デスクトップSSDは一般的なポータブルSSDと何が違うのだろうか。8TBモデルを借りられたので、実際の使い勝手を試してみた。

●専用のACアダプターが必須のユニークなポータブルSSD

 大容量のデスクトップストレージといえば、ランチボックスより少し大きめなサイズの3.5インチHDDが思い浮かぶだろう。外付けHDDは、いかついタイプのデザインもあれば、ウエスタンデジタルの「WD Elements Desktop HDD Storage」のようにスッキリしたものもある。今すぐ作業したいデータというより、もう用事の済んだデータを念のため保管しておきたいというニーズにハマることもあり、自宅のデスクの上(または下)に据え置いて使っている人もいるだろう。

 ドライブがSSDであれば、保管もできるしストレージ内から呼び出して直接作業することもかなう。高解像度の動画や写真編集などを行う人にとって、メインPCといつでもつながっている据え置きタイプのSSDがあれば、作業効率が爆上がりするに違いない。

 まずは、パッケージの中身を見ていこう。本体に加え、USB Type-Cケーブル、USB Type-C→USB Standard-A変換アダプター、ACアダプター、そして取り扱い上の注意を記した書類だ。

 USB Type-Cケーブルは、形状がかなり太かった。「USB CABLE CHECKER 2」でテストしたところ、10GbpsのSuperSpeed+に対応したUSB 3.2 Gen 2ケーブルだったので、納得の太さだ

 SanDisk Desk Driveは、3.5インチHDDのようなランチボックスサイズではなく、大きめのおにぎりに近い約99.2(幅)×99.2(奥行き)×40.2(高さ)mm、重さは安定性のため重しを入れているとのことで実測273g(公称値は約268g)だった。見た目ほど重くはないので、持ち運びも苦にはならないだろう。

 とはいえ、バッケージにACアダプターが入っていることから分かるように、USBバスパワーでは動作しない。AC電源が必須ゆえ、どこでも作業できるというわけではない。やはり、これはデスクトップSSDなのだな、と思わせられた。

●PCに装着してすぐに使えるexFAT形式でフォーマット

 評価機の容量は8TBで、データ転送速度は読み出し速度が最大毎秒1000MB、書き込み速度は最大毎秒900MBだ。exFAT形式でフォーマットされており、WindowsであれMacであれ、箱を開けたらすぐに使い始められる。

 本体は、背面にUSB Type-C端子と電源端子、後方左角にケンジントンロックのセキュリティスロットがあるだけとシンプルな見た目だ。サイズ感とあいまって、見える場所に置いてもデスク回りをスッキリとさせておけるだろう。

 続いて、ユーティリティー関連を見ていく。本製品にオリジナルのバックアップユーティリティーは用意されていないが、Macであれば「Time Machine」、Windowsなら無料ダウンロード可能な「Acronis True Image」に対応している。

●気になる転送スピードは?

 本製品は価格が価格だけに、「買ってみたがこんなはずじゃなかった」という失敗は避けたいところだ。HDDより高速なのは当然だが、データ転送において読み出しや書き込みは最大速度に近い値を出せるのだろうか。早速、ベンチマークテストを行った。

 今回は、Windows PCを2台、MacBook Pro1台でテストした。

 まずはWindows PCだ。用意した環境はいずれもポータブルゲーミングPCで、中国ONE-NETBOOK Technologyの「ONEXPLAYER 2」(AMD Ryzen7 6800U/16GBメモリ)と、AYANEOの「AYANEO SLIDE」(AMD Ryzen 7840U/32GBメモリ)だ。計測ツールには「CrystalDiskMark 8.0.5 x64」(ひよひよ氏作)を利用した。

 最初は、ONXPLAYER 2が備えるUSB4規格のUSB Type-C端子に接続して行った。

 驚くことに、読み出し速度と書き込み速度ともに公称値を超えた転送速度だった。平均値は読み出し速度が毎秒1017.49MB、書き込み速度毎秒1004.74MBと十分に高速だ。

 同様に、AYANEO SLIDEでもUSB4規格のUSB Type-C端子に接続してテストした。

 AYANEO SLIDEでは書き込み速度の方が若干高速で、平均値は毎秒1002.96MBとなった。読み出し速度は毎秒998.02MBだった。

 続いては、macOSを採用したAppleの「13インチMacBook Pro 2020」(2.3GHzクアッドコア Intel Core i7/16GBメモリ)だ。接続端子は最大転送速度が毎秒40GBのThunderbolt 3なので、転送速度のボトルネックになることはないだろう。

 5回計測した平均値は、読み出し速度が毎秒906.56MB、書き込み速度は毎秒868.6MBであった。こちらもメーカー公称値に近い値だ。なお、最大値は読み出し速度は毎秒922.8MB、書き込み速度が毎秒874.8MBだった。

●気になる発熱は?

 本製品の稼働中の発熱も気になるところだ。特に夏場ではクーラーを入れていて部屋の温度が低いにもかかわらず、なぜか通電するありとあらゆるものが冬場より熱を出しているかのように感じる。

 SanDisk Desk Driveの動作温度範囲は0度~35度だ。26.5度の室内でベンチマークテストを実施している最中にSanDisk Desk Driveの最も高温になっていた部分を赤外線サーモメーターで測ってみたところ、47.6度であった。手で持てないわけではないが、本製品を使う際にはデスク上の熱がこもらない場所に設置しておくのがいいだろう。

 SanDisk Desk Driveは、珍しいデスクトップでの利用を想定した外付けSSDで、AC電源を利用することから安定した動作が期待できるし、実際にメーカーが想定している通りのパフォーマンスを得た。

 本製品の導入でイニシャルコストが多少かかってしまうが、多くのデータを一元管理できるし、日々のバックアップに時間を取られずに済み、大容量クラウドストレージを数年に渡って契約し続けるよりコスパもタイパも優れる。

 3年間の製品保証も付帯しているので、高解像度の動画編集を日常的に行う人、全天球カメラでの撮影を楽しんでいる人、PCゲームを楽しむ人などであれば、買っておいて損はない外付けストレージだと感じた。

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