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LDAC&日本語表示に対応したディスプレイ搭載充電ケース付き完全ワイヤレスイヤフォン「JBL LIVE BEAM 3」の細かな使い勝手を試す

ITmedia PC USER 2024年7月5日 12時0分

 ハーマンインターナショナルは、JBLブランドで初となるハイレゾ対応のハイブリッドノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤフォン「JBL LIVE BEAM 3」を6月7日に発売した。直販価格は2万8050円(税込み)。ブラック、シルバー、ブルー、パープルの4色展開だ。

 JBLの完全ワイヤレスイヤフォンには複数のシリーズがあるが、JBL LIVE BEAM 3は2022年に発売された「JBL LIVE FREE 2」の後継モデルだ。ただそれだけではなく、ディスプレイ付きの充電ケースなどは、2023年に発売されたフラグシップモデル「JBL TOUR PRO 2」の流れもくんでいる。

 JBLは、LIVE BEAM 3を完全ワイヤレスイヤフォンの“新スタンダード”として位置付けている。今回、そのJBL LIVEBEAM 3を試用する機会を得たので、従来モデルからどう変わったのか早速紹介していこう。

●細かなアップデートでスマート充電ケースの使い勝手が向上

 スマート充電ケースのサイズはTOUR PRO 2よりも一回り小さく、体積が6%減少、重量も5%軽くなっている。また、日本のユーザーから要望が多かったというストラップホールも新たに追加され、持ち運びしやすくなっている。

 ディスプレイの搭載位置も異なっており、TOUR PRO 2はケース本体に搭載していたのに対し、LIVE BEAM 3は上蓋に搭載されている。ケースを開いた状態でも画面を操作しやすいように、180度の画面回転機能も追加されている。ただ、ケースを開いたまま操作する場面が想像できないので、本当にこの機能が必要だったのかは疑問だ。

 それ以外の機能としては大きな変化はなく、ディスプレイ上から再生/停止や曲送り、音量調整、イコライザーなどの操作、設定を行える。これらの操作はスマートフォンや、イヤフォンのタップ操作でも行えるが、タップ操作はいちいち操作を覚える必要があり、誤動作も多い。スマホを取り出す必要もなく、画面を見ながら手元で操作できるのはやはり便利だ。

 スマートウォッチのようにスマホに来た通知を表示する機能も備えている。TOUR PRO 2は日本語に非対応だったのでメールの件名など不都合があったが、LIVE BEAM 3では問題なく表示できる。

 ケース背面には充電用のUSB Type-Cポートと、ディスプレイ表示用のボタンがある。ケースを閉じた状態でこのボタンを押すと、ディスプレイのオン/オフが可能だ。なお、画面のタップでもディスプレイの表示は行えるので、あまり利用する機会はないだろう。

●イヤフォンの形状はスタイリッシュ

 イヤフォン自体のデザインはショートステム採用のカナル型で、一見するとTOUR PRO 2とよく似ている。ただ、よく見てみるとLIVE BEAM 3はステムが細く、全体的に丸みを帯びてスタイリッシュな印象だ。

●ノイズキャンセルの完成度は?

 イヤピースはXS/S/M/Lの4種類が付属(Mが装着済み)している。専用アプリ「JBL Headphones」で最適なフィット(密閉度)を確認できる。

 この密閉感とアクティブノイズキャンセリング(ANC)が相まって、ノイズキャンセリング性能はかなり高い。ANC特有の圧迫感はあるが、洗濯機や掃除機、エアコンなどのモーター音や振動音はほぼ完璧に遮断してくれる。リアルタイム補正機能も搭載しており、周囲の騒音レベルに合わせてノイズキャンセリングの強さを自動調整してくれる。

 もちろん、「外音取込モード(アンビエントアウェア)」も搭載している。他にも、人の話し声をより聞きやすくする「トークスルー」にも対応している。

 アンビエントアウェアとの違いが分かりづらいが、トークスルーは装着したままでも会話をしやすくするというもの。外の音が聞こえやすくなるというのはアンビエントアウェアと同じだが、トークスルーでは再生中の音楽の音量が下がるほか、自分の話し声も明瞭に聞こえるようになる。このほか、会話を始めた際に、自動的にトークスルーモードに移行する「スマートトーク」機能も搭載している。

 ドライバーユニットには、剛性と耐久性に優れた新素材樹脂「PEEK」(ポリエーテルエーテルケトン)とポリウレタン(PU)のハイブリッド素材を採用した10mm径ダイナミックドライバーを搭載する。

●音質や音質最適化機能もあり 初のLDAC対応も

 音質面では、フラグシップのTOUR PRO 2と比較しても遜色ないレベルだと感じる。低音から中音域に厚みがあるのも同様だ。ただ、低音の迫力はTOUR PRO 2よりもやや弱めな印象も受ける。とはいえ、ほとんど誤差のようなものだ。イコライザー設定次第で大きく印象を変えられる。

 なお、TOUR PRO 2と同様、ユーザーの聴覚特性を測定し、サウンドを最適化するパーソナライズ機能「Personi-Fi」を備えている。

 TOUR PRO 2は9チェックポイントだったが、LIVE BEAM 3では12に増えており、より正確なパーソナライズが行えるという。とはいえ、利用方法自体は大きく変わったわけではない。いくつかのテストを行い、聴こえにくい周波数帯を増幅してくれる。

 LIVE BEAM 3は、JBLの完全ワイヤレスイヤフォンとしては初めて、LDACに対応している。利用するには端末側もLDAC対応が必要なので、残念ながらiPhoneでは利用できない。LDAC接続した場合の音質だが、AAC接続の場合よりも、解像感が一段上がる印象だ。特に中高音域がよりクリアに聞こえるようになる。AAC接続の場合は、音質的にはTOUR PRO 2と遜色ないと感じたが、LDACを使う場合はLIVE BEAM 3のほうが上だろう。

 ただ、注意点もあり、LDACを利用する場合には「Personi-Fi」「空間サウンド」「低音量EQ」「音漏れの補正」が利用できなくなる。人によっては、LDACを使うよりもPersoni-Fiで補正をした方が明瞭に聞こえるということもあるだろう。この辺りは、実際に試して確認してほしい。

 その他の機能としては、TOUR PRO 2に搭載されていた移動中の睡眠をサポートする「SilentNOW」は非対応となっている。これは、指定時間後に再生が停止するがANCだけは有効になっており、そのまま指定時間が経過するとアラームで起こしてくれるという機能だった。

 代わりに、波の音や虫の声、焚火の音、森の音、川の音の最大5つの環境音を組み合わせて再生できる「リラックスサウンド」機能を搭載する。指定時間後に停止するので、睡眠導入にも使えそうだ。

 JBL TOUR PRO 2は音質的には問題ないものの、約3万円という価格帯的にハイレゾ非対応というのが見劣りするポイントだった。その点、JBL LIVE BEAM 3はLDACに対応している。今のところLDACを手軽に利用できるのはAndroidだけだが、より高音質を体験できるようになった。また、スマート充電ケースが日本語対応になるなど、さらなる進化も遂げている。

 LDAC対応という点を除いても、TOUR PRO 2と同等の音質とANC性能で3万円を切る価格はコストパフォーマンス的にも魅力がある。ディスプレイを備えたスマート充電ケースに興味がある人はもちろん、音質と価格のバランスを重視する人にもおすすめできる製品だ。

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