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利用用途にマッチすれば最高の10.3型白黒電子ペーパータブレット「BOOX Go 10.3」 洗練された高い完成度が魅力

ITmedia PC USER 2024年7月8日 12時20分

 さまざまなガジェットを愛用する私ですが、忘れてはならないのが電子ペーパー端末です。これまでいくつもレビューをしてきました。

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 そんな中でも、愛用している「BOOX」シリーズから、新製品「Go」が発売となりました。自然なデザインで軽量をコンセプトとしたシリーズで、ラインアップは10.3型と7型があります。今回は10.3型の「BOOX Go 10.3」についてレビューしたいと思います。

 最近のラインアップとしては珍しく、カラーではなく白黒の電子ペーパーモデルです。後述しますが、この端末で自分の使い方に合うのであれば、間違いなくオススメの1台です。私としては利用用途の1つとしてピタリとハマるポジションだったので、早速予約を入れて購入してしまいました。

●必要最低限を、品質高く搭載

 私は電子ペーパーのメイン端末として、ハイエンドモデルの「BOOX Tab Ultra C Pro」を使っています。

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 カラー電子ペーパー、フロントライトあり、ページ送りボタンあり、スタイラスペンやmicroSDメモリーカードも使える、カメラ付きや専用キーボードあり──まさにタブレットのように使える電子ペーパー端末です。

 しかし、私の電子ペーパーの利用用途は、ほぼ「電子書籍」です。いくら高性能でも、電子ペーパー端末なのです。画面レスポンスはiPadなどのタブレットに勝てるはずもなく、物理キーボードの使用含め、PCのような用途に使うことはありません。つまり、電子ペーパーとしてはオーバースペックなのです。

 そうした中、今回の「BOOX Go 10.3」は、次のように割り切った端末です。まず、画面は白黒電子ペーパーです。フロントライトもありません。ページ送りボタンやmicroSDメモリーカードスロットもありません。

 では何が特徴かというと、薄さと軽さです。厚さ約4.6mm、重さ約375gと、10.3型でこのレベルの端末はあまり見たことがありません。スタイラスペンも使えます。電子書籍、メモ書きという用途でしっかりと使えます。

 できるだけ無駄を落とし、スマートにした端末といえるでしょう。

●薄さと軽さは正義

 話は変わりますが、先日発売された「iPad Pro(2024)」は、その薄さと軽さが一つの特徴となりました。私も11型モデルを手にしたのですが、薄さの感覚は素晴らしく、愛着がわいています。

 しかし、BOOX Go 10.3は、それらを超えてきました。

 もともと、BOOXにも「Air」シリーズがありました。しかし、ハイエンド端末に比べてそこまで軽くはないのです。Tab Ultra C Proが約450gに対して、Air Cは約430gです。スペックダウンさせてまでその軽さを使いたいかというと微妙で、触手は伸びませんでした……。今回のBOOX Go 10.3は375gと、軽さは11型のiPad Pro(2024)の重さ約446gと比べて約70gも軽くなります。となると、電子ペーパーという制約のある使い勝手ですが、専用機として大いに魅力が出てくるのではないでしょうか。

 昨今の端末は大型化・高性能化に伴い重くなりがちでしたが、今後は薄さと軽さを意識した端末もトレンドになる予感がしています。

●電子書籍には、ほぼ必要十分

 電子書籍用途としては、特に不便はありません。電子ペーパーとしての質は安定のクオリティーです。表示速度も、昨今の電子ペーパーとしてまったく問題ありません。

 最近のBOOXシリーズは最初から普通にGoogle Playが使えます。また、純正アプリも使い勝手が洗練されてきていると感じます。ソフトウェア面での問題はあまり感じません。

 差別化はハードウェア面となりますが、BOOX Go 10.3はかなり自分好みです。

まず、背面が素晴らしいです。革のような質感になっており、見た目もよいですし、片手で持っていても滑りづらいです。

 背面にカメラがないのも、個人的にはうれしいです。カメラというよりは、カメラのレンズによる凹凸がないため、机に置いた時にガタガタしません。私は電子ペーパーでカメラを使うことはないため、はっきりいって不要なのです。

 ベゼル幅がある程度あるのも、逆に使い勝手を高めています。横を手で持ちやすいです。今回、端末の下側のベゼルも幅があることから、実はそこを持って支える使い方もしやすいことに気が付きました。

 フロントライトを搭載しないという割り切りも好きです。暗い部屋でフロントライトを使って読むことは基本的にないので、削るのは正解だと感じました。公式サイトの商品説明によると、フロントライト層をなくした分、明るく見えるようです。実際に、普通の照明があれば、困ることはありません。

 あえて言うなら、「バッテリーをもう少し減らして軽くする」というのもアリだったと思います。電子ペーパーは電池持ちが素晴らしいので、3700mAhも搭載しなくてもよい気がします。

●惜しい点も

 とはいえ、惜しいと思う点もありました。一番の残念なポイントは、ページ送りボタンがないことです。そして、搭載するのであれば端末側面にボリュームボタンのように配置するのではなく、堂々と正面に配置してほしいです。

 メモリーカードが使えないというのももったいないです。もしかすると、端末が薄くなりすぎて物理的に搭載するのが難しいのかもしれませんが……、USB Type-Cコネクターはもはや限界レベルの薄さです。

 なお、ここは個人的なお話ですが、端末ローカルに自炊電子書籍データを入れる使い方から、ネットワーク経由でマイライブラリにアクセスできる仕組みに移行しつつあります。そのため、実は端末容量はそこまで重要なポイントではなくなりました。Kindleアプリなど通常の電子書籍アプリを使うこともあるため、あまりに容量が小さいとそれはそれで問題です。しかし、microSDメモリーカードで拡張できないとはいえ、64GBはあるので大丈夫でしょう。

 専用ケースについても、使いどころが難しいと感じました。ケースを装着すると、どうしてもBOOX Go 10.3最大の特徴である“軽さ”をつぶしてしまいます。純正ケースは約263gです。重いわけではありませんが、軽さを目指した端末なのに、ケースで重くなってしまう……というのは、微妙なところです。

 また、カバンの中でペンが落ちづらくするためのペンカバーがあるのはよいですが、利便性を考えてか、このカバー自体が外せるようになっています。ただ、マグネット装着であり、キチンとつけないと変な傾きでついてしまうなど、微妙な使用感だと感じました。

 また、ケースを装着しているとスタンドとして縦向きで使えないのは、やっぱり少し残念です。使ったことはないのですが、「BOOX Note Air3 C」の純正カバーは、縦置きにも対応しているようです。私はiPad Proでは縦置きもできるPiTaKaのケースを使っていますが、どちらの向きでも使えるのはやはり便利です。

●狙った用途の機能に対して、最適な品質を投入した端末

 読書ほど、インプット効率の高い手段はないと思います。何はともあれ、ある程度「多読すべし」だと私は考えています。そのためには、いかにいつでも手軽に読書できる環境を作れるか。それがポイントだと思います。

 “軽い”端末は、手軽に手が伸びてしまうものです。電子ペーパーですので、スマホでありがちな通知や、気がついたらブラウジングしているといった集中を妨げる要素が少ないのも、大きなメリットだと感じます。当然、電子ペーパーはまぶしくないので、疲れている時にも,目に優しい端末です。

 「白黒でよい。暗い部屋で読まない(フロントライトがない)」「大容量はいらない」これらの条件に問題なければ、間違いなくオススメできる1台です。私は電子ペーパー利用目的の80%はBOOX Go 10.3でカバーできると判断したので、早速予約しました。

 残り20%は何かと言うと、やはりカラーで読みたいケースがあるのと、外出する時に「持ち運ぶのは7型程度の端末の方がよいなぁ」というところでしょうか。

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