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大型掲示装置やSTEAM教材の展示も充実――「NEW EDUCATION EXPO 2024」で見た教育の未来

ITmedia PC USER 2024年7月9日 17時30分

 6月6日から8日の3日間、TFTホール(東京都江東区)で「NEW EDUCATION EXPO 2024 TOKYO」が開催された。NEW EDUCATION EXPO(NEE)は1996年に始まった教育関係者向けのイベントで、教育関連の講演会の他、教材やICT機器/ソリューションなどの展示会も併催されている。

 この記事では、NEE 2024 TOKYOにおける展示の中から、大型提示装置(電子黒板/大型ディスプレイ/プロジェクター)やSTEAM教育(※1)に関するものを紹介したい。

(※1)Science(科学)/Technology(技術)/Engineering(工学)/Arts(芸術・リベラルアーツ)/Mathematics(数学)に関する教育

●シャープNECディスプレイソリューションズ:多様な大型提示装置を展開

 シャープNECディスプレイソリューションズのブースでは、電子黒板(同社は「インタラクティブホワイトボード」と呼んでいる)や大型ディスプレイ、プロジェクターが展示されていた。

 なおその名の通り、同社はシャープとNEC(日本電気)との合弁会社だが、製品はNECブランドで展開している。

 電子黒板「BrainBoard」シリーズの新製品「LCD-CB753」は、PCレスで画面への書き込みができる内蔵ホワイトボード機能や、マルチデバイス対応の無線投影機能を備えた75型4K対応電子黒板だ。学習用端末を含む昨今のノートPC/タブレット端末のトレンドを受けて、USB Type-C端子による映像入力(DisplayPort Alternate Mode)にも対応している。

 スタイラスペンが標準で2本添付しており、ペンの両端にそれぞれ別の「ペン先」を設定することでより便利に使える。

 「LCD-EA242WU」は、USB Type-Cによる映像入力(DisplayPort Alternate Mode)にも対応する24型液晶ディスプレイで、パネル解像度はWUXGA(1920×1200ピクセル)となる。

 本機には有線LAN端子(1000BASE-T)とUSB 3.2 Gen 1 Standard-A端子×2も備えている。LANケーブルやUSBキーボード/マウスをあらかじめつないでおくことで、映像出力対応のUSB Type-C端子を備えるノートPC/タブレット端末のマルチハブとしても機能する。机の上がケーブルでごちゃごちゃになるようなことはなく便利だ。

 「LCD-AS244F」は、3辺超狭額縁デザインの24型液晶ディスプレイで、パネル解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)となる。超狭額縁デザインなので、複数台並べた際にディスプレイの“境界”があまり目立たないことが魅力だ。

 「NP-PE456USLJL」は、WUXGA解像度での投影に対応するレーザー短焦点プロジェクターだ。輝度は最大4500ルーメンと明るめだ。

 レーザー光源のプロジェクターは、ランプ光源のものと比べると寿命が長いことが利点で、エコモード時の光源交換時間は3万時間と長い。そのため、メンテナンスの手間やコストを軽減できる。

●シャープマーケティングジャパン:プログラミング教育に「ロボホン」を!

 シャープマーケティングジャパンのブースでは、電子黒板や電子ペーパーディスプレイ、コミュニケーションロボット「ロボホン」を利用したプログラミング教材などが展示されていた。同社はシャープの国内マーケティング子会社で、シャープ製品の卸売りや、各種ソリューションの販売などを手掛けている。

 電子黒板「BIG PAD Campus(PN-LC752)」は、多機能タイプの電子黒板だ。PCを接続しなくても単体でWebブラウザやドキュメントビューア、画面録画機能など利用できる他、画面を“双方向で”送受信できる「ワイヤレスキャスト」機能も備えている。

 電子ペーパーディスプレイは、書き換え時のみ電力を消費するため、案内掲示板などのサイネージ用途にも向いている。

 シャープは大きさや発色数の異なる複数の電子ペーパーをリリースしているが、今回は7.3型4色両面モデル「ePoster(EP-C071)」などが展示されていた。

 また、シャープ製のコミュニケーションロボット「ロボホン」を利用したプログラミング教材の展示も行われていた。ブロックプログラミングでロボホンの制御が行える他、「ChatGPT」を活用したAI会話も可能だという。

●内田洋行:いろいろなSTEAM教材を集めて展示

 NEEの主催メンバーの1社でもある内田洋行(ウチダ)は、展示会場内で子会社のものを含めて複数のブースを構えていた。そのうちの1つ「ウチダのSTEAM教育教材」ブースでは、その名の通り同社が取り扱うさまざまなSTEAM教育教材が展示されていた。

 PlayStation(プレイステーション)でおなじみのソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が開発した「toio(トイオ)」は、手のひらにのる小型キューブロボットだ。

 底面にセンサーが搭載されており、プレイマットやカードなどに特殊印刷されているパターンの情報を読み取り、それに従って動作する。toioにはさまざまなアプリケーションが用意されているが、ここではSTEAM教育用の「GoGo ロボットプログラミング」が展示されていた。

 GoGo ロボットプログラミングには、初級編の「ロジーボのひみつ」と、より高度なプログラミングが学べる「アドバンス」の2種類があり、前者は小学校低学年から取り組めるようになっている。

 ソニーの新規事業から生まれたプロトタイピングツール「MESH」の展示も行われていた。

  MESHはブロック同士がBluetoothで接続され、ブロック同士の関係性や設定などを専用アプリでプログラミングすることができる。IoTデバイスの作成からセンサーを活用した理科実験まで、さまざまな用途に利用できることが特徴だ。

 レゴの教育用製品「レゴ エデュケーション SPIKE プライム」と、低年齢層向け製品「レゴ エデュケーション SPIKE ベーシック」も展示されていた。

 両製品はプログラミング教育でよく使われる「Scratch」に似たブロックプログラミングで動作を制御することができる。

 TFabWorksが開発した「AkaDakoシリーズ」の最新モデル「タコラッチ・ミニ」は、PCのUSBポートに直接接続して利用できるScratch用拡張ボードだ。フルカラーLEDや光センサー、人感センサー、デジタルとアナログの「Grove端子」を備えている。

 これらのセンサー類は、Scratchで利用できるようになっていて、PCと現実世界を“つなぐ”フィジカルコンピューティングを気軽に体験できる。

 その他、phrozenの光造形3Dプリンター「Sonic Mega 8K S」も展示されていた。

 リコージャパンのブースでは、STEAM教育向けとして3Dプリンターを使ったソリューションを展示していた。

 「Creality K1 Max」は、フィラメントを熱で溶解して積層する、FDM方式の3Dプリンタだ。造形のスピードが売りの製品で、限られた授業時間の中でもある程度のサイズのオブジェクトを作れることが魅力だ。

 「Bambu Lab P1S」は、4色のフィラメントを使い分け、4色での造形が可能なFDM方式の3Dプリンタだ。4色使えるということもあり、さまざまな応用が考えられる。

●ピクシーダストテクノロジーズ:誰が何を話したかを可視化するツールを展示

 落合陽一氏が代表を務めるピクシーダストテクノロジーズのブースでは、同社の会話リアルタイム視覚化サービス 「VUEVO(ビューエボ)」のデモ展示を行っていた。

 VUEVOには、会議用の「VUEVO Microphones」と窓口用の「VUEVO Display」の2つのソリューションが用意されている。VUEVO Microphonesは、会議の際にテーブルの中央に円盤状のマイクデバイスを置くことで、会議中に誰が何を話したかをリアルタイムに視覚化してくれるものだ。

 マイクデバイスを中心として、その話者の方向に色が塗られ、そこに話した言葉が表示されるため、議事録作成を効率化できる上、聴覚障害者ともスムーズなコミュニケーションが取れる。すでにさまざまな企業で導入されているとのことだ。

 VUEVO Displayは、透明ディスプレイを利用した窓口用のソリューションだ。透明ディスプレイ上に音声会話の文字起こしと、その翻訳を字幕としてリアルタイムに表示するものだ。受付や窓口などの対面業務における他言語の話者や聴覚障障害者との円滑なコミュニケーションを実現できる。

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