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GoogleがサードパーティーCookieの廃止を撤回/Adobe IllustratorとPhotoshopにAdobe FireFlyを利用した生成AIの新機能

ITmedia PC USER 2024年7月28日 6時5分

 うっかり見逃していたけれど、ちょっと気になる――そんなニュースを週末に“一気読み”する連載。今回は、7月21日週を中心に公開された主なニュースを一気にチェックしましょう!

●GoogleがサードパーティーCookieの廃止を撤回

 Googleは7月22日(現地時間)、サードパーティーCookieの廃止を進めるという方針を撤回し、Chromeブラウザに新たなプライバシーコントロールを追加すると発表した。

 複数のWebサイトをまたがってCookieを利用するサードパーティーCookieは、主にWeb上のトラッキング広告などで利用されている。これを利用することで、Webサイトを見ているユーザーを識別し、そのユーザーが興味を引きそうな広告を表示できる。

 広告主からすると便利なサードパーティーCookieだが、ユーザーがどういったWebサイトを見ているのか追跡することが可能という意味で、プライバシーの問題が以前から指摘されている。このため、Googleは、ChromeブラウザでサードパーティーCookieを廃止し、新たに広告配信向けとして「プライバシーサンドボックス」という方法を提案していた。

 当初は2022年までにサードパーティーCookieを廃止する予定だったが、プライバシーサンドボックスによってGoogleが広告配信を独占するといった懸念が高まり、サードパーティーCookieの廃止を2023年後半に延期。その後も数回の延期を繰り返し、今回、サードパーティーCookieの廃止を撤回するに至った。

 なお、プライバシーサンドボックスのAPIは引き続き提供される他、追加のプライバシーコントロールも提供する予定だとしている。

●Adobe IllustratorとPhotoshopにFireFlyを利用した生成AIの新機能を追加

 Adobeは7月23日(現地時間)、Adobe IllustratorとPhotoshopの最新版をリリースした。この最新版には生成AIを用いた新機能が追加されている。

 Illustratorでは、Adobe Firefly対応の新機能として、「生成塗りつぶし(シェイプ)」(β版)や機能拡張がされた「寸法ツール」「モックアップ」「生成パターン」(β版)、「コンテキストタスクバー」などが追加されている。

 「生成塗りつぶし(シェイプ)」は、コンテキストタスクバーに直接テキストプロンプトを入力することで、ベクター図案を既存のシェイプに追加できる。生成塗りつぶし(シェイプ)(β版)には、最新のFirefly Vector Model(β版)が搭載されており、クリエイターにさらなるスピード、パワー、精度を提供できるとしている。

 Photoshopでは、「選択ブラシツール」「調整ブラシツール」「テキスト」「コンテキストタスクバー」の機能拡張により、ワークフローを加速。画像の選択、合成、調整、テキストレイアウト作業において、生産性、精度、コントロール性が新たなレベルへと引き上げられたという。「画像を生成」機能には、Adobe Firefly Image 3モデルが搭載された。

 最新のAdobe Firefly Vectorモデル(β版)を搭載した新機能「生成塗りつぶし(シェイプ)」(β版)、「生成パターン」(β版)、「スタイル参照」は、Adobe Illustratorのβ機能として提供が開始されている。「モックアップ」(β版)、「寸法ツール」「Retype」「強化されたパンとズーム」「コンテキストタスクバー」などのその他の機能は、Adobe Illustratorアプリの最新版で利用できる。選択ブラシツール、調整ブラシツール、画像の生成などの機能は全て、Adobe PhotoshopデスクトップアプリとWeb版アプリで利用可能だ。

●Microsoft、Bingに「生成検索」を導入

 Microsoftは7月24日(現地時間)、Bing検索に「Generative Search(生成検索)」を導入すると発表した。

 新しい生成検索では、Bingの検索結果の基盤、そして大規模言語モデルと小規模言語モデル(LLMとSLM)のパワーを組み合わせ、検索クエリを理解し、何百万もの情報源をレビューし、コンテンツを動的にマッチングさせ、AIが生成した新しいレイアウトで検索結果を生成する。回答の下には、回答のソースとしたサイトへのリンクを表示し、さらにその下に関連するサイトを表示する。なお、従来の検索結果は右側カラムに表示される。

 Microsoftは、生成検索がパブリッシャーへのトラフィックにどのような影響を与えるかを引き続き詳しく調査しているとのこと。初期データによると、Webサイトへのクリック数は維持されているとしている。

 この機能は徐々に展開されており、時間をかけてフィードバックを集めて、テストと学習を行っている。

●1つの動画から視点の異なる8つの動画を生成する「Stable Video 4D」発表

 Stability AIは7月24日(現地時間)、1つの動画から、異なる視点を持つ8つの動画を生成する新しいAIモデル「Stable Video 4D」を発表した。現在、Hugging Faceから入手できる。

 Stable Video 4Dは、画像を動画に変換するStable Video Diffusionモデルを基盤にしている。ユーザーが1つの動画をアップロードして希望する3Dカメラアングルを指定すると、Stable Video 4Dは、指定されたカメラアングルに従って8つの新しい視点の動画を生成する。生成される動画は5フレームで長さは約40秒。

 4D最適化全体には約20~25分かかるものの、既存のモデルと比較して、より詳細で入力した動画に忠実で、フレームとビュー全体で一貫性のある新しい動画を生成できるとしている。

 Stable Video 4D は、Stability AI初の動画間生成モデルであり、同社にとって画期的なマイルストーンだとしている。モデルの改良に積極的に取り組んでおり、トレーニングに使用されている合成データセットを超えて、より幅広い現実世界の動画を処理できるように最適化を進めているという。

●MicrosoftがWindows 10/11の6月度非セキュリティプレビュー更新プログラムを公開

 米Microsoftは7月25日(現地時間)、Windows 10/11向けに2024年7月度の非セキュリティプレビュー更新プログラムをリリースした。Windows 11 23H2/22H2向けが「KB5040527」、Windows 10 22H2向けが「KB5040525」となる。

 Windows11向けの更新プログラムでは、以下のような機能が追加されている。

・中国で「Windows Share」の通知を追加。近距離共有には、Wi-FiとBluetoothがオンになっている必要がある

・ファイルエクスプローラーにタブの複製オプションを追加。タブの右クリックで表示される

・スタートメニューで、メニューからアプリをドラッグしてタスクバーにピン止め可能に

 非セキュリティプレビュー更新プログラムは、月例のセキュリティ更新プログラムに先駆けて変更内容をプレビューする目的のものだ。適用は必須ではなく、オプションを有効にしていなければ自動でアップデートされない。アップデートしなかった場合、基本的には翌月のセキュリティ更新プログラムと同時に適用される。

 なお、Windows 11 22H2のHomeとProエディションは、10月8日にサービスを終了する。これに伴い、非セキュリティプレビュー更新プログラムのリリースは今回が最後となる。

●デスクトップ版Chrome 127リリース

 Googleは7月23日(現地時間)、Webブラウザ「Google Chrome」の最新安定版となるバージョン127をリリースした。代替フォントの見やすさを向上させる「font-size-adjust」がサポートされた他、ピクチャーインピクチャー機能の強化、スクロールコンテナにデフォルトでキーボードフォーカスが可能になっている。

 CSSで指定された第1フォントが利用できず、代替えフォントで表示する場合、2つのフォントのアスペクト値が大きく異なると、サイトの見やすさが低下する可能性がある。font-size-adjustはこうした問題を解消するもので、フォントのサイズを統一することができる。font-size-adjustはFirefoxやSafariでもサポートされており、今回のChromeのアップデートによりベースラインに追加された。

 ピクチャーインピクチャー(PIP)機能では、PIPウィンドウとそのオープナーの間で、ユーザーのアクションが共有されるようになった。このほか、スクロールコンテナでキーボードフォーカスを有効にするには、従来はtabindexに明示的に0以上を指定する必要があったが、Chrome 127以降ではそうした設定がなくてもフォーカスが可能となっている。

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