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スマートリング「Amazfit Helio Ring」が今秋登場 “求めやすい価格”で健康維持を促進!

ITmedia PC USER 2024年7月31日 11時5分

 中国Zepp Healthは、2024年下期の事業方針と新製品について説明する「Amazfit 2024年下期事業方針説明ラウンドテーブル」をメディア向けに実施した。

 冒頭、6月10日に就任したばかりというZepp Health Corporation ジャパンゼネラルマネジャー 薗部晃二郎氏と、Amazfitの国内正規代理店であるアースリボーン マーケティング部 伊藤敬之氏が事業方針と新製品についてそれぞれ紹介した。

●「休息と健康維持」にフォーカスしたスマートリング

 Zepp Healthは、手に取りやすい価格帯のスマートウォッチも手がけており、モニタリングしたデータを「PAI」(Personal Activity Intelligence)という健康スコアとして数値化(可視化)するスマホアプリ「Zepp」と連携している。

 今回投入する製品はスマートウォッチではなく、同社としては新機軸となるスマートリングのAmazfit Helio Ringだ。米国で先行発売したところ人気が高く生産が追いつかないため、日本での発売は2024年秋を予定しているという。

 なお、米国での価格は299.99ドル(約4万6000円)だが、日本での価格は現時点で未定だ。

 Helio Ringは常に高いパフォーマンスを保つために、健康や睡眠管理を行いたいビジネスパーソン、身体の回復を分析したいトップアスリートをターゲットとした製品で、“Helio”はギリシャ語の太陽を意味する“Helios”が由来だ。回復を助け、明るさや活力を保たせるというHelio Ringの主要な役割にマッチした名前といえるだろう。

 Helio Ringは、BioTracker PPG心拍センサー(デュアルカラーLED+2DP)、温度センサー、EDA(皮膚電気活動)センサー、3軸加速度センサー、3軸ジャイロスコープを内蔵している。

 EDAセンサーではストレスレベルの測定を行え、加速度センサーやジャイロスコープ、心拍センサーなどにより、睡眠の質をモニタリングする。それにより、メンタルとフィジカルの数値化を行いレディネススコア(後述)を取得。Amazfitのスマートウォッチを既に使っているユーナーならば、Zeppアプリを介してデータ統合を行うことも可能だ。

 素材はチタン合金で、肌に優しくて軽い。10ATM(100mの水深に耐えられるレベル)により、日常的な水濡れや汗を気にする必要がない。約1時間40分のワイヤレス充電で満充電になり、その状態から4~5日間動作する(サイズにより、搭載するバッテリー容量が異なる)。スマホとの接続はBluetooth Low Energyで行い、Android 7.0/iOS 14.0以降に対応する。

 Amazfitのスマートウォッチと併用することで、より精細なデータを取得できるが、Zeppアプリと接続したHelio Ringだけでもアクティブトラッキング、健康モニタリングなどを行える。

 例えば、Zeppアプリを開いてランニング/ウォーキング/サイクリング/トレッドミルのいずれかをスタートさせれば、スマホと離れた状態でもステップ数/消費カロリー/距離/ペース/ワークアウト中の心拍数などをモニタリングする。ワークアウトが終わったら、再度、Zeppアプリを開けば、分析レポートを確認できる。

●スマートウォッチではなくリングならではのメリット

 また、手首以上に血管との距離が近いこともあり、スマートウォッチよりもリングタイプのデバイスの方が正確なデータを取得できるという。心拍数/ストレス/血中酸素レベルを正確に、しかも約4日間充電不要なので、まさに24時間モニタリングし続けられる。

 これは睡眠のモニタリングにも便利だろう。スマートバンド程度のサイズであれば、24時間装着していてもじゃまになるようなことはほとんどないが、アスリートが使うようなAmazfitのゴツいスマートウォッチでは、就寝時までつけていたくない、という場合がある。薗部氏自身、「寝るときは外したい」とコメントしていた。

 しかし、指輪タイプであれば、違和感なくつけっぱなしにできるだろう。例えば、出先ではウォッチを、帰宅してすぐにリングに付け替える、という使い方もできる。もちろん、両方とも装着したままなら、より精度の高いモニタリングデータを得られる。

 24時間装着し続けられることは、“回復に真剣に取り組むことでパフォーマンスを向上させる”というHelio Ringの目的にも合致する。軽い睡眠、深い睡眠といった睡眠ステージやREM睡眠、睡眠中の呼吸、心拍数などをモニタリングすることで、どの程度回復して次のアクションに備えられるか(レディネス)のスコアを得られるからだ。

 Zeppアプリ内で表示されるレディネススコアでは、体が“充電”されているか、気をつけるべき点は何かなど数値だけでなくアドバイスも表示する。昼間の活動データ、夜の睡眠データの分析により、最高のパフォーマンスを発揮するのを助けるのだ。

●リングのはめ心地はどうだ?

 発表会場には、Helio Ringの実機が展示されていた。Helio Ringは8号/10号/12号の3サイズ展開で、カラーは一色のみだ。サイズやカラーを限定したことについて薗部氏は、「バリエーションが増えると当社だけでなく、販売店でも在庫が増えてしまう。そうするとコストがかさんで、価格に転嫁せざるを得なくなってしまう。手に取りやすい価格を実現するために、まずは3サイズ/1色で展開していく」とのことだ。

 リングの内側に、さまざまなセンサーが見える。このサイズによく詰め込んだという印象だ。

 センサーやバッテリーを内蔵していることからリングの厚みが気になったが、はめてみたところ指によくなじんだ。センサーが正しく反応するように取り付けるにはリング外側にある「|」を手のひら側に向ける。

 リングの充電は、専用スタンドで行う。スタンドはGPSを内蔵しておらず音の鳴る機能もないので、紛失しないように気をつけたい。

●AIを活用した「Zepp Flow」と「Zepp Aura」

 回復のために睡眠の質が重要だということは分かるが、より高い質の睡眠を取るにはどうすればいいのかアドバイスが欲しい場合もある。そのような際に活用できるのが、AIと独自の特許技術を注入したサブスクリプションサービス「Zepp Aura」だ。

 ユーザーの睡眠履歴に基づいたガイダンスや提案を行う「AI睡眠アシスタント」、睡眠を妨げるリスクの評価を行う「睡眠健康レポート」、1週間の睡眠の規則性などを閲覧できる「週間睡眠サマリ」、睡眠またはリラックスに導く音を作成して流す「AI睡眠補助メロディ」機能がある。

 プレミアム会員には、AIチャットボット機能が提供され、自分だけの「睡眠コーチ」を手に入れられる。

 Amazfit Active Edge以外のAmazfitスマートウォッチユーザーであれば、「Zepp Flow」を利用できる。Zepp Flowは、OpenAIの最新AIモデルの「GPT-4o」を統合したAI音声サービスで、起動して話しかけるだけでAmazfitのスマートウォッチを操作可能だ。

 例えば、現状は「8時にアラームで起こして」という操作をするには、複数のタップ操作と20~25秒ほどの時間がかかるが、Zepp Flowを使えば1回長押しをして「8時に起こして」と言うだけなので10~15秒ほどで操作が完了する。なお、「8時に起こして」という発話時間に対して所要時間が長いのは、Zepp Flowが聞き取って設定を完了するのにかかる時間を含めているからだ。

 Zepp FlowはLLM(大規模言語モデル)を活用しているため、バージョンアップが速い。体験では、筆者の「今日はどれだけ歩きましたか?」という問いに対して「2493歩です」と声で返ってきたのだが、向かいに座っていた伊藤氏が「昨日まではテキスト表示だけだったのに、もうテキスト読み上げに対応している!」と驚いていた。

 また、音声会話の翻訳機能もこの日に追加されていた。

●従来モデルを値下げ 日本のマーケットで展開していくための取り組み

 「中国に本社があり、アジアパシフィックとして一括りにされている日本だが、そのマーケットは独特だ」という薗部氏。それに対応すべく、2024年下期では日本法人の立ち上げ、インフルエンサーなどを起用したブランド・マーケティングの開始などを行っていくという。

 国内独自の課題としては「高齢化と健康寿命の乖離(かいり)」を挙げた。平均寿命と健康寿命の間に10年ほどの差があるという。「1日の歩行時間や1週間の運動時間と健康との間には密接なつながりがある。また、健康のために気をつけられることとして、食事だけでなく睡眠や運動習慣を挙げている人も多い。AmazfitのスマートウォッチやHelio Ringはそのサポートができる」と語った。

 スマートウォッチが健康をサポートするとはいえ、利用ユーザーは10%程度にとどまっている。「市場を拡大するには、手に取りやすい価格にすることが重要」と薗部氏。そこで、主力5製品の価格を下げる戦術を取ることにした。

 8月1日から値下げするモデルと新価格は下記の通りだ。

 もっと安価なスマートウォッチやスマートバンドが他社から販売されていること、スマートリングが展開されていることについて薗部氏は「まずは使ってもらうことが重要だと考えている。スマートウォッチやスマートリングのある生活を経験してもらい、もっとこういった機能が欲しいなど、再検討する際に選択肢に入れてもらえたらうれしい」と語っていた。

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