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約2.5Lのボディーで快適なパワーを獲得! 今度のNUCはひと味違う「ROG NUC 760」を試す

ITmedia PC USER 2024年8月9日 16時5分

 「ROG NUC」は、ASUS JAPANから登場したNUCスタイルの小型ゲーミングデスクトップPCだ。ROG(Republic of Gamers)シリーズらしい世界観を表現した約2.5LのコンパクトなボディーにIntelのCore Ultraプロセッサと、NVIDIAのGeForce RTX 40 Laptop GPUシリーズを搭載する。

 日本では「ROG NUC 970」と「ROG NUC 760」の2モデルで展開されるが、今回はCore Ultra 7 155HとNVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPUを備えた下位モデルのROG NUC 760(RNUC14SRKU7168AJI)を入手したのでレビューしよう。なお、製品は8月9日から発売されている。

●NUCとしては大柄なフォームファクターを採用

 ボディーは、NUCとしてはかなり大柄で、手にするとずっしりと重みがある。ボディーサイズは、約270(幅)×180(奥行き)×50(厚さ)mmと、容積にして約2.43L(公称値は2.5L)、重量は約2.6kgだ。電源は内蔵しておらず、重さが1kg以上ある巨大なACアダプター(出力330W)で駆動する。

 ボディーは横置きだけでなく付属スタンドを利用しての縦置きが可能だ。というより、公式Webページやパッケージ写真などは縦置きで撮られたものが多く、どちらかといえば縦置きでの運用をメインで想定しているのだろう。

 このスタンドも、かなり重厚な作りになっている。内側は滑り止め効果のあるラバーが貼られており、機械的なロック機構なしでも好みの位置で安定して設置できる。

●ユニークな発光ギミックも装備

 ボディーには、ROGシリーズらしい発光ギミックも搭載している。ボディー天面パネル(縦置き時には側面パネル)に透過素材が仕込まれており、電源を入れていない時は何もないように見えて、電源を入れるとROGのシンボルがRGB LEDで光るという少し凝ったギミックになっている。

 発光パターンはROGシリーズおなじみのArmoury Crateユーティリティーで設定可能だ。また、このロゴが光る天面パネルは簡単に着脱可能で、内部のプレート(標準ではROGシンボル)は交換可能な構造になっている。

 本体だけだと地味な印象だが、同社のユーティリティー「AURA Sync」に対応しているため、キーボードやマウスなど、AURA Syncに対応した周辺機器と発光を同期させての発光演出が可能だ。AURA Sync対応周辺機器と組み合わせて使うことで、真価を発揮することができるだろう。

 なお、発光パーツが装着されているプレートを外すと内部のメモリソケットとM.2ソケットにアクセスできる。ストレージ用のM.2ソケットは3基あり、標準で2基が空いているので、増設作業も行える。

●小型ながら大画面でもPCゲームを楽しめるハイスペック

 本機が採用するCPUはCore Ultra 7 155H、GPUがGeForce RTX 4060 Laptop(グラフィックスメモリは8GB)、メモリが16GB、ストレージが512GB SSD(PCI Express 4.0 x4対応)という内容だ。

 CPUとGPUはゲーミングPCとして文句のなく、フルHD~2.5K解像度で快適にメジャータイトルがプレイできる構成だ。ただし下位構成モデルとはいえ、SSD容量が512GBというのはゲーミングPCとしては少ない。今回のテスト中も、3DMarkなど定番のベンチマークテストと、3タイトルのゲームをインストールしただけで空き容量が残り60GB程度になってしまい、やりくりに苦労した。

 内部に空きのM.2ソケットが2基あり、これを利用することで比較的簡単に増設することができるのは救いだが、Cドライブの容量は増やせないので、価格を考えれば標準でも1TBは欲しかったところだ。コストパフォーマンスがウリの製品ならば許容できるが、ROGシリーズに属するプレミアムモデルなのだから、こういう基本的な部分はしっかり充実させてほしかったところだ。

●高速かつ充実のインターフェイス

 一方で端子類は充実している。USB端子は、USB Type-C(Thunderbolt 4)が1基、USB Standard-A(USB 3.2 Gen 2)が4基、USB Standard-A(USB 2.0)が2基と、合計7基を装備する。画面出力端子は、USB Type-C(Thunderbolt 4)に加えて、HDMI、DisplayPortも用意される。

 前面にはSD Express 8.0スロット(SDHC/SDXC/SDUC対応、UHS-I互換)も搭載している。SD Express 8.0は、PCI ExpressベースのSDメモリーカード規格で最大毎秒約4GBの転送速度をサポートする。

 通信機能も、2.5GBASE-T対応の有線LAN、Wi-Fi 6E対応の無線LAN、Bluetooth 5.3を標準装備と、申し分ない内容だ。

●高いパフォーマンスと静音性を両立

 ここからは、ベンチマークテストの結果を掲載する。Armoury Crateユーティリティーで設定できる動作モードは、特に言及がない限り「Turbo」で計測した。今回は比較対象として、GPUが同じNVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPUで、CPUにRyzen 9 7940HSを搭載する「TUF Gaming A15 FA507XV」のスコアも掲載した。

 CINEBENCH R23(最低実行時間10分)のCPUスコアは、同じCore Ultra 7 155Hを備えたノートPCの水準を大きく上回っており、放熱性能の高さが伺える。3D描画性能のテスト、実ゲームのテストの結果もNVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPU搭載機として期待される水準通りのスコアをマークしており、申し分ないパフォーマンスだ。

 動作音はボディーの正面5cmの位置から測定したが、Turboモードの高負荷時もそれほど大きな音にならない。少し離した位置に設置すればほとんど気にならないだろう。このあたりはNVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPU搭載のゲーミングノートPCとは一線を画している。

 消費電力も計測した。外部GPUを採用していることもあって驚くような省電力というわけではないが、通常のデスクトップPCに比べれば省電力であるのは間違いないだろう。

●高い性能と静音性を両立した小型ゲーミングデスクトップPC

 今回レビューしたROG NUC 760の市場想定価格は、税込み27万6600円だ。CPUがCore Ultra 9 185H、メモリを32GB、ストレージは1TB SSD、GPUをNVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載する上位モデルのROG NUC 970が35万5600円となっている。

 同じレベルのノートPCが買えてしまいそうな価格であり、コストパフォーマンスが良いとはいえないが、ゲーマーの中には「省スペース性を求めてゲーミングノートPCを買うが画面とキーボードは外付けして使う」という層も一定数いるだろう。

 そして、ストレージが比較的容易に増設できる点や、静音性についてはゲーミングノートPCに対して優位がある。これだけ小さなフォームファクターでゲーミングパフォーマンスと静音性を両立しているのは、これまでありそうでない存在であり、そういうこだわりの強い省スペース志向のゲーマーには支持されるかもしれない。

 ノートPC向けのコンポーネントで小型化しただけではなく、放熱機構にコストをかけて高レベルの静音性を実現した着想は良い。放熱に余裕があるということは耐久性の面でも安心感がある。ゲーミングNUCというジャンルの可能性を感じさせる製品といえる。

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