Infoseek 楽天

3年ぶりのモデルチェンジ! Amazonのスマートディスプレイ「Echo Show 8(第3世代)」は何が変わった?

ITmedia PC USER 2024年8月13日 12時0分

 「Echo Show 8(第3世代)」は、Amazonが販売する8型のスマートディスプレイ「Echo Show 8」の第3世代にあたる製品だ。外観が若干変更になっているものの、機能自体はほぼ同等で、従来よりもスペックを向上させた、マイナーチェンジといっていいモデルである。

 従来モデルが2021年7月の発売だったので、本製品は実に約3年ぶりのモデルチェンジということになる。メーカーから借用した機材を用い、その詳細をチェックする。

 なお本稿では機材の関係で、比較対象となる旧製品は第2世代モデルではなく第1世代モデルを用いている。外観は基本的に同じだが、相違がある部分はその旨をテキストで注釈を加えているので注意してほしい。

●デザインがリニューアル 奥行きの増加はマイナスな変更点

 まずは、外見の違いからチェックしよう。本製品は8型という画面サイズは同じだが、画面の後方でボディーがいったんくびれるなど、ボディーのデザインが従来の第1世代/第2世代モデルから変更になっており、見た目で変わったという印象を与えている。個人的には従来の形状の方がデザインは優れているように感じるが、これは好みの部分だろう。

 第2世代モデルで約13メガピクセルへと進化したフロントカメラは、この第3世代では画素数は据え置きとなった。ただし、カメラの配置は画面の右上から中央へと移動し、TV電話などで使いやすくなっている。これと関連しているかは分からないが、画面の傾きが従来よりも直立気味になっているのも、興味深い変更点だ。

 ボディーサイズはほぼ同一で、重量も1037g→1034gとほぼ変化はないのだが、やや困りものなのが、奥行きが99mm→106mmと、わずかながら増していることだ。本製品はそのデザイン上、電源ジャックの突起を合わせると、実際の設置時には15cmもの奥行きが必要になる。背板のある棚に設置しようとした際、これは大きなハンディとなる。

 しかし本製品はこれらが改善されるどころか、むしろ奥行きが増してしまっており、実際の設置時には従来と同じく、15cm程度の奥行きが必要になる。競合にあたる「Google Nest Hub」が10cm前後あれば十分設置できるのとは対照的だ。唯一といっていい欠点が、よりによって強調されてしまうのはいただけない。

●高速化でパフォーマンス向上 空間オーディオにも対応

 続いて、内部的な違いを見ていこう。

 本製品の目玉は高速化だ。従来はMediaTek系列だったSoCが、本製品では自社製の「Amazon AZ2ニューラルネットワークエンジン内蔵のオクタコアSoC」になっている。筆者の手元にある第1世代モデルと比べると、レスポンスは触れてすぐ分かるほど高速化しており、タッチによる操作時のイライラ感は大幅に軽減されている。

 またカメラの映像を表示する時のレスポンスも、大幅に高速化した。筆者の環境では、第1世代モデルでは「Alexa、(カメラ名)を見せて」と声をかけてから表示までに5~6秒はかかっていたのが、今回の第3世代モデルでは2秒ほどで表示される。カメラのビューアとしての用途で使っているならば、要注目と言える。

 スマートホーム規格として、Zigbee/Matter/Threadボーダールーターに対応したのも目玉だ。Zigbeeは古いEchoからサポートしている規格で、対応製品も少ないためあまり必要性を感じないが、残りの2つは将来有望な規格であり、サポートする意義は高い。ただし今回試したところ、第1世代モデルでは行えたMatterデバイスの検出が本製品では行えなかったことを付記しておきたい。

 この他にもスピーカーは、パッシブラジエーター付きの2型ネオジムスピーカー×2と、スペック上は変化していないのだが、新たに空間オーディオに対応した。こちらも本製品の目玉機能の1つといっていいだろう。

●前モデルとの設定画面の違いは誤差レベル

 設定画面についても比較してみよう。Echo Showシリーズはスマートフォンアプリと本体それぞれに設定画面があり、その両方にそれぞれにしかない項目があるという、ややこしさがあり本製品でもこの図式は変わっていない。

 その設定項目は、細部を見ていくと若干の差はあるが、機能面で大きく異なっているというわけではない。例えばスマホアプリ側の設定画面には、第1世代にない「Bluetooth」「ジェスチャー」の2項目があるが、画面に手をかざしてアラームを止めるジェスチャーは第2世代で既に搭載されている。またBluetoothは第1世代モデルでは本体側で設定する仕様だったので、実質的に機能面の違いはないとみなして差し支えない。

 Echo本体側での設定項目は、「注目の機能」「Alexaに話しかける」の2項目が本製品にのみ存在し、第1世代モデルにはない。「注目の機能」はその名の通り便利機能を紹介する画面だが、ここで項目を作ったところで、あまり効果があるようには感じられない。

 もう1つの「Alexaに話しかける」は、スマホアプリ側の設定項目にあるウェイクワードの切り替えと、会話継続モードの有効/無効を切り替える画面をピックアップしたもので、こちらも項目を独立させてある意図がいまひとつ不明だ。総じて、機能的な違いはないと言って差し支えない。

●画面構成も従来通り ホームコンテンツも相変わらず

 画面回りは従来と同じく、ホーム画面を基点に、音楽やコミュニケーションなど利用頻度の高い機能は画面右上のショートカットから、それ以外の機能や設定画面は画面を上→下へのスワイプで表示される画面からアクセスするというレイアウトだ。ちなみにこのレイアウト自体は、本稿執筆時点での第1世代モデルも全く同様だ。

 気になるのはホームコンテンツだ。お勧めの商品やスキルの紹介、スポーツやファイナンスの速報、トリビアや注目の話題などの情報をローテーション表示するホームコンテンツは、約20秒間隔で絶え間なく画面が切り替わるため視界内にあると気が散りやすく、また全項目をオフにしても、画面の切り替え時に一旦真っ暗になるエフェクトだけがそのまま表示され続けるなど、非常に目障りな存在だ。

 これらは本製品ではどのような仕様になっているだろうか。全項目をオフにして試してみたが、切り替えるべきコンテンツがなくても約20秒間隔で画面が真っ暗になるエフェクトは相変わらずだった。つまり時計を常時表示しているだけなのに、20秒ごとに暗くなったり明るくなったりを繰り返すわけで、これはいただけない。

 ただし挙動を観察していたところ、この状態のまま数分放置しておけば、画面が真っ暗になるという挙動がなくなり、ホーム画面が表示された状態をキープできることが分かった。これならば視界内にあっても全く目障りではない。

 問題なのは、何らかの操作を挟むと再びこの真っ暗な画面への切り替わりが復活し、なくなるまでにまた数分間待たなくてはいけなくなることだ。おそらく「ホームコンテンツが1つも有効になっていない」状態での動作確認が行われていないのだろう。バグであることは明白で、早期に修正されてほしいものだ。

 余談だが、先日新たに登場した「Echo Spot」や、2023年発売の「Echo Hub」はホームコンテンツ自体が省かれ、時計表示を継続して行える仕様になっている。Echo Showでも同様の使い方をしたいというユーザーは少なくないはずで、ホームコンテンツの廃止は難しくても、手動でオフにした時には、きちんと時計だけを継続表示できるようになってほしいところだ。

●価格は従来モデルから大幅上昇 無理に買い替える必要はなし?

 以上のように、高速化が図られているのに加え、空間オーディオなどの機能がいくつか追加されるなど、全体的に底上げされてはいるものの、目新しさという点ではいまひとつだ。だからこそボディーデザインを刷新して見た目の新しさを演出していると考えれば、全体としてのつじつまは合う。

 実売価格が2万2980円と、従来の1万4980円から大幅に上がっているのも気になるところだ。セール時には2万円の大台を切ることは期待できるだろうが、新規購入ならまだしも、第1世代や第2世代を所有しているユーザーが、無理に買い替える必要はないというのが個人的な意見だ。カメラ回りの機能がなくても構わないなら、Echo Spotを選ぶ選択肢もある。

 なお2024年現在、AmazonのAlexa事業に関しては、近日中に大幅な刷新があるとうわさされており、このEchoも影響を受ける可能性が大きい。このタイミングで発表された新製品がそれらに対応しないことはさすがに考えにくいが、手元にあるAlexaデバイスの買い替えや買い増しを判断するのは、それらの発表を待ってからでも遅くはないだろう。

この記事の関連ニュース