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実売4万円切り! サンコーの15.6型×2のモバイルディスプレイ「DUALDPHBK」の実用性をチェックする

ITmedia PC USER 2024年8月19日 12時0分

 サンコーの「上下2画面拡張ポータブルモニター」(DUALDPHBK)は、15.6型の画面を上下に連結した、2画面仕様のモバイルディスプレイだ。実売3万9800円というリーズナブルさも大きな特徴の本製品について、メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。

●アイティプロテックの製品とうり二つだが細かい違いもあり

 まずは、基本的な仕様をざっと押さえておこう。2つの画面はいずれも15.6型で、解像度が1920×1080ピクセルとなる。IPS液晶を採用しており、ノングレア仕様だ。

 視野角は水平/垂直ともに89度で、一般的な表記で言うところの178度だと考えられる。コントラスト比は1000:1、リフレッシュレートは60Hz、輝度は320±20ニト、色域は45%(sRGB)でタッチ操作には対応していない。

 2つの画面はヒンジで連結されており、完全に折りたたんだ状態から、360度折り返して背中合わせの状態になるところまで可動する。背面には最大120度まで開くことができるスタンドを備えており、ディスプレイアームへの取り付けに用いる75mmのVESAマウント穴も用意されている。また、スピーカーも内蔵するなど盛り沢山だ。

●接続方法はUSB Type-C/HDMIの2択 競合機との比較も

 接続方法はUSB Type-CもしくはHDMIの2択で、ポートは下のディスプレイの左側面に配置されている。またOSDメニュー操作用のボタンは同じく下のディスプレイに配置されているなど、上下のディスプレイでは下の方がプライオリティーが高い。ちなみに、下のディスプレイは上よりもわずかに厚みがある。

 重量は公称値で約1.8kg、実測でも1.83kgとかなりの重さになる。単純に15.6型のモバイルディスプレイ2台分の重量としても、やや重い部類に入るので要注意だ。

 付属品はUSB Type-Cケーブル、HDMIケーブル、USB Standard-A→USB Type-Cケーブルに加えて、USB Standard-A仕様のACアダプターが付属する。ポーチ類は付属しないため、持ち歩く場合には自前で調達する必要がある。

 以上が本製品の概要だが、これらは前回紹介したアイティプロテックの2画面モバイルディスプレイ「LCD15HC-IPSDUAL」とほぼそっくりだ。同じOEM元から供給を受けているのか、それともどちらか片方がもう片方に供給しているのかは不明だが、同じリファレンスで作られているのは明らかだ。

 外見上の違いは、本製品の方はUSB Type-Cポートが1基少ないことで、後は重量などの細かな違いが挙げられるが、実は機能面では決定的とも言える違いがある。それは、この後に詳しく見ていく。

●2画面を1つの画面として使えるフルスクリーンモードには非対応

 では実際に使ってみよう。本製品は2画面ディスプレイということで、接続元のPCと合わせて合計3つの画面をさまざまな組み合わせで利用できる。

 まず1つは、3画面に全て別々の内容を表示するマルチディスプレイモードで、おそらくもっとも利用頻度が高いであろう表示方法だ。USB Type-Cケーブル1本を接続するだけで、2つの外部画面への出力が行えるので、バラバラに2台のモバイルディスプレイを接続するよりも圧倒的に手軽に行える。

 もう1つは、本製品の上下に同じ画面を表示するミラーモードだ。単に複製表示しただけでは使い道がないように感じるが、本製品は折り返して背中合わせにできるので、このモードと併用することで、正面に座った相手と自分とで同じ画面を参照するという使い方ができる。プレゼン用途では重宝するだろう。

 逆に本製品でできないのが、上下の画面を1つの画面と見なして出力するモードだ。前述のアイティプロテックの製品は、ここまで見てきた2つのモードに加え、この表示方法(フルスクリーンモード)に対応しており、15.6型を連結した20.5型相当の大画面で利用できるが、本製品はこうした使い方はできず、2つの画面はバラバラに使うしかない。両製品の最大の違いはこれということになる。

 なおここまで見てきたモードは、接続方法によってできる場合とできない場合がある。例えばHDMIケーブルで接続した場合は、マルチディスプレイモードは使えず、ミラーモードに限定される。またMacやスマートフォン、ゲーム機との組み合わせで使う場合も、やはりミラーモード限定だ。

 言い換えると本製品のポテンシャルが発揮可能なのは、Windows 11と組み合わせた場合のみということになる。購入にあたっては、想定している使い方ができるかどうか、事前にしっかり確認しておくことをお勧めする。

●OSDメニューは上下画面それぞれで独立 操作はやや面倒

 設定回りについて見ていこう。OSDメニューについては、下ディスプレイの右側面にあるボタンで操作する。上下2つのディスプレイそれぞれについて設定を行う必要があることから、本製品はOSDメニュー操作用のボタンが2組用意されており、そのいずれもが下ディスプレイの右側面に配置されている。

 ボタンの構成は、項目移動用のアップボタン/ダウンボタン、さらに項目を選択するためのメニュー/電源ボタンの3つだ。これが上下の画面それぞれに用意されている。戻るボタンはなく、OSDメニュー内の「リターン」という項目で代替する仕組みで、使い勝手はあまりよくないが、利用頻度が高いわけではないので許容範囲内だろう。

 ちなみに、これらは前述のアイティプロテック製品と同じなのだが、唯一異なるのは、これらに加えてもう1つ搭載されているボタンの役割だ。アイティプロテック製品では、フルスクリーンモードと分割表示モードの切り替えに割り当てられていたが、本製品ではミラーモードで使うための画面回転に割り当てられている。

 本製品はフルスクリーンモードが用意されていないため、OSDメニューでも、それらに関連する項目が省かれている。

 なお本製品は縦向きに表示することも可能だが、この場合、OSDメニュー操作用のボタンが並ぶ右側面を底にして立てることになる。右側面の両端にはゴム脚があるので、置いた時に誤ってボタンが押されてしまうことはないが、立てている間はOSDメニューの操作ができなくなってしまう。基本的には、横向きで使うべき製品と考えておいた方がよいだろう。

●フルスクリーンモードが必要か否かがポイント

 以上のように、2画面を搭載したユニークな製品であり、ざっと使った限りでは致命的な欠点は見当たらないが、前述のアイティプロテックの同等製品では対応しているフルスクリーンモードが使えないことは、製品選びに大きな影響を与えるだろう。

 ちなみに実売価格で見ると、アイティプロテックの製品は5万3990円前後で、これに対して本製品の3万9800円と約1万4000円もの差がある。個人的には、フルスクリーンモードは唯一無二の機能であり、価格差としては妥当と感じるが、必要としないユーザーにとっては価格が安い方が優先順位として高いはず。どちらを選ぶかは個人によるだろう。

 これ以外の相違点を見ていくと、画面輝度やコントラスト比、重量など細かい相違点はあるが、製品選びを左右するようなクリティカルなスペック差はなく、またどちらも1年保証でサポート窓口は国内ときている。従って「フルスクリーンモードを必要とするか否か」、および価格を考慮して、どちらを選ぶかを決めるとよいだろう。

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