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あなたは5万円切りの15.6型ノートPC「TENKU Comfortbook 15」をどう使う? 実力を検証してみた

ITmedia PC USER 2024年8月19日 16時5分

 日本国内でSHENZHEN GPD TECHNOLOGYやOne-NetBook、AYANEOなどの正規代理店となっている天空が、自社ブランド「TENKU」シリーズから15.6型のエントリーノートPC「TENKU Comfortbook 15」を発売した。価格は4万9800円(税込み)だ。

 4月には10.51型の2in1ノートPC「TENKU MOBILE S10」を発売していたが、今回はオーソドックスなスタイルのノートPCだ。CPUが「Celeron N5100」と数年前に主流だったモデルだが、メモリは8GBを搭載しており、簡単な文章作成やWebブラウジングといった軽作業に用途を絞れば役に立つ可能性はある。

 ただ、約5万円という価格を考えると、より新しい「Intel N100」搭載のノートPCやChromebookなど、他の選択肢もある。果たしてCeleron N5100のノートPCは現代でどの程度使い物になるのか、早速確認していこう。

●主な仕様は?

 TENKU Comfortbook 15の主な仕様は、以下の通りとなっている。

・CPU:インテル Celeron N5100

・メモリ:LPLDR4 8GB

・ストレージ:256GB SSD(M.2 SATA)/2.5インチSATA(増設可能)

・ディスプレイ:15.6型IPS液晶(1920×1080ピクセル)

・ポート類:USB 3.2 Gen 1 Standard-A×2、USB 2.0 Type-C(データ転送のみ)、HDMI、microSDメモリーカードスロット(2TBまで対応)、3.5mmイヤフォンジャック、DC電源コネクター、セキュリティワイヤスロット

・無線関連:Wi-Fi 5(IEEE 801.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 4.2

・バッテリー:5000mAh(37Wh)

・本体サイズ:約371(幅)×245(奥行き)×18.5(高さ)mm

・重さ:約1.63Kg

 Intel N100にメモリ16GBを組み合わせた中国メーカー製ノートPCが5万円以下で購入できることを考えると、この仕様で5万円はやや割高な印象も受けるが、国内メーカーで国内保証を受けられるという点を考慮すれば許容範囲だろうか。

 イマドキのノートPCと考えるとベゼルが太いことが気になるが、それ以外はごく普通のノートPCといった感じだ。ディスプレイ上部には約92万画素のWebカメラも搭載している。なお、Windows Helloには非対応だ。

 キーボードはテンキー付きのフルサイズだ。主要キーのキーピッチは約20mmが確保されている。キートップは少々安っぽい感触だが、キータッチは悪くない。

 大型のタッチパッドは中心から左側にオフセットしており、ホームポジションに手を置いたとき操作しやすい。安価なノートPCでは、取りあえずセンターに配置されているものも多いが、このあたりが配慮されているのはポイントが高い。

 底面にはSATAの増設ポートがあり、カバーを外すと2.5インチHDD/SSDを簡単に増設できる。なお、底面に給排気口がないことから分かるように、Windows PCとしては珍しくファンレス仕様だ。

 ポート類は、向かって右側面にUSB 2.0 Type-CとmicroSDメモリ-カードスロット、3.5mmイヤフォンジャック、USB 3.2 Gen 1 Standard-A。左側面にHDMI、USB 3.2 Gen 1 Standard-A、電源ポート、ケンジントンロック(セキュリティワイヤスロット)。

 残念ながらUSB PDには対応しておらず、充電には専用のACアダプターを利用する。5000mAh(37Wh)のバッテリーを搭載しており、約2時間40分で満充電となる。

●ベンチマークテストでパフォーマンスをチェックする

 ここからはベンチマークテストでTENKU Comfortbook 15の性能を確認していこう。

 本機が搭載するCeleron N5100は2021年にリリースされたCPUで、エントリークラスのモバイルノートやミニPCに広く採用されていた。世代的には第11世代(Jasper Lake)のプロセッサだ。エントリークラスとはいえ、文章作成やWebブラウジング程度であれば問題のない性能は持っている。最近では、後継のIntel N100に置き換えが進んでいるが、コスト削減のためにN5100が利用されることも多い。

 まず3Dレンダリングを通してCPUのパフォーマンスをチェックできるCINEBENCH R23の結果だが、マルチコアで1484ポイント、シングルコアで564ポイントという結果だった。

 筆者の手元にあるCeleron N5100搭載の「CHUWI MiniBook X」(10.8型)では、マルチコアで1479ポイント、シングルコアで551ポイントだった。ネット上で他機種のスコアを確認してもほぼ同等だ。ファンレスということを考えると、Celeron N5100としては優秀なスコアと言ってもいいだろう。

 続いて、PCMark 10の標準テストを一通り実行した。スコアは以下の通りだ。

・総合:2437ポイント

・Essentials(日常的なPC作業):5381ポイント

・Productivity(オフィス作業):3814ポイント

・Digital Content Creation(デジタルコンテンツ編集):1916ポイント

 開発元のUL Benchmarksによると、個別テストの推奨スコア(快適に使える目安)はEssentialsが4100以上、Productivityは4500以上、Digital Contents Creationは3450以上となっている。これを考えると、Webブラウジングやビデオ会議は問題なくこなせるものの、オフィスアプリは少々重く、写真編集や動画編集などは厳しいという感じだ。

 ゲームや3Dグラフィックス性能を期待する製品ではないが、一応3DMarkも実施してみた。主なテストのスコアは下記の通りだ。参考に、Intel N100を搭載するTENKU MOBILE S10のスコアも併記している。

 やはりIntel N100には及ばないが、どちらにしろゲームを快適にプレイするというわけにはいかないだろう。

 試しに「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク(FF15ベンチマーク)」を実施したところ、軽量品質/1280×720ピクセル/フルスクリーン設定でも741ポイントで「動作困難」となった。Intel N100のTENKU MOBILE S10では、同じ条件で1319ポイントだったので、さらに動作は厳しいようだ。

 実際にしばらく操作してみた印象だが、アプリの立ち上がりが非常に遅い。一度起動してしまえばほとんど気にならないが、アプリによっては30秒以上待たされることもあった。

 この原因となっているのが搭載しているSSDだろう。CrystalDiskInfo 9.3.2で確認したところ、「Netac SSD 256GB」が搭載されていた。インタフェースはSATA3で最大転送速度は最大で毎秒600MBとなっている。

 CrystalDiskMark 8.0.5でアクセス速度を調べてみたところ、シーケンシャル読み出しが毎秒551MB、シーケンシャル書き込みが毎秒439MBだった。最近のPCIe接続に慣れていると、かなり遅く感じてしまう。増設できるHDDもSATAなので、この部分での改善は期待できそうもない。

 あれもこれもとできる性能はなく、複数のアプリを切り替えて使うような用途ではストレスがたまりそうだが、文章作成やWebブラウジング、動画視聴程度であれば十分にこなせるだろう。15.6型という大画面で、それなりに快適な作業が行える。

 ただ、こういう用途であれば、もっと安価なChromebookでも問題はない。Windowsであるということにメリットを見いだせるかどうかで、評価が大きく変わりそうだ。

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