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 エレコムが“本当に使える”バックパック「「MNL CITY PACK」を9月に発売 バッグを200個以上使ってきたYouTuberと共同開発で想定価格は2万円弱

ITmedia PC USER 2024年8月20日 14時17分

 エレコムは8月20日、新しいバックパック(リュックサック)「MNL CITY PACK(エムエヌエル シティーパック」を発表した。発売は9月上旬を予定しており、想定販売価格は1万9800円となる。

 本製品の開発に当たり、同社は200個以上のカバンを試したというYouTuberのリュークさんをアンバサダーに迎えたという。東京都内で開かれた発表会では、リュークさんと同社の児野健亮氏(商品開発部 アクセサリ開発部 ファブリックアクセサリーチーム)が本製品でこだわったポイントや開発の“裏側”を解説した。

●「MNL CITY PACK」とは?

 MNL CITY PACKは、エレコムが新たに立ち上げたブランド「MNL(エムエヌエル)」の第1弾製品として登場する。容量は約21Lで、ビジネスにもカジュアルにもマッチするという。

 メインコンパートメントは大きく開く180度クラムシェルオープン仕様で、背中側には15.6型までのノートPCを入れられる「パソコンコンパートメント」があり、その反対側の上部には、マウスやACアダプターなどを収納できる独立したポケットを配置されている

 フロントには、手を入れられる独立ポケットが左右に1つずつある。例えばスマートフォンやタブレットは右手側のポケットに、ハンカチやポケットティッシュは左手側のポケットに、という具合に分けて入れておける。

 上部のポケットは、電車の中などで前に抱えて持った際に取り出しやすい位置にある。

 交通系ICカードケースや鍵などを取り付けられるストラップは、フロントの左右にあるポケット、右側にある小物ポケットの3箇所のうち、好きな位置に設置できる。

 本体の左右にはハンドルが取り付けられており、背負うだけでなく手に持って運びやすくなっている。スーツケースのハンドルに取り付けて運ぶベルトも備えており、「キャリーオンバッグ」としても使える。

 バッグ本体の生地には耐摩耗性と耐久性に定評がある「CORDURA(コーデュラ) re/cor」を採用した上で、この生地にテフロン加工を施して美しさを長期間保てるようにしている。またファスナーにはYKK製を採用し、水ぬれに弱いPCを収納する「パソコンコンパートメント」には止水対応のファスナーを取り付けている。

「MNL」ってどういう意味?

 新シリーズの「MNL」という名称は、「Minimal(シンプルで無駄のない)」「Mindful(使う人の立場に立って考える)」「Monologue(自らの経験や思い、物語から導き出した最適を形に)」「Moderan Nomad Life(住む場所や働く場所にとらわれない生き方の実現)」という4つのコンセプトを込めたのだという。

 エレコムの児野氏は「今まででは考えられないほどたくさんのイメージカットを用意した。『PC周辺機器を展開するエレコムだけど、見た目がエレコムらしくない、全く新しいブランド』として展開していきたい」と語る。

●“本当に”使いやすいバックパックを目指して

 エレコムはPC周辺機器の他、それを収納するための小物ポーチやPCバッグ、バックパックといったアクセサリー類も企画/開発している。

 しかし、コロナ禍もあって、2020年に国内ブランドのアクセサリー類の小売市場規模は大きく縮小した。昨今は規模面で持ち直してきてはいるものの、2019年以前の水準にまでは戻っていないという。

 そんな中、同社は「これまでとは異なるアプローチ、エレコムのバッグを選ぶ理由」(児野氏)を模索していた。その過程で、「バッグへの思いの強い人と一緒に(バッグ類を)作る」という考えに思い至り、2023年夏にバックパックのレビューを多数手がけていたリュークさんに声を掛けたという。

 リュークさんはYouTubeの他、Instagram、X(旧Twitter)など、各種SNSでバッグ類の紹介やレビューを行っている。通り一辺倒な紹介だけでなく、ポケットの素材や仕様、何が入るかなど、視聴者/フォロワーが購入前に知りたいと思うことを細かくレビューしている。バッグの「良いところ」「欲しい機能」などを熟知している、まさに“カバンの人”なのだ。

 本製品の開発は、リュークさんによる手書きラフから始まった。その後、仕様やデザインのブラッシュアップ、サンプル(試作品)への落とし込みなどを繰り返した。その過程をYouTubeにアップすることで、リュークさんのもとに集まるカバン好きな人たちからのフィードバックも集まり、納得のいくものが生まれたという。

 視聴者からの声に、「内側の布を明るい色にしてもらいたい」というものがあったという。「暗い色だと、カバン内部でモノが迷子になってしまうから」ということだった。これは最終段階で反映され、白に近いグレーへと変更された。

 また、ボトルホルダーのポケットの長さや、ボトルホルダーと反対側に付ける小物ポケットの位置も変更された。ボトルを支えるポケットの布の長さが短いと、三脚など長めのものが外側に倒れやすくなること、また小物ポケットが左側にあると背負った状態でものを取り出しにくいということが理由だ。

 リュークさんによると、本製品で特にこだわった点は3つあるという。

・パソコンコンパートメント上部のポケット

・ショルダーストラップの長さを容易に好みの「長」「短」で切り替えられる2つのアジャスター

・すべての気室に上または横からアクセスできるジッパー

 重いもの(≒ノートPCなど)は、重力の都合で下方向に落下しようとする。それを縦長のバックパックに入れると、当然下側に重量が集中するのだが、そうすると振り子の作用で重さを余計に感じやすい。

 しかし、背中側、特に上側ショルダーストラップの付け根付近に重いものを配置できれば、重さを感じづらくなる。「PCを取り出すときに、一緒に使うものを収納するポケットを同じコンパートメントに配置することで、すぐに作業を始められる」というリュークさん。ソフトウェアエンジニアとして出先での作業が多いという自身の経験に基づくこだわりだ。

 長さをすぐに切り替えられるアジャスターは、「自転車に乗っている時には体の動きを妨げないようショルダーストラップを長めにするが、ウォーキングでは横揺れしないよう短めにしたい。その都度、長さを微調整するのは面倒だ」という経験から生まれた。

 また、バックパックを背負ったり前に抱えたりしている場合に、片方のショルダーストラップを肩にかけた状態でモノを取り出しやすいように、人体の動きに合わせて上または横からのアクセスをしやすくしたのも大きなこだわりポイントだ。

 リュークさんは「他にもこだわったポイントが50くらいあるんですが、全部語っていたら時間が足りなくなるので、皆さんご自身で使い勝手の良さを実感してほしい」と締めくくった

●「MNL CITY PACK」ハンズオン

 発表会場のテーブルには、じっくりと細部まで見られるように本製品が置かれていた。また、会場後方には最終的なバージョンに至るまでの4つの試作品が展示されていた。

 筆者の愛用するバックパックは、ほとんどが容量18Lのものだ。内側にモバイルバッテリーをセットしておけば、外側のUSB端子を使ってスマホの充電ができるなど、さまざまな機能が備わっているが、その分重い。

 しかし、MNL CITY PACKは容量21Lと大きめなのに軽く、手にしたときに拍子抜けしてしまった。

 パソコンコンパートメントの内側は、柔らかい素材とクッションでPCを傷つけることがない。底部から少し浮かせた位置にポケットの底があるため、不用意に床や地面に置いたとしても収納したPCの破損を防げそうだ。

 ショルダーストラップ、左右のハンドルなどはどれも縫製がしっかりしている。1~2年でほつれて、芯材が見えてしまうということは避けられそうだ。

 本体の上側に小物入れがあるのは、ポケットの少ない服を強いられている女性だけでなく、誰にとっても便利だと感じるだろう。特に、公共交通機関を使って移動する場合、バックパックを前に抱え、手をバックパックに置く形になるが、肘を張るなど大きな動きをすることなく上部の小物ポケットにアクセスできる。

 スマホ、ハンカチ、ポケットティッシュ、メガネなどを入れておけば、混んだ電車の中でも不自由することなく取り出せるだろう。

 メインコンパートメントの深さのあるポケットには、コンパクトなメカニカルキーボードなども収納できる。ノートPCを使いつつも「尊師スタイル」をするユーザーにとってうれしい仕様だ。

 背負った際に背中と密着する背面パッドは、開発の過程でメッシュ仕様からツルンとしたファブリックに変更された。これは、メッシュでは「ニットなど繊細な布地を傷めてしまう」という声を受けたものだ。

 シンプルな外観でありつつ、バックパックに欲しい機能を詰め込んだMNL CITY PACKは、エレコムダイレクトストアの他、Amazon.co.jp、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、Loft(ロフト)などで販売される。バックパック選びに悩んでいるのであれば、製品仕様をじっくりチェックして検討してみるのがよいかもしれない。

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