Infoseek 楽天

今PCを買うなら「AI PC」にしようと決めた理由 【実用レビュー 第2回】いきなりの実戦投入で気付いた「Envy x360 Laptop 14」のメリット

ITmedia PC USER 2024年8月20日 15時5分

 日本HPの「Envy x360 Laptop 14-fc(インテル)」は、Core Ultra シリーズ1(開発コード名:Meteor Lake)を搭載した14型のモバイルPCだ。同社が「AI PC」とうたうモデルだけにスペックは充実しており、最新モデルらしい仕上がりとなっている。

 第1回は、業務利用で使い込んでいるNECパーソナルコンピュータのモバイルPC「LAVIE NEXTREME Carbon」(PC-XC950DAG)とのリプレースまでを触れたが、今回は実戦投入をすることで、見えてきたメリットに触れたい。

●Intel Evoプラットフォーム準拠モデル同士を比較

 コロナ禍を経て、業務で利用するノートPCに求められるポイントは大きく変わった。とはいえ、基本となるパフォーマンスやバッテリー駆動時間、使いやすさは従来通り優先順位は高い。

 その点、Envy x360 Laptop 14は下表のように充実している。公称のバッテリー駆動時間がLAVIE NEXTREME Carbonの半分以下ではないかと思う人がいるかもしれないが、これは計測方法が全く異なるためだ。

 実際のビジネス用途とはかけ離れたJEITAバッテリ動作時間測定法に比べ、MobileMark 25の方が実時間に近い。この辺りは、今後の連載で触れたい。

 仕事柄、使用するPCのリプレースや追加は日常茶飯事のため、仕事に必要なデータはクラウド側にあり、ローカルの環境設定はそれほど必要としない。Microsoft アカウントのひも付けなどを行えば、実アプリ(Microsoft OfficeやPhotoshop、秀丸など)のインストールだけで済む。

 とはいえ、ここ2年ほどガッツリと使い込んだLAVIE NEXTREME Carbonからの移行だけに、慣れ親しんだ体がどこまで新しい環境に慣れるかは、使って見ないと分からない部分も多い。

 とはいえ、どちらも「Intel Evoプラットフォーム」に準拠したモバイルPCだけに、スリープからの復帰やバッテリーの駆動時間、高速な無線LANやThunderboltのサポートなど軽快なレスポンスを得られる。

 搭載CPUや投入されるタイミングで認証の内容やシールが異なるが、LAVIE NEXTREME Carbonは第11世代Coreとともに発表されたもので、一方のEnvy x360 Laptop 14は最新のものとなる。

 2つのモデルを持ち比べて最初に分かるのが、その重さだ。ボディーサイズはほとんど変わりがないものの、LAVIE NEXTREME Carbonは1kg切りで実測値も924gと公称値より軽いのに対し、Envy x360 Laptop 14は公称値の約1390gよりも軽いとはいえ1369gと、片手で持つとズシリとくる。

 PCの持ち歩きは1gでも身軽でいたい筆者として、この1.5倍近い445gの増加は非常に悩ましい。これを覆すだけの要素がEnvy x360 Laptop 14にあるのだろうか。

●やはり見た目は大事 ディスプレイの表示品質

 前述したように、重量を除けば両モデルのサイズはかなり近しく、これまで利用していたバッグにもすっぽりと収まる。台湾への出張に向かう成田エクスプレスの車内はもちろん、COMPUTEX TAIPEI 2024内のプレスルームでも活躍してくれた。

 実戦で使ってみて明らかに差があったのは、ディスプレイの表示品質だ。LAVIE NEXTREME Carbonはアスペクト比16:10の1920×1200ピクセル表示に対応しており、縦方向が長いのは大きな魅力だが、やはりIPS方式の液晶ディスプレイだけに色鮮やかな表示や黒の表現などは、有機ELディスプレイ搭載のEnvy x360 Laptop 14にはかなわない。

 直射日光下だと最大輝度にしても画面が見づらかったLAVIE NEXTREME Carbonに比べて、明るさが最大400ニトまで確保されているEnvy x360 Laptop 14はしっかりと内容を確認できる。唯一、光沢タイプのため強い光源では画面への映り込みが気になったEnvy x360 Laptop 14だが、本体の位置や画面の角度を微調整すれば対処は可能だ。

 Envy x360 Laptop 14はタブレット状態で利用したり、テントスタイルで動画を視聴したりできるのも、(利用頻度は別にして)LAVIE NEXTREME Carbonでは不可能だったところだ。2in1 PCだけに利用シーンが広がるのもメリットだろう。

●別売のペン入力にも対応 やはり便利なタッチ操作

 もう1つ筆者として大きなポイントは、タッチ操作が可能なことだ。タッチ操作については個々人の差が大きいところだが、併用している会社支給のPCが日本マイクロソフトの「Surface Pro 7」ということもあり、PCでのタッチ操作は日常的に利用している。

 業務利用は元より、動画視聴やWebブラウジング時には欠かせない機能ではあるが、タッチ操作非対応のLAVIE NEXTREME Carbonは我慢せざるを得ない部分であっただけに、Envy x360 Laptop 14でタッチ操作が行えるのは朗報だった。

 今回の試用期間では機会がなかったが、PDF入稿で赤入れ作業などをする際も、ペン操作はある/なしで使い勝手が大きく変わるだけに、Envy x360 Laptop 14では別売ながらペン対応なのも見逃せないところだ。

 細かいところでは、PCから離れて戻った場合の使い勝手もよくなった。Envy x360 Laptop 14もLAVIE NEXTREME Carbonも共に、ディスプレイ上部にWindows Hello対応の赤外線/Webカメラを内蔵している。

 Envy x360 Laptop 14では、特に設定を変えることなくPCから離れると画面がオフになり、前に戻ると自動的に画面が点灯しWindows Helloでログインまで行える。この間は約1秒とわずかで、LAVIE NEXTREME Carbonのように何かキーを押すなどのアクションも不要だ。赤外線カメラの赤い点滅も非常に目立たない(暗い)ため、目に優しいのもうれしいポイントである。

 こういった部分は、出先や社内で使う際に重宝する。これに慣れてしまうと、スリープからの復帰に遅いモデルにでくわすとイライラしてしまうのは間違いないところだ。

●必要十分なインタフェース構成

 スリムなPCだけに、インタフェースは絞り込まれている。そうはいってもEnvy x360 Laptop 14は両側面にUSB Standard-A端子×2(うち左側面は電源オフUSBチャージ対応)を配置し、HDMI出力(HDMI 2.1対応)と3.5mmのヘッドフォン出力/マイク入力コンボ端子、さらに画面出力と充電、電源オフUSBチャージ機能に対応したThunderbolt 4(40Gbps/DisplayPort 2.1)とUSB Type-C(10Gbps/DisplayPort 1.4)端子と必要十分な構成だ。

 LAVIE NEXTREME CarbonはUSB Standard-A端子が1基のみで、代わりにmicroSDメモリーカードスロットが用意されていただけに、USB Standard-A端子の増加は大いに助かった。

●シンプルな無線マウスが標準で添付

 なお、Envy x360 Laptop 14には標準で5ボタンの「HP 430デュアルワイヤレス」が付属する。至ってシンプルな2.4GHz/Bluetooth 5.0対応の無線マウスだが、別途ユーティリティーの「HP Accessory Center」(HPAC)を導入すれば、DPIや感度、ホイールの感度/速度、ボタンの割り当てなどが行える。

 筆者は利用しなかったが、別売で3980円の製品がセットになっているを魅力に感じる人もいるだろう。

 次回は、キーボードとタッチパッドなどを中心に見ていく予定だ。

この記事の関連ニュース