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洗練された外観と卓越した静音性&ロングバッテリーが魅力 HPのCopilot+ PC「HP OmniBook X AI PC」を試す

ITmedia PC USER 2024年8月22日 14時10分

 日本HPの「HP OmniBook X AI PC」は、SoCにSnapdragon X Elite(X1E-78-100)を搭載する薄型軽量の14型ノートPCだ。Microsoftが定義する「Copilot+ PC」の要件を満たし、Windows 11が提供する新しいAI体験が得られるPCとなっている。

 日本HPによる直販価格は24万9700円(税込み、以下同)で、現在はキャンペーン価格として22万4730円となっている。今回は実機によるテストを通して、実際の性能や使い勝手を検証していこう。

●さわやかなホワイトが印象的なコンパクトボディー

 HP OmniBook X AI PCは、スリムなフォルムと「セラミックホワイト」と名付けられたホワイトカラーが印象的なボディーだ。セラミックを連想させる色と高い質感に仕上げられている。ボディーのサイズは約312(幅)×223(奥行き)×14.3~14.4(高さ)mm、重さは約1.34kgだ。

●60Whの大容量バッテリーを搭載

 公称のバッテリー駆動時間は約26時間となっている。これは同社の独自基準に基づくもので、インターネット接続なし(Wi-Fi機能はオン)、ディスプレイの輝度が200ニト、フルHDの動画再生時という条件下によるものだ。実際はもう少し短くなるだろう。

 それでも、電力効率に優れるSnapdragon X Elite(X1E-78-100)を搭載しながら、バッテリー容量も60Whと大容量なので、かなりの駆動時間は期待できそうだ。

 付属のACアダプターはUSB PD(Power Delivery)対応で、最大出力は65Wとなっている。30分でバッテリーを50%まで充電できるファストチャージにも対応している。実測のサイズは55(幅)×95(奥行き)×23(高さ)mm、電源ケーブル込みの重さは301gだった。

●CPU(SoC)はQualcommのSnapdragon X Elite

 搭載しているQualcommのSnapdragon X Elite(X1E-78-100)は、Snapdragon X Eliteシリーズの中で一番下のグレードにあたる。

 従来のPC向けSnapdragonシリーズのイメージを覆すパフォーマンス志向のプロセッサで、新開発の「Oryon(オライオン)」CPUコアを12基搭載し、最大周波数が3.4GHz、キャッシュは42MB、さらに45TOPSのAIパフォーマンスを持つ「Hexagon NPU」、3.8GFLOPSの浮動小数点演算パフォーマンス「Adreno GPU」を統合している。

 メモリは16GB(LPDDR5X-8448対応)をオンボードで備える。ストレージはPCI Express 4.0 x4対応の1TB SSDを搭載している。

●Copilot+ PCならではの新しいAI体験

 Snapdragon X Eliteは、ArmアーキテクチャのCPUであり、OSはArm版Windows 11となる。x64アプリもエミュレーションで動作するが、一部動作しないアプリがある他、x64アプリとArmネイティブアプリ(Arm64ECを除く)との相互運用ができないなど、互換性には注意が必要だ。

 一方、Arm版Windows 11にはx64版Windows 11に先がけて、新しいローカルAI機能が導入されており、NPUを活用した高度なカメラ効果や画像生成といった新しいAI体験を得られる。また、プリインストールされるWebカメラ設定アプリ「Poly Camera Pro」でも、より高度なカメラ効果も利用できる。

●2.2K表示対応の液晶ディスプレイを採用 キーボードは英字配列

 14型の液晶ディスプレイは、解像度が2240×1400ピクセル(アスペクト比16:10)のIPS方式で、輝度は最大300ニト、色域はsRGBカバー率100%というスペックとなっている。タッチパネルも搭載しており、指で直接触れてのタッチ操作も可能だ。

 キーボードは英字配列で、実測のキーピッチは19mmと十分な間隔がある。キーストロークはやや浅めな印象だが、スイッチの感触は良好だ。

●プライバシーシャッター付きWebカメラを搭載

 端子構成はシンプルだ。USB Type-C(USB4 Gen 3x2、USB 3.2 Gen 2)を2基とUSB Standard-A(USB 3.2 Gen 2)を1基、ヘッドセット端子(ヘッドフォン/マイク兼用)という内容だ。USB Type-Cは、2基とも画面出力(DisplayPort Alternate Mode)とUSB PD(Power Delivery)に対応する。

 液晶ディスプレイ上部にあるWebカメラは約500万画素で、物理的にレンズを隠すプライバシーシャッター付きだ。顔認証用のIRカメラも統合している。

●快適パフォーマンスと高度な静音性、長時間駆動を両立

 ベンチマークテストの結果を確認してみよう。比較対象として同じSnapdragon X Elite(X1E-78-100)を搭載した「Vivobook S 15 S5507QA」も含めているが、このHP OmniBook X AI PCは、Core Ultra 9 185Hをしのぐようなスコアを出していたVivobook S 15 S5507QAと比べると、控え目なパフォーマンスとなっている。一方でバッテリー駆動時間はVivobook S 15 S5507QA以上に長く、静音性も非常に高い。

 Snapdragon X Eliteは、さまざまなフォームファクターのPCに対応できる可変TDP(Thermal Design Power)を備えた製品で、フォームファクターやPCの熱設計によってパフォーマンスが異なる性質を持つ。このHP OmniBook X AI PCでは、静音性や長時間駆動を優先し、ターゲットTDPを抑えた設定を採用していることが伺える。

 バッテリー駆動時間については、画面の違いも大きいだろう。Vivobook S 15が15.6型で最大600ニトの3K有機ELディスプレイを搭載しているのに対し、HP OmniBook X AI PCは14型で最大300ニトの2.2K液晶ディスプレイを搭載しているため、バッテリー駆動時間では有利だ。

 TDPを抑えているといっても、Snapdragon X Elite(X1E-78-100)のパフォーマンスは高く、CINEBENCH 2024(最低実行時間10分)のCPUスコアでは、6コア12スレッドのCore i5搭載機のスコア(478)はもちろん、M3チップを搭載した「MacBook Air」のスコア(641)も上回っており、アプリの互換性問題さえクリアすれば、クリエイティブ用途を含めさまざまなシーンで活用できるパフォーマンスはしっかり備えている。

 15型で約1.42kgのVivobook S 15 S5507QAよりも一回りコンパクトで軽量な14型で約1.34kgの薄型機として、HP OmniBook X AI PCは良いバランスにまとまっているといえる。

●静音&ロングバッテリーのCopilot+ PC

 HP OmniBook X AI PCについて詳しく見てきた。同じSnapdragon X Elite(X1E-78-100)を搭載したCopilot+ PCでも、先にレビューしたASUS JAPANのVivobook S 15 S5507QAとは少し違う性格の製品に仕上がっている。

 少しゆとりのあるフォームファクターを採用し、設定次第でハイパフォーマンス運用にも静音運用にも切り替えられる万能的なスタンダードPCのVivobook S 15に対し、このHP OmniBook X AI PCは、よりコンパクトで可搬性を重視したフォームファクターで、快適なパフォーマンスを確保しつつ、静音かつ長時間駆動ができる製品に仕上がっている。ボディーカラーにセラミックホワイトを採用した外観も個性的で、大きな魅力だ。

 前述した通り、直販価格は標準で24万9700円だが、現在はキャンペーン価格として22万4730円で販売されている。新しいAI体験ができるCopilot+ PCとして、有力な選択肢の1つだろう。

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