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「ThinkVision M14t Gen 2」は高解像度化してタッチ操作対応を果たした14型モバイルディスプレイだ! 試して分かった進化ポイント

ITmedia PC USER 2024年8月23日 12時0分

 レノボ・ジャパンの「ThinkVision M14t Gen 2」は、14型のモバイルディスプレイだ。2240×1400ピクセルという高解像度をサポートしつつ、タッチ操作およびペン入力に対応していることが大きな特徴となる。

 同社のモバイルディスプレイ「ThinkVision」の14型モデルには、通常モデルである「M14d」と、タッチ操作に対応した「M14t」があり、本製品は(型番からも分かるように)後者の後継モデルではあるが、「M14d」の意匠も盛り込まれている。メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。

●従来モデルよりも高解像度化しアスペクト比も16:10へ

 まずは基本的な仕様をざっと押さえておこう。画面サイズは14型で、解像度は2240×1400ピクセルと、従来モデルのM14tは1920×1080ドットだったので高解像度化を果たしたことになる。また16:9だったアスペクト比も、一般的なモバイルディスプレイよりも縦に長い、16:10へと改められている。

 視野角は水平/垂直ともに178度で、輝度は300ニト、コントラスト比は1500:1、応答速度は最小6ms、sRGB 100%の色域に対応している。画面はグレア調で、外光の映り込みはかなりある。接続方式はUSB Type-Cのみで、HDMI接続に非対応なのは従来同様だ。

 ボディーはThinkVisionシリーズではおなじみとなる、横から見るとL字型になるスタンドを採用しており、ポートおよびボタンはこのスタンド部に配置されている。従来モデルと同じく高さ調節のギミックを備え、並べるノートPCの画面の高さに合わせて最大約11mm上下させられる。他社製品にはない強みだ。

 これらのスペックはM14tよりも、以前紹介した標準モデルのM14dに近いが、同モデルとの違いは、10点マルチタッチ操作に対応することだ。また付属の専用スタイラスペンを用いての手書きにも対応する。ちなみに別売の「Lenovo デジタルペン2」にも対応しており、こちらではより精密な描写が可能とされている。詳しくは、後ほど紹介する。

●機能を考えると軽量なボディー

 重量は公称で約700g、実測で675gとタッチ対応の14型でスタンド込みであることを考えるとかなり軽量だ。ちなみにタッチ非対応のM14dは実測591gなので、それよりは80gほど重いことになる。スピーカーやイヤフォンジャックなど、音声出力系の機能は非搭載だ。

 付属品はUSB Type-Cケーブルに加えて、USB Type-Cポートを90度を変えて配線するためのL字型アダプター、専用スタイラスペン、専用スリーブケース、および本製品のスタンドを本体背面にたたんだ状態で固定するためのコの字のパーツが左右2個付属する。

●接続方法はUSB Type-Cのみ パススルー充電にも対応

 では実際に使ってみよう。USB Type-Cポートは左右に1つずつ配置されているが、機能的には違いはないので、PCとの接続はどちらを使ってもよい。本体ではなくスタンドに配置されていることから、ノートPCと並べた場合でも干渉しないのはプラス要因だ。

 また付属のL字型アダプターを使用すれば、狭い場所でケーブルを無理に折り曲げることなく向きを変えられる。こうした配慮はありがたい。

 一方でスタンドの構造上、縦置きでの利用には基本的に対応しない。製品ページには特に説明がないが、本製品の背面にはオプションのアームに取り付けるためのネジ穴が設けられており、もし縦置きで使いたい場合は、こちらを利用するとよいだろう。

 なお本製品は、このUSB Type-Cポート×2を用いてのパワーパススルーに対応している。試しに最大67W出力のUSB PD充電器を本製品に接続したところ、ノートPCは45Wの充電器が接続されていると認識された。ノートPCのUSB Type-Cポートの搭載数が限られていても、1ポートあれば本製品に映像を出力しつつ給電も受けられるので便利だ。

●タッチ操作をサポート スタイラスは汎用タイプに差し替え

 タッチ操作についてもチェックしておこう。本製品は10点マルチタッチに対応しており、指先で操作が行えるのに加え、付属の専用スタイラスペンを使っての手書き入力が行える。

 これらは従来モデルに当たるM14tとよく似ているが、標準添付の専用スタイラスペンは従来のようなアクティブペンではなく先端がシリコンゴムで、静電容量式のパネルであればモデルを問わず反応する汎用(はんよう)的なモデルへと改められている。電池不要で使えるのは利点だが、筆圧検知などの機能もなく、機能としてはあくまでも指先の代わりにすぎない。

 もし従来のような4096段階の筆圧検知にも対応したペン操作を行いたい場合は、オプションで用意されているLenovo デジタルペン2(直販価格3850円)を追加すればよい。こちらであれば画面に表示される十字ポインターにより高精度な描画が行え、上面に搭載した2ボタンを使えばツールを切り替えることなく、消しゴムや範囲選択といった機能を利用できる。

 つまり従来モデルとの違いとしては、高性能なアクティブペンを標準添付からオプション扱いへと変更し、標準添付するのを汎用的なスタイラスペンに改めたのが本製品ということになる。おそらくはコストダウンのためだろうが、本製品をこうしたタブレットライクな用途で使うユーザーは限られるはずなので、標準仕様としてはこれが正解だろう。

 ちなみに、本製品自体は画面の自動回転機能を備えており、天地を逆にしてペン描画に適したスタイルで設置しても、画面の向きは自動的に反転してくれる。これらの設定は、後述するOSDメニューでオンとオフを切り替えることが可能だ。

●タッチ操作をサポートすることで使いやすいOSDメニュー

 最後にOSDメニューについてもチェックしておこう。OSDメニューはスタンド左側面のボタンでメイン画面を表示し、以降の操作はタッチで行う仕組みだ。内容は従来モデルにあたるM14tに準じており、全体的にシンプルだが、ブルーライト低減や画面比率の変更など、いくらか項目が増えている。

 タッチ非対応のM14dは、OSDメニューは物理ボタンで操作することから、操作体系にやや無理があったが、タッチ対応の本製品は、直感的な操作が行え、極めて使いやすい。なお画面の明るさについてのみ、このOSDメニューを使わなくとも、スタンド左側面にある2つのボタンを使っての調整が行える。

●タッチ操作を取るか値段を取るか

 以上のように、従来モデルにあたるM14tをベースに、解像度やアスペクト比などの画面回りの仕様を、2023年発売されたタッチ非対応のM14dと合わせてきたモデル、という解釈でよいだろう。それに伴って、アクティブペンが標準添付でなくなり、汎用のスタイラスへと改められたのが違いとして目立つ。

 同社直販での実売価格は5万4980円と、従来モデルの発売直後の価格(5万600円:2020年時点)よりも上昇している。アクティブペンが汎用のスタイラスに改められたことでコストは下がっているはずだが、一方で解像度は向上しており、円安という要因も大きいだろう。許容できるかどうかは見る人次第だが、個人的には理解できる範囲には収まっているように思う。

 競合となるのは、言うまでもなくタッチ非対応の兄弟モデルのM14dで、こちらは本稿執筆時点では実売4万7980円なので、価格差はおよそ7千円ということになる。用途の幅が広いタッチ操作対応を取るか、予算的に少しでも安い方をチョイスするかは用途次第、使い方次第ということになりそうだ。

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