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白色ボディーに外部GPUを搭載! マウスコンピューターの「DAIV R4-I7G50WT-B」を試して分かった設定の妙

ITmedia PC USER 2024年8月28日 12時0分

 「ディスクリートGPUを備えた14型モバイルPC」というのは、なかなか魅力的な言葉だ。モバイルPCは軽さや薄さ、バッテリー駆動時間が重視され、CPU内蔵の統合GPUを搭載するのが一般的だからだ。

 今回紹介するマウスコンピューターのクリエイター向けモバイルPC「DAIV R4-I7G50WT-B」は、14型サイズでディスクリートGPUを搭載したモデルだ。ニッチなことは確かだが、アクティブなクリエイターの心をつかむ製品ではないだろうか。

 ここでは、第13世代Core i7のCPUとGeForce RTX 4050 Laptop GPU採用で19万9800円と20万円切りのモデル(R4I7G50WTBCCW101DEC)を借りられたので、早速レビューしていこう。

●ディスクリートGPU付きのモバイルノートPC

 本機は、マウスコンピューターのクリエイター向けブランド「DAIV」シリーズの新モデルだ。DAIVブランドの主流は16型だが、14型もDAIV R4-I7G50WT-B/DAIV Z4-I7I01SR-A/DAIV S4-I7G60SR-Cと展開されている。

 外部GPU搭載モデルはDAIV R4-I7G50WT-BおよびDAIV S4-I7G60SR-Cだ。この2つの中で比較をすると、本機はハードウェアスペック的に下位となるが、より軽くモバイル用途に適したモデルと言える。

 本機はCore i7-13620H+GeForce RTX 4050 Laptop GPUという構成だ。「H」シリーズのSKUであるCore i7-13620Hは、モバイルPCというよりもスタンダードなノートPC以上で用いられることが多いCPUで、Pコアを6基、Eコアは4基という構成だ。

 一方、モバイルPC向けの「U」シリーズは、Core i7-1365Uを例に挙げるとPコアが2基、Eコアは8基となる。トータル10コアという点では同じでも、Core i7-13620Hの方がPコアの配分が多い。

 GeForce RTX 4050 Laptop GPUは、同シリーズ中ではエントリーGPUに位置する。10万円台からのエントリー向けゲーミングノートPCでよく採用されている。CUDAコア数は2560基で、グラフィックスメモリも6GBと、シリーズの中で比較をすると少なめのスペックだ。

 想定されるプレイ環境である1080pまでであれば、十分なゲーミングパフォーマンスを発揮してくれるGPUである。

 この他に、標準構成を見るとメモリが16GB、ストレージのSSDが512GB、OSがWindows 11 Homeといった内容だ。ただし本製品はBTOモデルなので、メモリやストレージなどはカスタマイズできる。メモリは最大64GB(DDR5-4800)、ストレージは最大4TBで2ndスロットに2基目のSSDを搭載することもできる。そしてもちろん、OSはWindows 11 Proも選択可能だ。

●クリエイター好みのホワイトボディーでスッキリとした外観

 突起部を除くボディーサイズは、約320.5(幅)×214.1(奥行き)×18.3(厚さ)mmで、重量は約1.41kgとなる。1kg以下の軽量モバイルPCと比べればやや重いが、モバイルPCの範囲には収まっている。

 実際に本機を持つと、14型のスリムボディーに約1.41kgなので数値よりもずっしり感がある一方、カバンに入れてしまえば通常のモバイルPCと変わらない。

 カラーリングは清涼感のあるホワイトで。天板部を含めフラットな面で構成されたシンプルなデザインがクリエイター向けモデルらしい。ただし、キーボード面だけはブラックだ。せっかくならここもホワイトで……と思うユーザーもいると思うが、ホワイト刻印とのコントラストでキーの視認性は良い。

 キーボードは、10キーレスの日本語配列を採用する。6段配列で主要なキーピッチは約1.9mm、キーストロークは約1.2mmある。最上段のファンクションキーは一般的なノートPC同様にハーフサイズで、上部を中心に一部幅を詰めたキーがあるものの、極端に狭くはないのでタイピングは違和感なく行えた。タッチパッドの面積も十分だ。

●フルHD表示に対応した非光沢の14型液晶ディスプレイ

 14型の液晶ディスプレイは、sRGB比で100%の広色域パネルを採用している。正確な色表現はクリエイターにとって必須の機能と言える。画面解像度は1920×1080ピクセルと標準的なスペックだ。パネル表面はノングレア処理が施されている。

 上部ベゼル中央にはWindows Hello対応のWebカメラ(約200万画素)とデュアルアレイマイクを内蔵している。カメラとWindows Helloともにインジケーターを備えているところも便利だ。

 インタフェースを見ていこう。左側面にはセキュリティロックスロットに、USB Type-CとUSB Standard-A端子が1基ずつ、USBカードリーダー、ヘッドフォン/マイク端子が用意される。右側面にはThunderbolt 4とUSB Standard-A端子が1基ずつあり、HDMI出力と丸形の電源端子を備えている。

 映像出力はHDMIおよびUSB Type-CとThunderbolt 4がDisplayPort Alternate Modeに対応している。本体ディスプレイと合わせて最大4画面の同時出力が可能だ。

 電源端子を備えている通り、本機の充電は専用端子のACアダプター(出力は150W)を利用する。一方で2基のUSB Type-C端子自体はUSB PDに対応しているので、市販のUSB PD充電器(出力100W以上)を使った充電も可能だ。

 BTOメニューにも出力100WのACアダプターが用意されているが、「パフォーマンスと充電機能が制限される場合があります」という注釈があり、用途によっては充電時間が長くなったり、フルの性能が発揮されなかったりするので覚えておこう。

●クリエイティブ業務向けのCPU&GPU設定が性能にも現れる

 ここでGPU-Zのステータスに着目したい。次のパフォーマンス検証に関わってくるところだからだ。

 GPU-Zのスクリーンショットで注目してほしいのはブーストクロックの値だ。本機は1605MHzとなっている。NVIDIAのWebサイトでGeForce RTX 4050 Laptop GPUのブーストクロック仕様を見ると、1605~2370MHzなので、仕様内だが最も低いクロックの設定であることが分かる。

 パフォーマンスを求めるゲーミングノートPCなどでは、性能の高い2370MHzの設定を適用するものがほとんどだ。しかし本機では電力的に無理がある。GeForce RTX 4050 Laptop GPUの仕様のGPUサブシステム電力を見ると35~115Wで、CPUのCore i7-13620Hも最小保証電力が35W、ベースパワーが45W、最大ターボパワーが115Wだ。

 150WのACアダプターでCPUとGPU、両方が最大消費電力だったらオーバーしてしまう。本製品では最大150Wの電力を、(TDPに制限をかけて=クロックを落として)GPUとCPU、その他のシステム電力でシェアしているわけだ。

 こういった仕様を理解した上で、ベンチマークによるパフォーマンス検証を見ていこう。

 まずPCMark 10のOverallは7555ポイントだった。シナリオ別に見るとEssentialsが10561ポイント、Productivityが11310ポイント、Digital Content Creationが9796ポイントとおおむね1万ポイント前後となっている。

 1万ポイントは快適さの目安とも言える。そこをクリアしている点で本機には十分なパフォーマンスがあり、資料作成やそのためのWeb閲覧、Web会議といったクリエイティブ用途以外でも快適な利用が可能だ。

 CINEBENCH R23のMulti Coreスコアが1万1632ポイント、Single Coreが1872ポイントだった。通常、Core i7-13620Hに最大の電力を供給すれば1万5000ポイントに達するので、本製品ではCPU側のブーストも抑えられている結果だ。

 とはいえ、ここでも1万ポイント(CINEBENCH R23の場合)は超えている。これはモバイルPCで一般的な「U」シリーズのSKUであるCore i7と比べるとやや高めのスコアと言える。

 ブーストクロックを抑えたGeForce RTX 4050 Laptop GPUが、どのくらいのパフォーマンスを発揮するか興味のある人が多いだろう。そこでFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークのスコアをCPU内蔵GPU(Intel UHD Graphics for 13th Gen Intel Processors)とGeForce RTX 4050 Laptop GPUで比較してみた。

 フルHD(1920×1080ピクセル)/高品質(GPU負荷が高い)を3回計測したデータで見ると、CPU内蔵GPU時の平均が6801ポイント、これに対してGeForce RTX 4050 Laptop GPU時の平均は6831ポイントだ。

 GeForce RTX 4050 Laptop GPUの方が高スコアだったが、30ポイントの差はほとんど誤差の範囲である。なお、ブーストクロック制限のないGeForce RTX 4050 Laptop GPUは8000ポイント台だ。そう考えると、無理にディスクリートGPUを搭載する意味があるのか、と思うかもしれないが、次のテスト結果を見てほしい。

 こちらは、PCMark 10のDigital Content CreationシナリオをCPU内蔵GPUと(ブーストクロック制限ありの)GeForce RTX 4050 Laptop GPUで比較したものだ。3つのテストとも明らかにGeForce RTX 4050 Laptop GPU時の方が高スコアだ。

 PCMark 10のDigital Content Creationに含まれる3つのテストでは、OpenCLやOpenGLが利用されている。いずれも一般用途ではあまり使われないが、クリエイティブ系のアプリケーションでは用いられることがあるAPIだ。

 OpenCLやOpenGLの他、クリエイティブ系アプリケーションで用いられるAPIとしてはCUDAが挙げられる。CUDAはまさにGeForce固有のAPIなので、CPU内蔵GPUだけのモデルでは利用できない。こうした点を総合すると、電力制限をかけているとは言え、GeForce RTX 4050 Laptop GPUを搭載することに意義があることが分かる。

●ゲーミング性能も確保 バッテリー駆動時間も

 さらに、3DMarkのスコアをいくつか紹介しておこう。3DMarkはTime Spyが7144ポイント、Steel Nomad Lightが6646ポイント、Steel Nomadが1412ポイントだった。FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークではフルHD/高品質で「快適」評価が得られていたことからも、本製品にはある程度のゲーミング性能がある。

 最後にバッテリー駆動時間をPCMark 10のバッテリーベンチマークであるModern Officeテストで検証した。電源モードは「トップクラスの電力効率」で、ディスプレイ輝度は50%ほどに設定している。バッテリー残量が残り2%までの結果は6時間43分で、長時間というほどではないが出先で仕事をこなす程度なら十分な数値と言える。

 もっとも、完全バッテリー駆動ではCPU内蔵GPUを利用することになるだろう。モバイル環境でも外部GPUを利用したいという場合は、本機のACアダプターないしはUSB PD充電器を携行しておこう。

●万人向けではないが制作の現場に1台あると利便性が向上するモデル

 DAIV R4-I7G50WT-Bは、外部PUの機能をモバイル環境でも使えるクリエイター向けモバイルPCだ。軽量な14型クラスなので性能面での制限はある。何よりも性能を優先するならば、少し重くても16型のクリエイター向けノートPCを選ぶべきだ。

 ただ、大方の作業は完了しており、後はクライアントに最終確認をしてもらう、修正があるとしても現地でサッと直すだけといった状況になれば16型を持ち出すまでもない。性能よりもサイズ感、軽さの方に比重が移ってくる。部内に1台、本製品のようなフットワークの軽いノートPCがあることで生産性が向上することもあるだろう。

 あるいは、クリエイティブ系を目指す学生が選ぶ1台としても候補になる。16型クラスのノートPCを毎日の通学で持ち運ぶのはやはり重いしかさばる。14型クラスの本製品ならば、そこが解消される。自宅で使う場合だと14型ディスプレイはやや小ぶりだが、外部ディスプレイに映像出力すればそこも解決できる。

 USB PD充電やUSB Type-C端子による映像出力をUSBハブ経由で行えれば、忙しい一人暮らしでもUSB Type-Cケーブルを1本抜き差しするだけで自宅環境からモバイルへと素早く切り替えられる。この取り回しの良さが、本機の魅力となっている。

(製品協力:マウスコンピューター株式会社)

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