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Ryzen 7 8840Uを搭載してアンダー1kg! ビジネス向けの13.3型AI PC「HP EliteBook 635 Aero G11」を試して分かったこと

ITmedia PC USER 2024年8月30日 12時0分

 日本HPの「HP EliteBook 635 Aero G11」は、約0.99kgの軽量なボディーにAMD Ryzen 8040シリーズのプロセッサを搭載したスタンダードクラスの13.3型ビジネスモバイルPCだ。持ち運びやすさと長時間のバッテリー駆動、快適なパフォーマンスを実現している

 直販価格はRyzen 5 8640Uモデルで15万9280円からと入手しやすい価格も魅力だ。今回はRyzen 7 8840Uを採用した上位モデル(直販価格19万3380円~)を入手したので、性能や使い勝手を検証していこう。

●ジャストA4サイズでアンダー1kgの薄型軽量ボディー

 本機のボディーサイズは約297.3(幅)×211.2(奥行き))×15.1(厚さ)mm、重量は約0.99kgだ。1.3~1.5kgクラスのノートPCよりも一段と軽く、楽々と持ち運ぶことができる。なお、実測の本体重量は967gと公称値よりもさらに軽かった。

 ボディーは金属製で、マグネシウムとアルミニウムを使用している。デザインはシンプルで派手さはないが、表面仕上げは良質で、汚れや傷が付きにくい仕上がりだ。

 このボディーは頑丈さも併せ持ち、開発段階では米軍調達基準であるMIL-STD-810Hに準拠した19項目のテストをクリアしている裏付けもある。

●バッテリー容量は43Whで最大11.5時間駆動

 バッテリー容量は、43Whと標準的だ。MobileMark 25を使ったバッテリー駆動時間の公称値は、最大約11.5時間だ。JEITAバッテリ動作測定法Ver.3.0では動画再生時が約8.2時間、アイドル時が約13.8時間となっている。

 付属のACアダプターはUSB PD(Power Delivery)対応で最大出力は65Wとなる。30分でバッテリーを50%まで充電できるファストチャージもサポートする。ACアダプターの実測のサイズは55(幅)×95(奥行き)×23(厚さ)mmとコンパクトで、単体の実測重量は301gだった。

●CPUは8コア16スレッドのAMD Ryzen 7 8840Uを搭載

 本機のCPUは、AMDのRyzen 7 8840Uを採用する。AMDのモバイル向け(TDP 15~30W)のCPUとしては最新世代で、アーキテクチャはZen 4、TSMCの4nmプロセスで製造されている。

 CPUコアは8コア16スレッド、最大クロックが5.1GHzというスペックで、GPUコアとしてRadeon 780M、最大16TOPSのNPUも統合している。

 メモリは16GB(LPDDR5)をオンボードで実装し、ストレージはPCI Express対応SSDを512GB搭載する。

●アスペクト比16:10で広色域の13.3型ディスプレイを搭載

 13.3型の液晶ディスプレイは、1920×1200ピクセル(アスペクト比16:10)の解像度に対応する。最大輝度は400ニトと高めで、色域もsRGB比100%というスペックが公表されている。視野角も広く、視認性は良好だ。映り込みの少ない非光沢(ノングレア)仕様だが、実際には半光沢に近い印象で、明るさや角度によっては若干の映り込みを感じたが、光沢仕様ほどではない。

●プライバシーシャッター付きの5MP Webカメラを内蔵

 インタフェースも実用十分な内容だ。USB Type-C(USB 3.2 Gen 2)端子とUSB Standard-A(USB 3.2 Gen 1)を2基ずつ装備し、HDMI出力とヘッドセット端子(ヘッドフォン/マイク兼用)という内容だ。USB Type-C端子は、2基とも画面出力(DisplayPort Alternate Mode)とUSB PDに対応する。

 約500万画素のWebカメラを液晶ディスプレイ上部に内蔵し、物理的にレンズを隠すプライバシーシャッター付きだ。顔認証用のIRカメラも統合している。

 底面にあるステレオスピーカーはディスクリートアンプを搭載することで、しっかりした音圧があって音質も及第点以上といえる。

 なお、無線LANはWi-Fi 6E(MediaTek RZ616)で、Bluetooth 5.3に対応する。OSはWindows 11 Pro(23H2)だ。

●ビジネスPCとしてバランスの取れたパフォーマンス

 ここからは、ベンチマークテストの結果を見ていこう。CINEBENCH R23(最低実行時間10分)のスコアは1万822ptsだった。比較対象は、フォームファクターがやや大きめ(約1.3~1.5kg)の製品が多いため目立たないが、1kg以下のモバイルノートPCとしては非常に優秀だ。Core i5-8250U搭載の旧世代機(ThinkPad T480s)と比べれば、進化は歴然としている。ビジネス用途で快適に利用できるのはもちろん、ちょっとした動画編集までストレスなくできるパワーを持つ。

 PCMark 10/Modern Office Battery Lifeで計測したバッテリー駆動時間も実測で約11時間24分と十分だ。高負荷時にはそれなりにファンも回転するが、動作音は抑えられている。最新世代のCPUの電力効率を生かし、ビジネスPCとして良いバランスの製品にまとまっているといえるだろう。

●快適にビジネスや学習ができる高コスパなAI PC

 HP EliteBook 635 Aero G11は、1kgを切る薄型軽量ボディーという付加価値がありながら、Ryzen 8040シリーズの電力効率の高さを生かし、快適に使える高いパフォーマンスを備えつつ、ロングバッテリーで静音運用といった要素をうまく整えた、快適に利用できる製品に仕上がっている。

 また、CPUがNPUを統合していることにより、OS標準の高度なカメラ効果(Windows スタジオ エフェクト)が利用できる点も見逃せない。ビデオ会議では有用な機能だけに、ビジネス用途や学習シーンに使うPCとしてはしっかり価値がある。

 今回の評価機であるRyzen 7 8840U搭載モデルは、直販価格で19万3380円から販売されている。Ryzen 5 8640U搭載モデルで15万9280円から購入可能だ。コストパフォーマンスも高く、ビジネスや学習向けに軽量で持ち運べるPCが欲しい人にとっては非常に魅力的な存在だろう。

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