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「Google Pixel 9 Pro Fold」を開封レビュー! 折りたたみ型スマホに感じたメリットとデメリット

ITmedia PC USER 2024年9月4日 2時5分

 Googleは8月14日、折りたたみスマートフォンの新モデル「Pixel 9 Pro Fold」を発表、9月4日から販売を開始した。価格は25万7500円(256GBモデル)からと高価だが、執筆時点ではGoogle ストアで既に一部モデルが在庫切れとなっていた。

 Pixel 9 Pro Foldは、Pixel Foldに続く、Googleの第2世代折りたたみスマートフォンとなる。日本国内での折りたたみスマートフォンの歴史は、2019年にGalaxy Foldが発売されてから既に5年が経過している。5年と言えば、初代iPhone(2007年)がiPhone 5(2012年)に進化した時間だ。

 実際、折りたたみスマートフォンにも薄型化や折りたたみ構造の改良など、さまざまなイノベーションが起きているのだが、残念ながらその認知度はまだ低い。ガジェット好きにとっては注目の的である折りたたみスマートフォンでも、実物を見たことがない、触ったことがないという人も多いかもしれない。

 そこでこの記事では、Pixel 9 Pro Foldを紹介しつつ、折りたたみスマートフォンのメリットとデメリットについて触れていこう。

●開いても閉じても薄い「Pixel 9 Pro Fold」

 Pixel 9 Pro Foldは、表側に6.3型(1080×2424ピクセル)のカバーディスプレイを搭載している。本体を開くと、内側に8型(2076×2152ピクセル)のインナーディスプレイが現れる。

 8型というと片手で持てる小型タブレットをイメージするかもしれないが、Pixel 9 Pro Foldはアスペクト比が1:1.03でほぼ正方形と縦が短い分、実際に手に取るとイメージよりも小さく感じるかもしれない。

 折りたたみスマートフォンでは閉じた状態での厚みが気になる点だが、Googleが「これまでで最も薄い折りたたみ式スマートフォン」とうたうだけあり、閉じた状態でも約10.5mmとなっている。これは同社の新型スマホ「Pixel 9 Pro XL」や「Pixel 9 Pro」の約8.5mmから、わずかに厚い程度で済んでいる

 初期の折りたたみスマートフォンは閉じた際に隙間ができていたが、Pixel 9 Pro Foldは閉じた状態では隙間もない。この隙間のない構造は、折りたたみスマートフォンのイノベーションとして最も大きな部分だ。

 6.3型のカバーディスプレイを使って小さめのスマートフォンとして利用できる。ただし、薄いスマートフォンを2台重ねて持っているのと変わらないので、重さは約257g(Pixel 9 Pro XLは約221g/Pixel 9は約198g)とサイズの割には重くなっている。小型スマートフォンのつもりで手にすると、少し重く感じるかもしれない。

●カメラは3眼構成 SoCは最新のTensor G4/Titan M2を採用

 背面カメラは約4800万画素(広角)と約1050万画素(超広角)、1080万画素(望遠/光学5倍)という3眼構成だ。Pixel 9 Proの約5000万画素(広角)+約4800万画素(超広角)+約4800万画素(望遠)という構成と比較するとやや見劣りする部分だが、本体の厚みを抑えるために大型のセンサーやレンズが組み込めなかったのだろう。

 Pixel 9 Proと比べて画素数が少なめといっても、写り自体に問題はない。

 SoCには、Google独自のTensor G4を搭載する。メモリは16GBでストレージは256GBだ(販路によっては512GBモデルもある)。Tensor G4の最新SoCではあるし、価格帯的にも超ハイエンドの性能を期待したくなるが、ベンチマークテストの結果を見る限りでは、そこまでハイエンドというわけではない。

 Geekbench 6のスコアはシングルコアが「1780」、マルチコアが「3753」で、2世代前のSnapdragon 8+Gen 1と同程度だ。これについてGoogleは、「Tensor G4はベンチマークで良いスコアを出すために設計したわけではない」とインタビューで答えている。とはいえ、実際に操作しても遅いとは感じず、アプリの起動などもキビキビとしている。

●純正のスマートフォンケースを試す

 今回は純正のケースも試した。カバーのリサイクル プラスチックがふんだんに使われており、カバー単体の重量は約31.2gとなっている。

●折りたたみスマホのメリットとデメリット

 折りたたみスマートフォンのPixel 9 Pro Foldだが、肝心の「折りたたんで何ができるのか」という部分についても触れておこう。

 真っ先に思い浮かぶのが、コンパクトに持ち歩き、必要なときに大画面を利用するという使い方だろう。このイメージは、ある程度正しい。通常のスマートフォンと同様、電話やメール、SNSの閲覧など、日常的な操作は大抵カバーディスプレイ側でも対応できるが、複数の資料を見比べたり、資料を見ながらメールを書いたり、あるいはYouTubeを見ながらSNSへ書き込みをしたい、ゲームをしながら攻略サイトを参照したいといった場合には、8型のインナーディスプレイで画面分割を利用すれば簡単に実現できる。

 タブレット用のクランプなどを使って車載すれば、大画面でカーナビ代わりにもなる。車を降りるときには折りたたんでポケットに収めることが可能だ。

 文章を書く場合に、スマートフォンのフリック入力が苦手だという場合にも、広い画面を使ってQWERTYキーボードで入力することもできる。Pixel 9 Pro Foldは、本体を無段階で折り曲げられるので、ノートPCのように途中まで開いて机上に置いて入力することも可能だ。

 カバーディスプレイとインナーディスプレイの2画面あるのも特徴だ。

 自撮りを行う場合に、Pixel 9 Pro Foldには約1000万画素のインナーカメラが搭載されているが、カバーディスプレイを利用すると、より高精細な背面カメラで自撮りを行える。ポートレート写真を撮影する場合も、被写体となる人にカバーディスプレイで表情などを確認してもらうことができる。

 2画面を利用すると、Google 翻訳を使ったリアルタイム翻訳で自分と相手、それぞれに違った画面を見せながら会話を行うことも可能だ。小さな画面をお互いにのぞき込む必要はない。

 折りたたみスマホにはメリットがある反面、デメリットもある。その最たるものが重さだろう。先にも書いたが、Pixel 9 Pro Foldは薄いスマートフォンを2台持ち歩くようなものなので、当然ながら重い。

 また、「開くと大画面」にも注意が必要だ。動画を大画面で楽しみたいと考えている場合、おそらくその希望はかなえられない。こちらも先に書いたが、Pixel 9 Pro Foldのインナー画面は、ほぼ正方形だ。アスペクト比16:9の比率が主流の動画を表示しても、画面いっぱいに表示することができない。

●用途に合うなら便利な1台

 折りたたみスマホにはいくつかのデメリットはあるものの、それが問題にならない用途であれば非常に便利なことは間違いない。大画面での動画視聴には向かないが、スタンドがなくても机上に置けるのは、新幹線や飛行機などでは便利かもしれない。その他にも、移動中に資料を読み込んだり、メールや文章作成などを行ったりするビジネスユーザーとは相性がよさそうだ。

 価格が25万円超えと高いので誰にでもお勧めできるわけではないが、普段からスマートフォンとタブレットを持ち歩いている、ノートPCを持ち歩く機会を減らしたいと考えている人なら、試してみる価値はあるだろう。

(製品協力:グーグル合同会社)

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