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「Pixel Watch 3」開封レビュー Googleの新型スマートウォッチを試して分かった進化点

ITmedia PC USER 2024年9月10日 2時5分

 Googleは9月10日、新型スマートウォッチ「Pixel Watch 3」を発売した。価格は45mmのLTEモデルが7万6800円、同Wi-Fiモデルが5万9800円、41mmのLTEモデルが6万9800円、同Wi-Fiモデルが5万2800円だ。

 カラーは45mmがMatte Blackアルミケース/Obsidian アクティブバンド、 Polished Silverアルミケース/Porcelain アクティブバンド、Matte Hazelアルミケース/Hazel アクティブバンドの3モデルとなる。

 41mmはMatte Blackアルミケース/Obsidianアクティブバンド、Polished Silverアルミケース/Porcelainアクティブバンド、Champagne Goldアルミケース/Hazelアクティブバンド、Polished Silverアルミケース/Rose Quartzアクティブバンドの4モデルが用意されている。

 Pixel Watch 2まではサイズは41mmのみだったが、Pixel Watch 3では、一回り大きい45mmモデルが追加された。外観は、パッと見では前モデルのPixel Watch 2から大きな変更はないが、ディスプレイの仕様が刷新され、フィットネス関連の新機能などが加わっている。

 このPixel Watch 3を実際に数日使ってみたので、Pixel Watch 2と何が変わったのか、確認しつつ見ていこう。

●41mmと45mmの2サイズ構成に 充電ケーブルは互換性あり

 Pixel Watch 2には従来の41mmだけでなく、45mmモデルが追加された、サイズが一回り大きくなっただけで、デザイン的には同一だ。ただし、デザイン的には変わっていなくてもディスプレイの仕様はアップデートしており、Pixel 9と同じくカスタム有機EL(LTPO対応)のActuaディスプレイ(320PPI)を搭載する。最大輝度が1000ニトから2000ニト(ピーク輝度)にアップしている。

 デザイン的には継承されつつも、ベゼル幅がPixel Watch 2から16%スリムになっており、画面面積は41mmモデルで10%、45mmモデルで40%大きくなっているという。カバーガラスは、従来から変わらずCorning製の「Gorilla Glass 5」を採用する。

 Pixel Watch 2は、初代Pixel Watchから背面のセンサー形状が大きく変更となり、センサーの計測制度が40%向上したということだったが、Pixel Watch 3ではセンサー回りのアップデートには触れられていない。形状も変化していないので、この部分の目立った変更はないようだ。

 ベルトは、41mmと45mmで若干異なっており、実測で41mmが20mm幅、45mmが22mm幅となっていた。コネクター部の形状も違うので、41mmのベルトを45mmに装着することはできない。なお、41mmのベルトは従来のPixel Watch(初代および第2世代)と互換性がある。

●Pixel Watch 3ならではの新機能

 ここからは、Pixel Watch 3の新機能についてみていこう。といっても、新機能の多くはランニングに関するものだ。

 ランニング中に、リアルタイムでペースや心拍数などをガイドしてくれる「ランニング ガイダンス」が追加され、ランニング後には歩行のリズムや歩幅、地面との接触時間などを総合的に分析するフォーム記録も強化された。

 これらの新機能は、ランニングをしない人には意味がないものだが、もちろんそれ以外の機能もある。ランニング以外では、「今日のエナジー」「有酸素運動負荷」「目標負荷」の3つの機能が追加された。

 今日のエナジーは、安静時心拍や心拍変動(HRV)、最近の睡眠状況などから、体の主要や回復生体指標を導き出すというもので、Garminでいうボディーバッテリーと同様の指標だ。今日のエナジーが100に近ければ体が回復しており、アクティブにトレーニングが可能、数値が低ければトレーニングを休むか軽めにしておくといった参考になる。

 有酸素運動負荷は、有酸素運動中に心臓がどの程度激しく動いているかを記録し、トレーニングの過不足などを把握できる。目標負荷は、今日のエナジーと最近の有酸素運動負荷を考慮し、その日の運動目標を提案する機能だ。

 なお、今日のエナジーは初代Pixel WatchやPixel Watch 2でも利用できるが、有酸素運動負荷と目標負荷はPixel Watch 3専用となっている。

 ただし、これらの数値を確認するには、Pixel Watch 3を7日間装着する必要があり、今回の試用期間では実際に確認することはできなかった。

 運動以外では、Pixel Watch 3上でPixelに搭載されている「Google Pixelレコーダー」が利用可能になった。Pixel Watch 3上で文字起こしをすることはできないが、Pixelスマートフォンとペアリングしている場合には、スマートフォンのレコーダーアプリにバックアップでき、そこで文字起こしが可能だ。スマートフォン経由でクラウドへのアップロードも行える。ただし、Pixelスマートフォン以外では、そもそもスマートフォンへのバックアップも行えないようだ。

●バッテリー駆動時間は従来から微増も充電時間は短縮化

 スマートウォッチを使う上で、最も気になるバッテリー持ちに関してはどうだろうか。残念ながら以前から変わらず、常時表示(Always-On Display)を有効にした状態で最大24時間となっている。

 ただ、Pixel Watch 3では、睡眠を検知した場合に自動で「おやすみモード」に入り、常時表示がオフになったり、バッテリー残量が15%を切るとバッテリーセーバーモードに入り、稼働時間を延ばしたりすることができる。他社のスマートウォッチでは、バッテリーセーバーモードというと時間表示のみになるものも多いが、Pixel Watch 3では常時表示がオフになり、バックグラウンドアクティビティーが制限される程度で、基本機能は損なわれない。初めからバッテリーセーバーモードをオンにすれば、最大36時間使えるとのことだ。

 実際に確認した範囲では、常時表示/1時間のウォーキング(GPSオン)/睡眠計測/各種通知有効という状態で、24時間経過後にバッテリー残量は約15%になった。同様の条件で、Pixel Watch 2は約5%だったので、若干だがバッテリー持ちは良くなっている。これは自動の「おやすみモード」が効いているのだろう。とはいえ、毎日の充電が欠かせないのは従来通りだ。

 充電時間は、41mmモデルは約24分で50%、約60分で100%まで充電できる。Pixel Watch 2は30分で50%、75分で100%だったので、充電時間が約20%短くなっている。45mmモデルは約28分で50%、約80分で100%だ。

 数日試した程度での感想にはなるが、おそらくランニングをする人にとっては、便利に感じる機能が追加されている。ただし、ランニングをしない筆者のようなユーザーにとっては、Pixel Watch 2からあまり大きな変化は感じられなかった。

 画面が明るくなり、アプリ一覧のUIも見やすく変更され、自動おやすみモードが追加されるなど細かな改良は加えられており、完成度は高まっている。とはいえ、Pixel Watch 2からの買い替えを検討するほどの魅力があるかと言われると、正直なところそこまでではない。

 今回から45mmモデルが追加されたので、より大きなディスプレイが好みという場合にはこちらに買い替えるのはありだろう。

 もちろん、初めてスマートウォッチを購入する、スマートバンドからのステップアップを考えているという人にとっては良い選択肢になるはずだ。言うまでもないが、Pixel WatchはiPhoneでは利用できないので、その点は注意してほしい。

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